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共働きを選択したのは「承認欲求」を満たしたいからだった。

「仕事は、どうするの?」

あれはもう10年以上前の事。
結婚が決まり、当時の上司に報告をした時に聞かれた言葉だった。

私と夫は「所属する会社」は違うけど(夫はフリーランス)、同じ現場で働いていたので上司も夫の事をよく知っていた。

「仕事はどうするの?」というセリフは
あなたは、仕事を続けますか?」という意味だ。

もしもコレが、男性が上司に結婚報告をする場面であれば
「そうか、これから益々頑張らなきゃな!」とか言いながら肩でもたたきそうだ。

あの時「家庭に入りたいと思います」と言ったとしても、「残念だよ」とは口に出しつつも驚かれなかったと思う。

「私より夫の方が稼いでいる事」は誰の目にも明らかだったから。

私はあの時「仕事を続ける」と口にした時の気持ちをハッキリ覚えている。

それは「夫からの承認だけでは満足できない自分」を知っていたからだった。

「すてきな奥さん」を読みながら


先日、私の書いた記事をようこさんが紹介しつつ「なぜ正社員を選んだのか?」という記事を書いて下さった。

詳細は是非読んでみて欲しいのだが、就職した経緯、共働きを選択した経緯の殆どが同じだった。

「夫に養われている自分」
を想像したら、なんとも窮屈な気持ちになったから。

ようこさんの記事より

そうだよ。
女性の殆どがそれではないだろうか。

で、それだと「私も同じです」で終わりなのだけど。

私にはもう一つ、物凄くハッキリ覚えている理由があった。

それが「夫からの承認だけでは満足できない」だった。

うわー、引くわ(笑)


私達は結婚するまでお互いに実家を出た事がなかった。
初めて実家を出て、急にマンションを購入し(おバカ)、2人で4LDKに住み始めた。


今思えば、本当に「おままごと」だったと思う。

私は「理想の妻像」みたいなモノを探していた。

とりあえず図書館で「すてきな奥さん」という雑誌を購入して(笑)
主婦っぽい事を色々試した。

節約法とか、家事の効率化とか。

そんな「すてきな奥さん」を目指していた私だけど。
もしも専業主婦になったら日中は暇を持て余し、頑張って作った夕食を食べてもノーリアクションの夫にイライラする自分を想像する事は容易だった。

だから仕事を続けていた。

つまり「働く」事で、夫以外の人からの承認が欲しかった。

SNSで承認欲求を満たしている人もポツポツいたけれど、そちらの世界に踏み込むのは怖かった。

でも、徐々に退屈を感じ始めていた。

忙しくも面白くもない仕事をしていても「承認された感」がなかった。

平日は「早く定時になれ~」と思いながら働き(笑)
土日は夫と朝から晩まで一緒。

結婚して数カ月目の週末に、ディズニーランドの期間限定パレードを見ながら「なんかつまらないな」と感じた事をハッキリと覚えている。

夫婦共働きで経済的にはゆとりがある。
節約して貯めたお金で年に1回位、長めの旅行にも行ける。

確かに貯金がたまって旅行に行ける事は嬉しい。
でも、「貯める→使う」を繰り返しているだけで達成感がない。

「予定調和」な日々が続く事に退屈を感じていた。

旦那さんより稼いでいるんでしょう

そんな退屈な日々に終りが訪れた。

それは、私が書店で「女性営業」の本に出会い「営業職」を志す事にしたから。
志した直後に社内で異動するチャンスに恵まれてSEから本社営業になった。

そして本社で営業職を始めた途端に、婦人系の疾患が見つかり不妊治療をする事になった(まさにジェットコースター)。

不妊治療との両立に悩んでいた時に、今の会社からスカウトをされてかなり強い意志を持って転職をする事になった(清水の舞台から飛び降りた)。

私は「不妊治療との両立」の為に、現職へ転職した。

それにも関わらず、私は営業職として大きな成果を上げる事にのめり込むようになり不妊治療を中断した。

退屈を感じていた日々は一転し、リゲインのCMみたいな生活になった。
夜は23時頃まで働き、土日も何かしらの仕事をしていた。

「すてきな奥さん」はすっかり忘れて、家事を殆どやらない「酷い奥さん」になった(極端すぎ)


営業という仕事は、泥臭いようだけど「歩いた数」で成果が決まる。
私は転職してからの数年間、モーレツ社員を続けてそれなりの成果を上げた。

「それなりの成果」を手にした時、周りからこんな事を言われた。



上司からは「旦那さんには、収入を言わない方が良い」と言われ。
同僚や友人にも「旦那さんより稼いでるんじゃない?」と聞かれた。

こういう事をわざわざ言う人は、決まって男性だった。

その時、口には出さないものの「妻より稼ぎが悪い夫」に対する同情めいた空気があった。

そして、女性の年収が高くなると夫婦関係が円満ではなくなるケースが増えてしまう理由が何となく分かる気がした。



逆に出産後に私が大幅に働く時間を減らして、誰の目に見ても収入が減った時に、夫が保育園の送迎や家事をしてるという話をすると

「え?旦那さんの方が収入高いんだよね?」と謎の確認をされた。


収入が高い方が偉い。
収入が低い(仕事へのコミットが少ない)人が家事はやるべき。

口には出さないものの、顔がそう言っていた。

どうやら、共働きである事は「家庭内序列」を発生させるらしい。

実際に、会社の制度としてはまだ時短勤務ができる年齢の子供を育てる女性がフルタイムへ復帰する時に理由を聞くと「フルタイムで収入が増えれば少しは夫と同等になれるから」と答える人は多い。


因みに私の夫は、私の年収には大して興味がない。
それは結婚相手としてとても有難い事だ。

やっぱり時間が欲しい


山登り型の仕事は面白かった。
でも、子供が産まれたら私の最大関心事はそこではなくなってしまった。

夫婦だけで生活をしていた頃は、夫の為だけに家事をする事は退屈だった。

ところが「母親」になり子供と日々接するようになると「新たなミッション」が次々にやってきたのだ。

母乳を中々飲んでくれなくて困った。
ミルクを15ml飲ませるのに40分かかって疲れた。

オムツの無くなるペースがつかめない。
哺乳瓶の乳首を交換する時期に悩む。

動けるようになったら家の安全管理を見直す。
歩けるようになったら、赤ちゃんの足に合う靴を探しに行く。

何か1つミッションをクリアしても、次から次へと未知の体験がやってきて退屈を感じる暇がなかった。


仕事と違って、どんなに経験を重ねても生かすチャンスが少ない(すぐ成長する)。
どんな時短術を使っても上手くいかない(ご機嫌次第)。

何よりも、子育てをどんなに頑張っても1円も貰えない。

それでも
「赤ちゃん」から「人間」になる過程がイチイチ感動的で、かけがえのない時間になった。


半年で予定通り仕事復帰をして「夜と土日だけ子供と過ごす日々」になると「お金よりも子供と過ごす時間が欲しい」と強く思うようになった。

沢山稼いで、あらゆる「子育て」の場面を外注するよりも子供と一緒にいたい。

夜は家族揃って夕食を食べて、寝る前にボードゲームをする。

そんな「ささやかで楽しい生活」がしたい。


それでも私が正社員として今の仕事を続けているのか?

その理由は、単純に「退職したら戻れないから」である。

今の仕事の中で「一部の仕事」をどうしても続けたい。
正直、全体量から見たらほんの僅かの仕事なのだけど。

もしも、スポットワーク的に「一部の仕事」に携われるとか。
退職しても、数年後にまた戻れるとか。
他の選択肢があれば、それを選ぶかもしれない。

だけど残念ながら、今の会社では
兼業・副業禁止
私の携わる業務は正社員以外の道がない。
退職したら復職は受け付けない。

という制度なので、「ちょっと抜けます」ができない。

だから仕事を続けている。

という事が分かりました(報告)。


でも、模索し続けたい。

社会保険的な意味でも正社員の方が優遇されている。
正社員と言いながらも、結構時間の融通も利いている。

だけど、後から振り返った時に後悔するのでは?という不安がある。

いやいや、「選んだ道を正解にするしかない」のだ。
だけど「選んだ」と堂々と言えるまで、模索は続けたい。

<あとがき>
「すてきな奥さん」は、今は年に1回位しか発刊されないみたいですが、私が結婚した当時はまだ月刊誌でした。
今となっては、そんなタイトルの雑誌を借りるのは何だか恥ずかしくて無理です(笑)
大体「奥さん」ってなんなんだ。
気になるけど、考え始めたらキリがないので終わります。

今日も有難うございました。





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