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【スペクトラム入門】物事は白黒ではなく、グラデーションに広がっている【正しさ】

スペクトラムとは?

「スペクトラム」という言葉は、もともと物理学で使われていた用語で、光の波長の連続的な広がり(虹のような色のグラデーション)を指します。そこから転じて、現代では様々な分野で、連続的に広がる範囲や幅を示す概念として使われています。

この概念を日常生活に当てはめると、「どちらか一方が正しい」という二元論ではなく、「さまざまな段階や中間が存在する」という考え方ができます。つまり、すべてのものは、極端な二つの対立的な点の間に、多くのバリエーションやグラデーションがあるということです。

スペクトラムの具体例

スペクトラムの概念を理解するために、いくつか具体的な例を挙げてみます。

色のスペクトラム

光のスペクトラムでは、赤から紫までの色が連続的に変化します。赤と紫のどちらかが正しい色というわけではなく、間には無数の中間色が存在します。このように、ある一つの色を選ぶ際にも、明確に「これが正しい」と決めるのは難しいということです。

政治的なスペクトラム

政治の世界でも、「保守」と「リベラル」といった対立する立場の間には、さまざまな中間的な立場があります。極端にどちらかに偏るのではなく、多くの人がその中間に位置するスペクトラム上で自分の立場を見つけているのです。

行動や価値観のスペクトラム

「健康的な食生活が正しい」という意見があったとしても、健康の定義や基準は人それぞれです。ある人は完全菜食主義が正しいと感じるかもしれませんが、別の人はバランスを取ることが重要だと考えるでしょう。この場合も、「正しい食生活」は一つではなく、スペクトラムの中に多くの選択肢があるということです。

スペクトラムとしての「正しさ」

「正しさ」も、このスペクトラムの考え方に当てはまります。私たちは多くの場合、「白か黒か」のように、何かが絶対的に正しいか、間違っているかを判断しがちです。しかし、実際には「正しさ」は状況や文脈によって異なり、その幅は連続的に変化します。

たとえば、食生活について考えると、ある文化では肉を食べることが正しいとされていても、別の文化ではそれが間違っているとされるかもしれません。これは、その文化や環境がそれぞれ異なる価値観のスペクトラム上に位置しているためです。

スペクトラムの視点で考えるメリット

スペクトラムの概念を取り入れると、物事を「正しい」か「間違っている」かという二元論で判断するのではなく、「どの位置にあるか」「どの範囲内にいるか」という視点で考えられるようになります。このアプローチは、他者の意見や価値観を尊重し、柔軟な思考を持つための手助けになります。

また、自分が「正しい」と信じていることが、実は他の人にとっては違うかもしれないということを意識することで、対立を避け、より豊かなコミュニケーションを築くことができます。

1. いろんな価値観を認めやすくなる

スペクトラムの考え方は、「これが正解」という1つの基準ではなく、たくさんの選択肢や考え方があることを理解しやすくしてくれます。たとえば、食べ物の好みやライフスタイル、趣味だって人それぞれ。スペクトラムの視点を持つと、違う考え方を持つ人も「そういう考えもあるんだね」と受け入れやすくなります。

食生活:健康志向orオーガニックor折衷案

エリカとサトシは、食事の価値観が少し違います。エリカは普段からオーガニック食品を中心に、健康的な食生活を心がけています。一方で、サトシは仕事が忙しく、ついついファストフードに頼りがち。でも、二人ともお互いの食生活に共感できる部分もあります。例えば、エリカも「たまにはチートデイで好きなものを食べるのも大事」と考えており、サトシも「健康を気にして、野菜を多めに摂るようにしている」面があります。二人は、お互いの生活スタイルを尊重しつつ、ヘルシーなカフェに行ったり、たまにはジャンクフードを楽しむといった、バランスの取れた食事スタイルを共有しています。白黒はっきりさせるのではなく、スペクトラムの中でお互いの選択を認め合っているのです。

2. 選択肢が広がって迷わなくなる

たとえば、仕事や学校で何かを決めるときに「どっちが正しいか」で迷うことがありますよね。でも、スペクトラムの考え方を使うと、「どちらかに決める必要はない」「中間の選択肢もあり」という視点で、より自分に合った選び方ができます。極端な選択肢だけでなく、その間にたくさんのオプションがあると分かると、判断がラクになることもあります。

仕事のスタイル:一気に集中or休憩を取りながらorどちらかの中間もあり

シゲルは、基本的には仕事を一気に終わらせたい派ですが、最近は疲れが溜まりやすく、集中力が続かなくなってきました。一方、同僚のマイコは、こまめに休憩を挟みながら仕事を進めるスタイルをとっています。ある日、二人は仕事について話し合い、「一気に終わらせるか、休憩を挟みながらやるかのどっちが良いか」という話題になりました。そこで、シゲルは完全に自分のスタイルに固執せず、マイコのやり方も参考にすることにしました。結果、短い休憩を取りながら集中する時間とリラックスする時間を交互に取り入れる、新しいバランスを見つけました。こうして、シゲルは「全力で突っ走る」と「休みながらゆっくり進める」の間で自分に合った働き方を見つけ、仕事の効率が上がりました。

3. 自分を知りやすくなる

自分の性格や好みも、「これかあれか」ではなく、スペクトラムのどこかに位置しています。たとえば、「自分はどれくらい内向的かな?」とか「どのくらい活動的かな?」といった感じで、はっきりとした区別じゃなく、ゆるやかな変化の中で自分を捉えられます。こうすると、自分にピッタリな方法やスタイルが見つかりやすくなります。

自己表現:はっきりと主張する or 控えめに表現 or その間で自分に合った伝え方

ユキコは、職場での会議で意見を求められるとき、いつもどうやって自分の考えを伝えるか迷っています。自分の意見を強く主張するのは苦手ですが、控えめにしすぎてしまうと伝わらないこともあります。そこで、ユキコは「自己表現もスペクトラムの中で調整できるんじゃないか」と考えました。彼女は、完全に強い意見を押し通すのではなく、まずは周りの意見に耳を傾けた上で、自分のポイントを具体的かつ柔らかく伝える方法を試してみることにしました。このアプローチで、ユキコは自分らしさを保ちながらも、しっかりと意見を共有できるようになりました。自己表現は「強いか控えめか」だけではなく、その中間のスタイルを見つけることで、ユキコは自分に合ったやり方を実現できたのです。

4. 他の人と仲良くなりやすい

スペクトラムの視点があると、相手が自分と少し違っていても「それもアリだよね」と思えます。たとえば、友達や家族と意見が違ったときでも、「どっちが正しいか」ではなく「どのあたりの考えなのかな?」と広い視点で考えることで、相手を理解しやすくなります。これによって、対立が少なくなって、気持ちよく話し合えるようになります。

意見の違い:完全に反対ではなく、部分的に同意する点を見つける

ケンジとミナは、新しいプロジェクトの進め方について話し合っていました。ケンジは「とにかくスピード重視で進めるべき」と主張し、ミナは「品質を重視して慎重に進める方が良い」と意見が対立。しかし、二人はお互いを完全に否定することなく、どこかで歩み寄れる点がないかを探しました。話を進める中で、ケンジも「重要なポイントでは慎重に進めるべき」と感じており、ミナも「進められる部分は早く終わらせたい」と考えていることがわかりました。最終的に、二人は「重要な部分は慎重に、そうでない部分はスピードを重視する」というハイブリッドなアプローチに合意。スペクトラムの視点でお互いの意見の中間点を見つけたことで、スムーズにプロジェクトを進めることができました。

正しさは点でなく幅、視点も複数ある

スペクトラムの視点を取り入れると、「正しい」という概念が必ずしも一つの視点や固定されたものではなく、場面や状況によってさまざまな幅があることがわかります。

何かが「正しい」か「間違っている」かを単純に白黒で判断するのではなく、物事には多様なグラデーションが存在し、その中でそれぞれの立場や価値観に応じた「正しさ」が見つかります。

例えば、食生活、仕事のスタイル、自己表現、意見の違いなどの具体例を通じて、完全にどちらかに偏るのではなく、その間にあるバランスや柔軟な選択肢が重要です。

場面によって「正しい」の幅や基準は変わり、それは一つの固定された答えではなく、広がりを持つものです。このようなスペクトラムの考え方を取り入れることで、多様な価値観を尊重し、自分にとって心地よいバランスを見つけることができるのです。

これは以前書いたベストよりもベターという記事にも繋がります。
ベストは白黒の思考、ベターはスペクトラムの思考です。


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