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ニッカポッカ/オシャレ•伝統•禁止?!

先日、近所の建設現場で鳶職人を見かけた。
ふと気になったのだが、ニッカポッカを履いた人がいない…!?
高校生の頃、ニッカポッカにモードを感じ、かっこいいと思っていたわたしからしたら非常に残念である。

ニッカポッカはどうなってしてしまったのか?!

どうやら、股下がだぼっとしたニッカポッカは、強風に見舞われやすい高所での作業には煽られやすいし、足下が見にくいため危険、ということで、近年では禁止になっているところも多いのだとか。
これは、ショック…。

そういえば、
数年前、とある鳶職の親方からニッカポッカの製作を依頼されたことがあった。
その際にニッカポッカの特徴を伺ったのだが、股下の膨らみにより、高所でも風向の強さが測れ、バランスがとりやすいと伺っていたので、危険というより、偉く機能的なんだと関心したものです。
また、股下に余裕があるつくりなので、足を動かし易い、とも伺い、納得した。

親方は、ニッカポッカが作業着という印象が強く、ちょっとした食事なんかへ行くのも恥ずかしいので、日常着としても着れるようなニッカポッカが作りたいということだった。
なので、膝下あたりからふくらはぎに沿ってシェイプしていくようなシルエットにして、生地も作業着というより少し光沢感のあるきれいめな素材で生産した。
わたし自身、この内容には共感と満足を覚えました。

確かに、ニッカポッカの股下の膨らみは突風が吹いた時などは危険かもしれない。
しかし、日本の作業着である服飾文化が一つ消えていくのは物悲しいものがあります。

ニッカポッカについて簡単に

ニッカポッカの歴史は面白い。
語源は、アメリカ国内にてオランダ系移民を意味する言葉として、「ニッカボッカ」から。
もともと、オランダの子供向けズボンが、野球やゴルフ、乗馬のスポーツウェアとして使われたという記録もあるらしい。
そして1900年代、大量生産がしやすく丈夫なニッカポッカは日本でも、軍服として使用されたようだ。
戦後は登山用のニッカポッカなども登場し、一時期広く流行した。

その後、耐久性の高さから鳶職人をはじめとする作業員がはくズボンとして普及したとのこと。

日本の伝統

ニッカポッカを日本の文化というのは大袈裟かもしれないが、伝統であり日本を代表する作業着であることは間違いない。
古くアメリカの炭鉱で働く人達の作業着であったデニムのように。
マルタン・マルジェラは来日した際に日本の足袋にインスパイアされ「タビ」ブーツを考案した。
きっとニッカポッカも作業着ではなく、ファッションとしての可能性があるはず。
そして、今まで通り作業着としても、、、ニッカポッカの利点は活かしつつ進化できないものかと思うのであります。

高校時代、ニッカポッカに憧れて、大人になったら寅壱に就職したいとまで思ったあの頃のわたし。
ニッカポッカが禁止されてきていることを知ったらさぞかし驚くことでしょう。

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