短歌 #6


輪郭はやさしく頷くだけだから  偽る 分からないままでいて



見慣れた景色であるほど終わりって透明ね ずっと笑っててね



祈れば祈るほど滓として 身に余る満ち足りぬを知る 燦々



くだらない願いばっかりつのってく もう何も言わない方が良い



勝ち負けでなくとも有利不利ではある ワンテンポ いつも乱してる



暮れてゆく夕日の背中を追いかけた 影に追い付かれないように



あのときは世界にふたりだけだった 大人になったね、悪い意味で



段ボールだらけになったこの部屋で箱詰めできないわたしと夜



花降らし 雨に濡れては風が吹き 時は流れる 川底でひとり



目も口も鼻も耳も塞いだら あの日に還れるでしょうか、嫌いだ



愛香るたびに度々傷つくこと 入れないまま はないちもんめ



誰もいないと思う自分だけは居る夜 もしもしって繋がれない



眠る君 瞼の三日月 撫でてたら 吐息から溢れる おやすみ



この窓は屋根に繋がっているんだ 言った君がそこから投げた命



ここでしか生きられないの わたしたち 吸う息ですら汚れていてさ



どこへでも飛んでいけるの 軽いから 空っぽだから 吹かれて飛ぶの



捲ったら次のページにある言葉があなたの正体です 「虚しさ」



葉脈をなぞってみたらひとつずつ命が居たから噎せてしまった



何年も履いているのに靴擦れする そんなかんじの人生です



額縁に飾れないのに美しく風化していくばかり おもいで



正義って書けるその手に銃声を 白で重ねた真っ赤な嘘を



生活があなたを忘れてしまっても引き出し裏に住んでたりする



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本にまとめる、と言ってから新たに50句ぐらい増えてしまいましたので、編纂しなおしたくなっています。苦しみ。生んでいる瞬間は生んでいるもののことしか考えられなくて、それよりも先に既に今の自分がいるから、あの時作りたかったものはもう今は作れないんだろうなと思う。逆に今しか作れないものがあるから、それを形にするのを目指していきたいです。

一気に何作かまとめて作っちゃうのもありかな、財政難になっちゃうな、日々虚ろですね。

後半2句は下の句を友人に作っていただきました。感謝。

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