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詩の道程

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これまで書いてきた詩です。納得のいく詩を書けるまで、つづく道程。
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2021年9月の記事一覧

仮想敵

アイスを二つ買うのなら スプーンも二つ取らないと わたしは慰めたかったはずで せめて海…

遥
3年前
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ドライブ

水溜りに映った緞帳 幕がしゅるしゅる 舞台が滑る サイダーの泡みたいに声が 浮いて は…

遥
3年前
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もや

怖い夜を照らして おぼろげな輪郭を正そうと 線を引く線を引く線を引く (あのひとは1999…

遥
3年前

恒星の詩

お父さんが眠っているのを見たことがない 「おやすみ」と「おはよう」がつながってるみたい…

遥
3年前
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昇り火

あなたの熱い心臓を、どうか最後まで酷使してください。 そうであってください、どうか、あ…

遥
3年前
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うろこ雲

「おそらにしわができてるよ」    人差し指をとんぼが眺む    確かにあれは空のしわ  …

遥
3年前
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反撃はケチャップで

「マヨかけないで」が今日も言えないし わたしは枕と散歩します 砂利砂がそろそろ義足に溜まっているらしい 買い物リストをチラ見して漏れた息 台風でも作るつもりか それに乗って、バッグを残して、地獄行こう 舌切り雀が落ちる地獄へ 枕が逃げた あーぁいよいよ帰れない ダイブさせて頂きますそうします、だってそれしかないので 「ただいま 」

逃避妄想

どこにも行けないキャリーケース 中には何が入っていたの ぱんぱんで重かったはずなのに 結…

遥
3年前
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フルーツバスケット

ぼくが何しても許してね 口紅はいつも遠いけど きっとオレンジをぼくに掲げて 残念、今日は…

遥
3年前
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漂着者

あなた、ガラクタまみれでここへ来た ここはオゾン層の裂け目 容赦ない熱線があなたを何度も…

遥
3年前
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三日目の慰安旅行

神主が駆け落ちした神社には、 クモの巣飾りの神楽殿がある 本を燃やすのはここにした 下へ…

遥
3年前
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いのちやどるもの

ものにいのちはやどるでしょうか そこにあるのは生でなく 生がないから死でもなく もののこ…

遥
3年前
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救世主

おじちゃんの酒屋が潰れてコンビニができた ぼやけた自販機の光を隙間なくLEDが塗りかえた(…

遥
3年前
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水膜

川の流れは騒がしい まるでひとつのような顔をして ばりばりがらがらどうどうざらざら からころからころさりさりするする 人をのみこんでゆく 肉体は透過し精神のざわめきはより大きなものに掻き消される わたしだけが静かだ 細く白く糸が紡がれて切れて ただひたすらにつぎへとゆく 騒がしく忙しない わたし そこへいきたい