『まんがで知るデジタルの学び2』から学ぶこと
Google for Education認定トレーナー&コーチの笠原です。
本日は自分にとってイチオシのシリーズのこの本を紹介です。
以前に『デジタルの学び1』の予告だけして書評を書かなかったことを深く反省しています。
最終章がデジタル・シティズンシップであること
この本を一読して「これはすごい」と思った一番の理由はその構成の巧さにあります。
本書の最終章がデジタル・シティズンシップについての内容で、なおかつそのことが非常に効果的に「今の教育はどこに向かうのか」ということに明るい光を照らしてくれているように感じます。
また、最終章のデジタル・シティズンシップの話題に向けて、各章で繰り広げられる色々な「教室の日常」が非常に意味を持っているのです。
デジタル・シティズンシップ教育について、周囲の先生に印象を聞いてみると「全然、新しい概念で自分には理解できないんじゃないか」という心配と不安をよく聞きます。
実際、デジタル・シティズンシップ教育について取り組んでいくと、これまでの教育と地続きの部分と発想を変えなければいけない部分があるのは事実です。ただ、本来、教員が持っているはずの「子どもの成長を考える」姿勢があれば、無理なく理解できる考え方であるはずなのです。
参考に出来る文献が英語のものが多く、まだまだ普及し始めた時期であるのでイメージを持つことが難しいのだと思われます。
しかし、本書は最初から最後まで丁寧に通読していけば、学校におけるデジタル・シティズンシップ教育とはどのような考え方、マインドセットなのかということを感触としてつかむことが出来るだろうと思います。
学びの中心に子どもたちが位置して、その周りを大人たちが支えていく。そして、直面する様々な困難に対して、どのように主体的に向き合っていくのか……そういう過程がよく分かるのです。
色々な教室の姿が見える
本書のもう一点、優れた点を紹介するのであれば、教室の様々な景色が上手く描かれていることです。
先生方の人間関係や教育観の違い、子どもたちがそれぞれの個人個人に思っていること、少しずつ変化していく関係性、学校を取り巻く人たちの存在……そういう学校に関わる多くの要素が非常にシンプルにそれぞれの場面場面に見事に織り込まれているのです。
実力のある先生の条件を考えていくと、必ず、どれだけ教室の様子や子どもの様子を精緻に見取ることができるかということは挙げられます。
そういう力量のある先生から見える学校の、教室の姿が描かれていると言えます。だからこそ、ここまでの丁寧さで自分の教室を見ているのだろうか、そういう振り返りに強く誘い出されます。
本書でも少し触れられていましたが、まさに自分の教室のリフレクションにつながっているのだと思います。
こういう丁寧さを持って教室や学校を読み解けるようになりたいですね。
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