マインドフルネスと猫のいる生活 14
ノンプロット小説。最初は怖かったけど、慣れたら「案外この方法、自分に合ってるかも」と思うようになりました。
ノンプロットが怖いと思うのは、「面白いもの、書かなくちゃいけない! (; ・`д・´)」ってプレッシャーを自らに与えているからだと思います。
「こんな、場当たり的に書いたものが、本当に面白いのか?」「起承転結ができているか?」「ちゃんと着地してくれるのか?」等々。様々な不安がありました。
暗く長いトンネルに、懐中電灯も持たず、裸で放り込まれたような感じで、頼れるのは自分の勘のみ。出口がどこかわからないまま、「こっちじゃね?」と進んでいき、遠くに小さな光が見えた時は、ほっと胸を撫で下ろしますが、最初は輝いて見えたその光が、近づくにつれ、次第に靄がかかったようにぼやけてきて、トンネルを出た(脱稿した)時に現れたのが、オアシスではなく曇天の沼地だったことは、二度や三度ではありませんでした。
それでもしつこくノンプロット修行をしているうちに、だんだん不安も払拭されていきました。「所詮、自分の書いたものを自分で評価などできない。面白くないと本人が思っても、面白いと思ってくれる誰かがいるかもしれないじゃないか」という超ポジティヴ思考が芽生えてきたのです。逆もまたしかりなんですけど……(;´・ω・)
話は変わりますが、純文学やってる人のほとんどがノンプロットじゃないですかね? エンタメ作家でノンプロットを適用しているのが、有名どころでスティーヴン・キング。彼の小説を読むと「なるほど、こりゃノンプロットっぽいよね」と思います。日本人エンタメ作家では、奥田英朗さん、桐野夏生さんなんかも。小説は生ものだから、プロットなんか練っちゃダメなのだそうです。
ということで、面白いんだか、面白くないんだかサッパリ分からんノンプロット小説を量産しました。
質より量。
そう。自分の売りは「量」なんだということで、あちこち浮気をせず、ひとつの賞に絞り込んで、投稿を始めました。誰かが「こいつ、あんま面白くないけど、書く量はすげーな」と気づくのを期待して。
わたしが選んだのは、小学館の「きらら文学賞」です。出来立てほやほやの賞で、枚数に制限がなく、広範囲なジャンルで、締め切り設定もない、自由なところが気に入りました。
がんがん原稿を送って数ヶ月経ったころでしょうか? 小学館編集部よりメールが届きました。確か「このまま書き続ければ、もしかしたら入賞候補になれるかもしれない」っといったような内容だったと思います。
目の前に急に、ピンク色のお花畑がぱ~っと広がったように、嬉しかったですね。メールを受け取った日の晩は、久しぶりにお酒を飲みました。何とか目途がつくまで、ずっと断酒していたのです。
それからは、ますます執筆に拍車がかかりました。自分の売りは、毎日せっせと歯を磨くように、休みなく書き続けることだけ。
そして苦節三年半。ついに新人賞を受賞しました。( `ー´)ノ
受賞作は「ア・ハッピーファミリー」として06年、小学館から出版されました。
受賞の通知があってからも、わたしは書き続けました。
受賞自体は非常に嬉しかったのですけど、こんなことだけで喜んでいたら、酷い目に遭うと思っていたからです。
どこまでもネガティヴ発想の黒野です。
続きは次回に!