親愛なる同志たちへ
みなさんおはこんばんちは。
今日はすっごい眠い日です。
マッサージいきたいん。
今回は映画の感想です。
観た映画は、コンチャロフスキー監督による映画『親愛なる同志たちへ』。
ご覧になられた方いらっしゃいますか?
ロシアでは2020年、日本では2021年公開でしたが、私は教授の家のテレビで見ました。
教授のお家のテレビは、WOWOWプライムに加入しており、その時ちょうど放送されていたのがこの映画でした。
主人公の女性・リューダは、共産党市政委員会のメンバーであり、いまは亡きスターリンに傾倒し、ソ連の共産主義が正しいと信じてやまない、正義感の強い女性です。
そして一人の娘を持つ母でもあります。
上述の通り、スターリンの死後、フルシチョフに政権が変わったことで、国民感情にかなり変化が出ていることが作中でも示唆されます。
そういやスターリン批判を始めたのもこの人でしたね。
労働者に向けての対策を練る際に反スターリンが増えていること、リューダの娘・スヴェッカが「時代は民主主義」と言って母親と口論になって家出したり、同年代の少女たちで同じ思想で集まるグループがあるなど・・・
リューダ自身はスターリンの後幅を利かせ始めたとぼやいているシーンもあります。
そんな中、ソ連南西部ノボチェルカッスクの機関車工場で大規模なストライキが勃発。群衆は街の中心部に向かって二日ほどかけて行進。
リューダの娘スヴェッカも、中心部のデモ行進に参加する、と発言し、リューダと口論になり家出。
このストライキ・デモ行進を受け、政権は情報遮断と制圧のため高官を派遣、結果的に発生したのが集まった5000人のデモ隊・市民を無差別に銃撃した、「ノヴォチェルカッスク虐殺」でした。
これは実際にあった事件で、Wikipediaによると、1962年6月2日に、ソ連軍とKGBによってノヴォチェルカッスクにて発生した、デモ行進をしていた非武装の市民を虐殺したもの、とあります。
KGBによる公式発表では、死者26人、けが人86人、これはいずれも子供を含めた人数で、逮捕者は240人であったとのこと。
リューダ自身も虐殺作戦を知り、パニックの中娘を探すため駆けずり回る中で、リューダ自身が自分の思想、信念、人生を見つめることになるのです。
映画のキャッチコピー、「私は信じていた。この祖国、母であること、そして我が人生をーーー」というのは、リューダの揺れ動く感情をよく表現しています。作中で彼女は、祖国の思想を信じ教育を施し仕事に従事し邁進した結果、正しいと思っていた祖国の非道な行いを目の当たりにし、愛娘は探し出すことが出来ないという「裏切り」にあいます。
リューダは、娘を探す中でもなお、「共産主義以外になにを信じればいいの?」と発言します。
それがどれだけソ連という国が共産主義をいかに浸透させているか、その共産主義を掲げた政権が起こした暴挙に信念が揺れる様子がこの一言に込められています。
この映画の面白いところは、すべてモノクロで撮影されていること。
監督はコメントにてこう発言しています。
白黒にすることによって、当時の様子をよりリアルに映し、上述の不協和音を端的に表現することが出来、また虐殺の流血シーンや情報隠ぺいのシーンなどの事件の核心的なシーンを淡々と描き出すことが出来る。それによって鑑賞者は事件を俯瞰的に、しかし衝撃をもって見ることが出来るのです。
リューダの感情の変化とともに事件を描くことによって、より事件、ソ連という国、激動の60年代が浮き彫りになる、素晴らしい映画だと思います。
公式サイトに制作ノートがたくさん掲載されていますのでPVもあわせて、ぜひご一読ください。
また7月にWOWOWで放送もあるようです!
ご加入で未試聴の方はぜひご覧ください~~~
それではまた。
さおりさん。