【architect】建築家とは…三宅一生に学ぶ
デザイナーの三宅一生
文字通り日本を代表するデザイナーISSEY MIYAKEである
人間と衣服の関係を探求していた三宅は、1970年代に「一枚の布」という衣服の根源的な発想に至った
日本の着物やインドのサリーのように、一枚の布をまとう美しさに普遍性を見出し、身体の布の間に生まれるゆとり、『間』が、着る人の心も身体も自由にすることに着目した。
『肉体と布の間に自分自身がつくる空間というのがあるはずなんだ』と考えた
以来、「一枚の布」という考え方は、三宅の服づくりの基本になった
それから”プリーツ”や衣服の”畳まれたときの美しさ”から『132 5.ISSEY MIYAKE』などのデザインが生まれた
三宅一生のデザインにおいて一貫されているのは、
衣服のというものは、人間の生き方、社会との関連で価値が決まる
ということ
常に社会とのあり方の中でデザインを考えていることだ
例えば、『132 5.ISSEY MIYAKE』では、「再生・再創造」をキーワードにしている。
地球環境や資源問題から21世紀の素材として再生ポリエステル繊維を使用している
また海外生産が主流になる中で、日本の伝統技術に着目している
またプリーツをかけるのに使用した紙を再利用したデザインをつくっている
これは佐藤オオキさんの率いるnendoに依頼して出来た『キャベツチェア』である
また、長年の親交のある建築家の安藤忠雄氏の設計で21_21DESIGN SIGHTをつくった
六本木の東京ミッドタウンに出来たこの基地を起点に日本のデザインを世界に発信している
衣服のデザインから、社会を考える
普通なら考えるだろうか?
同じことは建築にも言える
住宅を設計するのに社会を考えるだろうか?
普通は考えないだろう
でも、それを考える人だけが建築家と呼ばれるのではないだろうか
特定のクライアントの欲望を満たすだけの建築は建築ではないのかもしれない
三宅一生氏いわく
『ただ、好きでデザインをやっています。では、終わらない時代である。
これからは、社会、そして環境という問題を抜きにしては、たぶんデザインというものはむずかしい。』
三宅一生は彫刻家のイサム・ノグチや、グラフィックデザイナーの田中一光、インテリアデザイナーの倉俣史朗といった様々な分野のデザイナーと交流を持ちながら社会を見つめてきた
建築家の安藤忠雄氏もそのひとりだ
分野にかかわらず、デザインが人びとを豊かにして社会をより良くすることを考えてきたこれらの巨匠からは学ぶべきことが多いように思う