教育熱心な幼稚園出身の私が感じた、「保育園の発表会」の温かさ。
「大人になったら忘れちゃうのかな?
そんな時には思い出してみよう♪」
保育園のホールに鳴り響く、ピアノの生演奏と子供達の歌声。
次男の保育園最後の発表会を、私は初めて最前列で見ていた。
過去に参加したどの発表会よりも近い。
体育館の様なステージではなく、すぐ目の前に子供達がいる。
ここ2ヵ月位、自宅でもずーっと「夢をかなえてドラえもん」を熱唱していた次男。
(練習と言うより、無意識に歌っていた)
まだ暑い頃から「発表会楽しみだな」と思っていた。
でも、とうとう本番が来てしまった。
本番を迎えた我が子を目の前にして、私は涙が止まらなかった。
長男の卒園式すら泣けなかったのに、周りの目を誤魔化せない程に泣けてきた。
目の前で歌う次男も私の様子に気が付き、心配そうな顔をしている。
なんてこった。
間奏の間に必死に止めて、後半はずっと手を叩いてニコニコするように心がけた。
この距離感で、我が子の成長を見る事ができるのもあと少しだ。
リハーサルも見たかった
年長児の次男にとって、これが最後の保育園の発表会。
年中・年長は縦割り保育をしていて、次男の属するグループは総勢16人位。
同日に、グループ毎に別の時間帯に開催されるため、16人の児童+保護者だけのささやかな発表会だった。
通常の保育でも使用されている保育園のホールで、「高いステージ」もなく、同じ目線で観覧する。
開会前に園長先生の挨拶があった。
「子供達は今日に向けて、物凄く意欲的に練習を重ねてきました。
でも私が一番見てもらいたかったな…と思うのはリハーサルです。
子供達の中には、練習時間を終えても『まだやりたい!』という子もいれば、『今日は嫌だ』とか『恥ずかしい』という子もいます。
日によって意欲的な子と嫌がる子が違うのですが、周りの様子を見て徐々にやる気を出していったり、完成する過程が、大人から見ても凄いんです」
この保育園は、無理に周りに合わせる事を強制しない。
大人が強制しなくても、子供は気持ちが整えば動き始める。
保育園の先生って素敵だな。
子供に何かを強制する事なく、変化していく様子を見る事はとても楽しそうだ。
去年も書いたけど、私が通っていた幼稚園は小学校に負けない位「集団行動」を求める園だった。
「今日はやりたくない」なんて言えるような雰囲気ではなかった気がする。
先生の仕事は保育である
1つ目の発表はメインの「劇あそび」だった。
聞きなれたピアノの伴走に合わせて、次男ともう一人の女の子がステージに出てきた。
劇中ずっと子供達がステージ上の椅子に座るスタイルの様で、全員分の椅子が舞台に置いてあった。
だけど、2人以外の子供がずっと出てこない。
何やら舞台裏からザワザワした声が聞こえてくる。
あまりにも出てこないので、観覧席からも笑い声が上がり、園長先生も舞台裏に向かって「おーい」と声をかけはじめた(笑)
すると舞台裏から裏方の先生が出てきて「スミマセン!もう1回仕切り直して良いですか?」と言って、先に登場していた2人を再び舞台裏へ連れて行った。
会場からは大きな笑いが起きていた。
すると園長先生は立ち上がってマイクを持ち謝罪をしつつも話し始めた。
「私達、普段は保育をしているので全員揃ってのリハーサルも1回位しかできていなくて裏ではバタバタなんです。誰が何やるって壁にびっしり書いて貼ってあるんですけど」
「職員も『自分が間違えたらどうしよう!』って物凄く緊張しているんです」
普段は保育をしている。
よく考えたら、本当にそうだ。
先生が余っているワケでもなく、この日裏方を担当してくれていたのは乳児クラスの担任の先生達。
年中・年長の子供達がリハーサルをしている時は「保育」をしているのだ。
完璧にできない事なんて当たり前。
こうして「裏側」もつつみ隠さず言えてしまう。
「ごめんなさいね~」でOKな、この空間の温かさが好きだ。
頑張らない事の心地よさ
運動会を終えた直後に、担任の先生が言っていた。
「昔に比べたら飾りとかかなり減ったので、準備も荷物も減りました」と。
確かに長男が乳児だった頃に比べると、運動会の装飾は減っていた。
そして今回の発表会も、今までで一番「簡素な装飾」だった。
まず舞台上の「立体制作物」が0になった。
以前は「乗り物」や「家」等、段ボール等で作ったと思われる「舞台セット」があった。
でも今回は白い画用紙やいくつかの絵だけで、凄く少なくなっていた。
子供達の衣装も、同じ形・色違いの紙製のチョッキを着ているだけ。
私はこの「頑張らない装飾と衣装」が心地よかった。
過去には夕方頃になると、廊下やホールの片隅で数人の先生が衣装や小道具の制作をしている場面に遭遇する機会があった。
形を作り、絵具で色とりどりに塗られた立派な作品。
でも、これらの作品も本番が終わればゴミとなってしまう。
子供の衣装も、子供が描いたイラスト等が衣装に含まれると後日必ず持ち帰る事になる。
逆にその衣装は、親としては中々捨てずらくて扱いに困ったりする。
近隣の幼稚園では発表会に向けて、保護者同士が集まって布製の本格的な衣装を制作したりするらしい。
でも「たった1回」の幼児の発表会である。
先生も保護者も日々の仕事がある中で、そんなに頑張らなくて良い。
舞台や衣装よりも、「我が子」を見に来ているんだから。
この距離感も残り僅か
子供達との距離が近かったので、本番中も子供達のちょっとした声が丸聞こえだった。
「まだ楽器持たないよ」
「〇〇ちゃん、先に歩いてよ」
等と声が聞こえる度に、観客席から温かな笑いが起きていた。
全ての演目を終えると、隣で観覧していた知り合いのママが泣いていた。
「感動しましたよね、私もドラえもんで号泣でした」と話かけると、「泣けましたね~」と言って、2人で泣き笑いした。
横に立っていた園長先生も「泣けますよね」と入ってきて、3人で「泣ける泣ける」と繰り返していた。
本当に、この距離感が温かい。
帰り際に担任の先生に「号泣しました」と伝えると「まだ本番が3月に残ってますからね」と言われた。
あぁ、3月。
大丈夫なのか、私?
こうして1つ1つの行事が終わっていく。
小学校の入学式も、その先の行事も、楽しみな事は沢山ある。
だけど、この「小さくて温かな空間」とのお別れが目の前に迫っている。
それを思うだけで、また泣きそうになるのだった。
**「昨日読んだ本」コーナー**
オンライン読書教育「ヨンデミー!」に、毎日「感想提出」をしている子供達が昨日読んだ本を紹介するコーナー。
<次男>
飾りを作ったり、ケーキを作ったり、クリスマスの準備を楽しむ兄弟のお話。
ロールケーキのレシピまで載っていて、親子で楽しめそうです。
〈長男〉
今日、私もこれを読みます!
今日もありがとうございました。