マインドフルネスと猫のいる生活 15
文学新人賞受賞は末期がんの告知と同じ、と言った作家がいました。5年後の生存率が、10%くらいだからだそうです。
生き残りのパーセンテージには諸説ありますが、実際のところ、受賞作しか書けず、ドロップアウトしてしまう作家は結構いるみたいですね。
三作目にギブアップ、という人も多いようです。処女作は自分の体験を題材にし、二作目も別の体験をテーマに書き、三作目にはもう体験が尽きたから、0からフィクションを書こうとするも、これが案外難しいことに気づくといいます。二作目までは、主人公は自分自身でよかったのですが、三作目は自分以外になる必要性が出てきます。異性だったり、自分よりずっと年上(年下)だったり、会社員の自分とはまったく違う職業についていたり、火星人やドラキュラやゾンビだったり……
……(;´・ω・)
こういうのが苦手の人は、私小説(エッセイ)専門に行くか、ドロップアウトしてしまうみたい。
作家として長くやっていきたい人は、ともかく、引き出しを多く持ったほうがいいと思います。
学生デビューした若手作家が、そのうち書けなくなるのは、やはり経験が少ないからでしょう。いつまでも学園もので引っぱれるわけではないし、社会人を経験していないと、世の中がどのように回っているか、今一分からないから、骨太のものを書くのは難しい。
わたしが新人賞を取ったのは、45歳の時でしたが、受賞作の主人公は14歳の少女でした。受賞の知らせが届く前に、編集部に送っていたのが、第二作として刊行される「万寿子さんの庭」で↓
こちらは20歳のOLが主人公。そして三作目の主人公はネコ↓
四作目は、70代のおじいちゃんです。↓
次から次へと、こんなに書いて、さぞや儲かったんじゃない? と思われるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。(; ・`д・´)
日本は1996年からず~っと右肩下がりの出版不況です。なぜこんなことになっているのか、様々な分析があるようですが、わたしはズバリ、デフレ不況が原因だと思ってます。1996年は折しもGDPデフレーターがマイナスに傾いた年でした。
まあ、平たく言えば、皆さん極力物を買わなくなったのです。先行きが不安ですから、無駄遣いをしたくないのでしょう。供給が需要を上回っている状態がデフレです。
だからシェアリングエコノミーみたいなものが流行り、新車や空き家までもがシェアーされる時代になりました。
こういう時代に、一番シェアーしやすいものはナンでしょうか?
もちろん、本ですね! ( `ー´)ノ
読みたい本は、回し読みすればよいのです。本にお金をかけるなんて、もったいない。新刊を書店で買う前に、図書館で予約状況を確認したり、親しい友だちが持っていないか訊いてみたくなる気持ち、よくわかります。
と、自分の本のつまらなさを棚に上げて、デフレのせいにしてしまってますが、(^^)/ 実際、執筆だけで食えている作家はごく一部だけ。そんな人気作家の彼らも、5年、10年と売れ続けることは稀です。(-_-)
とはいえ、やりがいのある仕事ですから、憧れる人が多いのも分かります。そういう人たちにアドバイスしたいのは、半農半Xならぬ、半筆半Xの生活ですね。
つまり平たく言えば、兼業です。バイトしながら執筆するのは恥ではなく、むしろ執筆の助けになります。社会との繋がりの中に、ネタは結構転がっていますから。引きこもり専業作家になってしまうと、世間とのずれが生じてきて、ふわふわしたものしか書けなくなるリスクがあります。
田舎に移り住んで、野菜を育てながら執筆なんてのもいいかもしれません。晴耕雨読ならぬ晴耕雨筆。なんだかほっこりしませんか?
作家で億を稼ぐことは不可能とはいいませんが、お金だけが目当てなら、こんな非効率な仕事は選ばず、外資系の証券会社や、GAFAのようなところに勤めることをお勧めします。
って、今日こそマインドフルネスを書こうと思っていたのに、相変わらずこんな話ばかり続けてますね。
続きは次回で。(^^)/