![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90592948/rectangle_large_type_2_2403c7bd48614d2e4a713a98a7f5ffd1.jpg?width=1200)
「ラーメン二郎に学ぶ経営学」の感想〜なぜ二郎が好きなのか?〜
本書の概要
本書の著者である牧田幸裕氏は、信州大学の教授(本書発行時現在)で経営学者であり、ジロリアンである(ジロリアンは、ラーメン二郎のファンの総称)。そんな牧田氏が、二郎が人気である理由をわかりやすく解説してくださる中で、経営学について学ぶことができる、経営学の入門書である。
感想
私は、二郎が好きだ。食べた直後は、「もう二度と食べない」と決意するのに、次の週には、気づいたら二郎に並んでいる。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90592968/picture_pc_ac130ae87abf6348f9816df6cd051c7b.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90592970/picture_pc_e70d653e8b7264c334b1f721ec50f128.jpg?width=1200)
でも、二郎が好きだと周りの友人に言っても理解してもらえないことが多い。女性とデートする時に二郎の話題なんて絶対に出せない。こんなに好きなのに!!!!
なので私は常々思っていた。二郎の魅力を、理論的に説明できるようになりたい。二郎をディスる人たちを、論破できるようになりたい。そんな時に手に取った本書。経営学的な視点から、二郎のアンチを論破できるようになるなんて。こんな素敵なことはないだろう!!
例えば、事業の分類からの解説で言えばこうだ。マクドナルドや吉野家といった飲食チェーンは、好みが分散しにくい(顧客が味などにこだわりにくい)食べ物を取り扱っている「規模型事業」であるとのこと。しかし、ラーメン業界は、顧客の好みが細かく別れている(塩派醤油派、薄味濃い味など…)。こういった事業は「分散型事業」と称され、小資本でも差別化で成功できるというのだ。つまり、二郎は他のラーメン店と比較して明らかに常軌を逸した特徴を有しているため、差別化による成功を掴んでいるというのだ。
また、「二郎に競合はいないのか?」という素朴な問いに対して、著者の牧野氏は「いない」と断言している。本書では、二郎の提供価値に「達成感」「爽快感」を挙げている。
他のどのラーメンを食べて、このような達成感や爽快感を感じることができるだろうか。これが二郎だけに存在する、唯一無二の提供価値のひとつである。
まさに納得。二郎にはもちろん美味しいが、それ以上に、まるで山を登ったような、サッカーの試合に勝ったような、サウナに15分入った後の水風呂のような達成感・爽快感を求めて私は二郎に行くことが多い。
私はなぜ二郎が好きなのか?それを再考させられる、素晴らしい読書体験であった。本書は、ジロリアンには是非一度読んでもらいたい。ジロリアンは、誰しも一度は蔑まれた経験があるはず。本書を読むことで、仲間を得たような、武器を得たような感覚を得ることができることが保証できるからだ。なんなら本書を読んだ私も、皆様ジロリアンの味方の一人でありたいと思う。
二郎、大好き!!
本書の本筋とは逸れるが、本書では、著者の二郎への愛を感じることができる。それは、二郎に対する感想の数々が、私たちが普段感じていることを言語化してくれているからだ。
「今まで大豚Wだったけど、今日は小豚にしておくか。俺も年取ったよなぁ。ハハハッ(苦笑)」と日和ることがある。
その一方で、「何いってるんだよ、俺。もう限界かよ、つまんねー奴だな。まだまだいけるよ。絶対いけるって。今日も大豚Wいこうぜ!」といって、自分を奮い立たせることもある。
「大豚W」を前にし、食べても、食べても麺が減らないことがある。でも、ここであきらめてはいけない。単調だが一定のリズムで麺を啜り、豚をやっつける。次第に、周囲の音が聞こえなくなる。集中力が高まっている証拠だ。
食べ終わった後店を出るときも、まだチャレンジを続けている同ロットの御仁の背中をギリギリすり抜けるようにしてカニさん歩きを強いられる。
このように、読んでいるだけで二郎を食べている時のことを鮮明に思い出すことができるような表現力。本書を読むと、無性に二郎に行きたくなる。こんなに二郎に魅了されていたのか。二郎を食べるという体験は、ここまで自分に染み込んでいたのか。それを自覚させられるのだ。
本書を読んで、一番感じたこと。それは…