寄る年波の通勤鞄考
先週、通勤用にPORTERのビジネスリュックを購入。
第7波が去った頃からリモートワークが減り、出社する機会が多くなってきた。
通勤往復3時間半で50代後半の僕は、通勤鞄には以下の優先順位でこだわりがある。
①軽くて比較的コンパクト「疲れない」
②外観とデザイン「美的センス」
③収納性と機能性「ポケッのト位置と数も」
④電車の中のマナー「背中は見れない」
よる年波には勝てない。
30代までは、上記③、②、①の順だった。
常に2冊のシステム手帳(バイブルとミニ6穴)と1冊の本を入れていることも一因となって①が本当に大事。最近では車内で背負ったときの周囲からのヒンシュクが気になり、④となる。車内マナーとして。
この20数年前からだろうか。電車の中の景色は大半がナイロン製のバックになり、この10数年前から、ビジネスリュックの方々があまたに。だから、たまに、使い込んだ革製のブリーフケースを持っている御仁がいると僕は羨望の眼差しになった。その艶と光沢を放つ革に見惚れた。
これまで僕はビジネスリュックに偏見があった。どこかスタイリッシュではないからだ。休日の延長線上の雰囲気だし、リュックを背負うことでスーツやコートの皺やたるみが気になっていた。
そして何より混雑した車内でごっついリュックを前方、胸の辺りで抱えると、今度は本が読みづらくなる。(何というわがまま!)
だからこれまでPORTERとManhattan Portageのナイロン製の手さげカバン計5個を使いまわしてきた。
でもリュックには、両手が空くという安全面のメリットがあり、かつ荷物の重さを片腕片肩だけでなく、全身で受けられるという、まさによる年波にはうってつけの効能がある。
先月、東京のオフィスビルのエスカレーターでコンパクトで薄い茶色のビジネスリュックを背負った三十代であろう若手の男性の、颯爽とした立ち姿を見た。
実にスタイリッシュ。その瞬間、これだ!!と。
この薄さ、このコンパクトさであれば、電車の中で背負ってもヒンシュクでない。A4用紙やシステム手帳、折り畳み傘が何とか入る。
それ以来、僕のビジネスリュック探しが始まった。様々なお店を覗き、ネット検索して、辿り着いたのは銀座ハンズ。
そこに東急ハンズと吉田カバンの共作、
この逸品が佇んでいた。
出逢ってしまった。
縦は39センチで大きすぎず、幅(厚み)は10センチで、電車の中で背負ってもさほど迷惑はかけない程度。そしてなんといっても軽く、僕の大好きなブランド、PORTER。
3万5千円位したけれど、一生ものと考えれば激安。消耗品ではないのだから。
あと何年このリュックを使えるかは天のみぞ知るが、この作品と一緒に電車に揺られ、枕木をひとつずつ越えように、日々の特別な時間を重ねてゆく。