誇り高き「オオカミ王ロボ」
「オオカミ王ロボ」って本を読まれたことありますか?
小学生の時、学校の図書館にあった本で、当時、「ファーブル昆虫記」とともに、自分も、よく読んでいた「シートン動物記」の中の一冊です。
先日、シベリアンハスキーと触れ合う機会があって、狼を連想してたら、つられて「オオカミ王ロボ」のことを思い出してしまったのです。
19世紀末、広大な西部の開拓によって、野生動物がその姿を消しつつある時代、カランポー地方には「王」と呼ばれて恐れられたオオカミがいた。
別名ロボ...
学者のシートンは、依頼を受けてロボと対決することになるが……
あまり細かいことまでは憶えてないのですが、強烈に印象が残ってる本で、実話らしいです。
この話の中では、狼は家畜を襲う悪い獣として描かれています。
被害にあった牧場主たちは、ロボたちを退治しようと罠を仕掛けるのですが、ロボはあざ笑うかのように罠を見破って家畜たちを襲う利口な狼なのです。
ロボの首に懸賞金がかけられ、名だたる猟師が挑戦するのですが、みなことごとく失敗していきます。
そこで、シートンが登場して、ロボとの知恵比べが始まっていくという流れです。
ーーーーーここからネタバレを含みますーーーーー
シートンの仕掛けもなかなか成功しないのですが、ある日、グループの中にメスの白いオオカミ(別名ブランカ)がいることに気が付くんですよね。
きっと、ロボの恋人なんだろうと...
そして、シートンたちは、ロボではなく、このブランカを狙って罠を仕掛けて... という展開なのですが、ここら辺から、ちょっと胸が苦しくなってくんです。
結果として、ブランカは殺されてしまって、大切な恋人を失ったロボは平常心を失ったことで捕まっちゃうのです。
捕まった後、ロボは人間の与えた餌を口にすることなく、そのまま死んでいく.. という結末でした。
ちょっと、小学生にとってはショックな結末だったんです。
人間側はかなり酷いことしてると思ったんですよね。
読んだ人なら分かると思うんですが、この話、読み進めるうちに、なんか、人間がすごく身勝手な存在に思えてくるんですよね。
常に人間本位なとこが、すごーくいやな感じに映るのです。
その分、野生の狼であるロボの誇り高い生きざまがかっこよく思えちゃうんです。
私もそうでしたが、読んでしまうと、最後は狼側の視点に寄り添ってしまうという…
この物語に対して、シートンを非難する手紙がたくさん寄せられたということなのですが、それだけ、読んだ人の心を揺さぶったってことでもあるんですよね。
今になって思い起こしてみれば、それこそがシートンの伝えたかったことのように思えてくるのです。
(私の読書ルーツ)
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