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成果との相関を見つける!顧客管理で扱う情報と運用方法


顧客管理は相関を見つけるためにある

広告代理店として勤務していたときのこと。

WEB広告からリード(見込み客)を集め、LINE公式アカウントで無料相談を受け付けるという座組で集客支援を行っていた。

LINE公式アカウントは企業版チャットアプリであるが、拡張ツールを連携させることで、顧客管理として機能する。例えば、ユーザーのクリックやアンケートなどの情報を基に配信メッセージを出し分けたりできる。

当初、私の担当アカウントは苦戦していた。解決の糸口が欲しかったので、メディアの人気記事やキーワード検索数、現場担当者にヒアリングしたりと情報をかき集めた。

一番のヒントは、無料相談フォームの内容だった。相談内容から特定した強いニーズを基に、配信メッセージや導線設計を修正した結果、費用対効果が大きく改善した。

ここでお伝えしたいのは、成果と結びつく”何か”を見つけることが重要だということだ。売上につながる顧客とそれ以外を比較することで”何か”は見えてくる。

本記事では、顧客管理で集めるべきデータの種類運用のコツをお伝えできればと思う。読んでくださった方々の参考になれば幸いだ。



顧客管理の運用の流れ

1. 顧客情報を定義する

まずはデータベース設計が必要になる。お問い合わせや購入といったビジネス成果指標だけでなく、相関がありそうな顧客データを定義しておこう。

相関がありそうな顧客データは、顧客解像度の高い営業担当やカスタマーサポートから話を聞いて見当をつける。可能なら商談にも同席させてもらおう。

20~30商談こなしてくると傾向がつかめてくるので、次は情報設計に入る。お問い合わせフォームや営業担当者からどんな情報を収集できるようにするかを決めていこう。

ER図で設計図を作成するとそのままシステムのドキュメントとして機能するので効率的。私はdraw.ioという無料ツールを利用している。

データベース設計はER図で

📢顧客ニーズの吸い上げを仕組み化📢
商談数が増えてくると、すべてに同席するのは無理がある。
その場合、ヒアリングのフォーマットを定めて、商談内容からニーズを抽出する仕組みが必要になる。
オンライン限定だが、以下のような業務フローで半自動化すると捗る。
1. Nottaなどのサービスで商談内容の文字起こし
2. NotebookLMで文字起こしデータを箇条書きで要約
3. 報告書提出用のフォームから提出

🔍顧客から話を聞く以外の調査方法🔍
顧客の解像度を上げるには、顧客自身や営業担当からのヒアリングがベストだが、そもそも顧客基盤がなければ、この手は使えない。
新規サービスなどによくあるケースだが、ヒアリングの対象者がいない場合、代替案が必要になる。候補としてここでは2つ挙げる。
1. 業界に詳しい専門家
1つ目は、業界経験のある専門家から話を聞くこと。顧客の解像度が高い営業担当者の代わりになる人物を外部から調達する方法だ。ビザスクなどの専門家に質問できるサービスもあるので、そこで探すことになる。
2. 市場調査
次善の策は、アンケートなどの2次資料を読み込むこと。調査会社や行政が公開しているレポートや調査結果を通じて顧客解像度を上げることができる。PDF形式で公開していることが多いので、「業界名 filetype:pdf」で検索してみよう。しかし、あくまで2次資料なので過信は禁物。実際の顧客とはズレがあることが多いので注意が必要。

顧客の話から見当をつけることで、成果につながるヒントを引き当てる確率を少しでも上げておくのがポイント。この工程をすっ飛ばしているので、顧客分析をしても何も分からなかったという現場をたくさん見てきた。

また別の落とし穴は、定量的なデータばかりをあつめること。「現在の課題や願望」「検討している解決策」「購入の決め手」などの定性的なデータもあると理想的だ。

顧客の定性データが欠けていると、売れてるけど「何故かはわからない」といった状況になりがち。売上が突然下がったときに対策が打てなくなり非常に危険なので気をつけよう。



2. 情報の流入経路を作成する

次に顧客管理システム(CRM)にデータが流れ込むようにしなければならない。お問い合わせフォームと紐づけることで、自動的に顧客データが入るようにしておこう。

営業担当がいるなら、商談でヒアリングした内容を追加で入力できるようにしておくと、顧客の解像度が上がりやすい。ベタ打ちでもいいので、テキスト形式で入力できるようにしておくと、後でAIに要約させることができるようになる。



3. データ分析の切り口を考える

データの偏りを見つけ、何が成果と相関があるのかを見つけていこう。
お問い合わせやリピート購入などを達成したユーザーだけを抽出して、年齢や興味関心などの軸で細かく分析してみる。

すると何かしらの偏りが見つかるので、そこから仮説を立てていく。成果につながらなかったユーザーとの比較もきちんと行おう。

マーケティングは社会科学に分類される学問だ。社会科学は「触れない」「観測できない」ものを研究対象にしている。心理学などがいい例で、”心”は概念であり、見ることはできない。

そういった対象を理解するために、さまざまな切り口で分析することになる。例えば

性別:男性心理・女性心理
社会:集団心理
性格:MBTIなど

つまり言いたいのは、顧客データ分析も”切り口”が重要ということ。何から分析すべきかわからない時は”切り口”という視点で考えてみよう。



4. マーケティングや営業活動へフィードバック

成果との相関が見つかったら、ようやく広告や営業資料を改善することができる。広告の配信先や営業資料を修正して、より刺さるターゲティングや訴求を目指す。

ここまで来たら、やるべき事は明確になっているので、正直そこまで書くことはない。

プロモーションは、誰に(Who)何を(What)どのように(How)伝えるかのコミュニケーション設計だ。顧客分析から見つかったインサイトを

①ターゲット
②訴求軸
③伝え方

の内、どれを改善できるかという視点で考えてみよう。



集めるべき顧客情報

顧客情報の定義で述べた”情報”の具体例は以下の通り。必要なデータは他にもあるし、データベース設計にも紐づくので、経験が必要な箇所だが、足がかりとして抑えておくと便利。

人口動態

  • 性別

  • 年齢

  • 職業

  • 家族構成

  • 年収

  • 居住地

  • 学歴

心理的属性

  • 興味・関心:検索したキーワード等

  • 性格:MBTIなど

  • 達成したいゴール:例)体重を落としたい

  • コストをかけてでも解決したい課題:例)運動はしたくない

行動データ

  • Webサイトの訪問履歴と閲覧ページ

  • 購買行動や購入履歴

  • SNSの投稿への反応

  • アプリの使用状況やダウンロード履歴

  • ニュースレターの登録やメール開封率

  • ショッピングカートへの商品追加やカート放棄

  • サイトでのアカウント作成

  • コールセンターとのやり取り

企業特性

  • 業種/産業

  • 事業内容

  • 従業員数

  • 売上規模

  • 所在地

  • 設立年数

  • 組織構造(法人/共同経営/個人事業など)

  • 上場の有無

  • 担当者の氏名

  • 担当者の役職

  • 担当者の所属部署



顧客管理をガッツリやってみよう

本記事では、顧客管理の肝は成果との相関を見つけることという話をした。定性→定量という流れで情報を集めていき、分析からビジネスへのフィードバックまでの流れを解説した。

他にもユーザー行動の計測方法や顧客管理システムの設定方法など、考えなければならないことは多々あるが、一番重要なことはお伝えできたと思う。

本格的な顧客管理を行う方の参考になれば幸いだ。



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