「スティーブ・ジョブズ」翻訳者の仕事部屋 by 井口耕二
本の題名通り、著者は「スティーブ・ジョブズ」を翻訳した井口耕二氏で、「スティーブ・ジョブズ」の翻訳に関する裏話や彼の仕事の流儀や人生感などをギュッと詰め込んだ内容の本である。
私は現在、この「スティーブ・ジョブズ」の文庫本上巻の途中で読むのが止まっているが、元々の翻訳の単行本は原本と同時に出版する企画だったことから、その短期の出版スケジュールに間に合わせると共に、当然質も維持させるため、相当苦労したことがこの本に書かれている。
また、この本で書かれている翻訳の具体的な説明を読むと、簡単に翻訳と言っても、原本を如何に日本の読者に誤解なく且つストレスなく読んでもらうために、いろいろ繊細に検討した上で翻訳されているのがわかる。さすがプロなんだなあという感想を持った。私も仕事で時々、英語の書類を日本語に訳することがあるが、この本で著者が気を配っているレベルとは天と地ほどの違いがあると反省させられた。
著者は、フィギュアスケートで全日本に選ばれるレベルの選手で、東大を8年かけて卒業した後、出光興産に入社し、米国留学したのち、育児退社してフリーの翻訳者になったという珍しい経歴の持ち主であるが、そうした内輪話をこの本で書かれているので、その内容は大変面白かった。
途中で止まっている「スティーブ・ジョブズ」」の続きを早く読まないと苦労して訳した著者に申し訳ないと思った。この本は、大変面白かったので、当然5/5です。