「親と違う価値観の自分でも良い!」と思えた話
前回の記事に書いた通り、「アダルトチルドレン」という言葉を知って以降、「自分は親とは違う人格だから、自分の人生を歩んでいいんだ」と思えるようになった。
それにより、「両親と違う価値観を持つ自分」を許すことができるようになった。
世の中には、「両親のことは無条件に尊敬して、全て受け入れなければいけない」という見えない圧力があるように感じるが、私はそれに長年悩まされてきた。
もちろん、私自身も親のことは尊敬しているし、親がいなければ私は今ここに存在することすらできていない。
ただ、親の価値観や信念について全て受け入れるかどうかは自分で決める権利があると思う。
私の父親はとにかくお金が大好きで、家族への愛情表現も全てお金。一銭も損したくないので、家族の雰囲気を悪くしてまで節約することを強要したり、100円のクーポン券を家に取りに帰るためにわざわざ長い距離を車で往復したりするタイプの人だ。(その割に、不倫相手に対してはお金を出し惜しまなかったようだが…)
それに加えて、父は冷静な話し合いをしたり、素直な感情を伝えたりすることが極端に苦手で、高圧的な態度を取ってくることは日常茶飯事だった。
そういう訳で、私は常に父からの感情面での愛情が足りないと感じていた。
「どうしてこんなに話が通じない親の元に生まれてしまったんだろう」
「こんな親の子供である自分のことすら嫌いだ」
「親のことは尊敬しなきゃダメなのに」
などと考え、自分を責めることも多かった。
しかし、最近になって自分の中の父親に対する感情に少し変化があった。
親が結婚した年齢と自分の年齢が近くなったこともあり、「意外と親も大した存在ではないのかも」と思うようになった。
それと同時に、「別に父のことを理解できなくてもいいや」と思うようになった。
20代後半になったから分かるが、結婚したからといって急に偉くなるわけではないし、子供が生まれたからといって急に完璧な人間になるわけではない。
むしろ、人はずっと未熟で、未熟なりに試行錯誤していくものだ。
それなのに、自分自身が勝手に親を「完璧で逆らえない、すごい存在」だと考え、無駄に恐れてしまっていた部分もあったのかもしれない。
子供の頃は親に依存しなければ生きていけないので、親という存在は本当に大きい。
でも、今は違う。不必要に親を恐れる必要は無いし、分かり合えない部分があってもいいのだ。
私は父ほどお金に執着していない。逆に、父が軽視している「感情」や「言葉」についてはものすごく大事にしたい。つまり価値観が全然違う。
今でも父は金銭面で得をした話をする時が一番楽しそうだ。とにかく輝いている。
私は今でも父のことは理解できない。
でも、怖いとは思わなくなった。お互い大事にしているものが違いすぎるだけの話だということに気づいたから。
お互い独立した個人として自由にやっていければいい。
そして、父に対してだけではなく、母に対する感情にも変化があった。
私は高圧的な父のことが怖くて仕方がなかったので、その分極端に母を崇拝している部分があった。
「父となるべく関わりたくない。その分母を見習って生きなきゃ。母の考えが最優先だ!」という考えにとらわれていた。
しかしながら「親と子供は別人格だ」と思えるようになってからは、今までは無条件に受け入れていた母親の価値観に対しても「それは違うんじゃないか」と思うようになった。
もちろん、母のことは今でも尊敬しているし大好きなのだが、精神的に独立したというか、一人の大人として対等に接することができるようになってきたと思う。
私の母は、「誰かを傷つけるくらいだったら傷つけられた方がマシだ」という言葉が口癖の、超お人好し。自己犠牲が生き甲斐とも言えるような優しい人だ。
以前の私は、心のどこかでそれに違和感を感じながらも「母のように自己犠牲の精神を持てない自分はなんて浅はかなのだろう」と自分を責めてしまうことが多かった。
しかしながら最近は、母について共感できる部分もあれば、できない部分もあるということを、冷静に受け止められるようになってきた。
母の価値観に完全に共感することができないからこそ、母の話を冷静に聞くことができているし、客観的なアドバイスをすることもできている。
それぞれが独立した人間であり、良いところは見習って、欠けているところは支え合って補うことができれば良いと思う。
かつては自分のことが嫌いで嫌いで仕方なかったが、自分の価値観を尊重し、親と違う部分を認めることができるようになってからは、少し自分のことを好きになることができた。
まだまだ試行錯誤している最中だが、精神的に親離れをし、自分の存在を尊重できるようになった今がこれまでの人生で一番楽しいと感じている。
これから先もどんな学びに出会えるか楽しみだ。
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