ICTと国語の授業として大切にしていること
Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。
GWは授業準備期間です。
アイデアは……どん詰まりの状況ですが、授業に向けて色々なことを準備しているところです。
忘れられがちなのですが、自分の本業は国語科教育です。国語科とICTというと相性が悪いイメージが持たれることが多いのですが、自分としてはこれ以上、相性の良い組み合わせはないだろうと思っています。
そこで自分がICTを活用した国語科の授業として大切にしていることを紹介します。
量と選択肢
ICTの最大の強みは、資料を配布することの手間が減らせることです。アナログであれば全部印刷しなければならなかったものを、印刷せずに全員の端末に共有できることは非常に威力を発揮します。
そのため、授業の中で活用する資料の量を圧倒的に増やすことが出来ることに強みを感じています。有償サービスですが、ジャパンナレッジSchoolも利用しているため、ICT端末があることでアクセスできる資料の量が段違いになっています。
使える資料の量を増やせる特徴を活かすことが、ICTを活用した授業の第一歩であり、必ず意識したいことだと考えています。
資料の量を増やすことによって「授業時間が足りなくなるのでは?」という疑問を持たれるかもしれません。しかし、配付した資料を必ずしも全て読む必要があるとは考えていません。
資料を増やすことのメリットは、詳しい授業の解説をするという意味ではなく、それぞれの生徒が資料の中から自分にとって意味のある資料を見つけて学びを深められるようになることであると考えています。
もちろん、こういう方向性の授業は、板書で教科書の本文を解説するという発想や与えた資料は全て意味がなければならないという発想から脱却する必要はあります。
教員の描いた指導案の通りに展開するのがよい授業という発想では、多くの資料と選択肢を渡すことは、混乱の原因を作っているようにしかみえないことでしょう。
しかし、教員が教えたいことを教え込むという発想から離れ、学習課題に対して一人一人が意味を作り上げることが授業の学びだと考えれば、資料を大量に読んだり書いたりすることが要因にできるICTの強みを活かせるだろうと思うのです。
もちろん、闇雲に資料を渡すのではなく、その資料のセレクションに一人一人の子どもたちの実力や興味関心などを思い浮かべつつ、そしてトータルでどのようなメッセージがあり得るのかということを考えることにこそ、専門の教科を教えるプロにこそできることがあると思うのです。
※著作権には注意。勤務校はSARTRASに補償金の支払いを行い、授業での活用を推進するようにしています。
派手なツールの活用は要らない
ICTの活用のためには、どうしてもツールを使って習熟する段階が必要です。自分も学年の初めや学期の初めの段階だと、生徒に対してツールの使用をかなり指示して、かなりの時間をツールの操作を理解するための練習に使います。
そういう様子を見られると「ツールを使うことが目的化している」と言われてしまうのですが、その指摘はその通りです。ツールを使うことを目的にして、ツールをたくさん使うことで、習熟して得られるスキルを軽く見ないようにしています。
もう少し学校全体でツールの活用が進めば、おそらく自分一人でやらなければいけないツールを使うためのツールの活用の時間は減らせるだろうと思います。移行期だからこそ慣れている人が進めるのが全体にもメリットが多いと考えています。
ただ、生徒がツールの操作に慣れてきたら、何かツールを縛って派手な実践をすることには全く意味が無いだろうと思っています。
意味も無く動画を作るという課題にしてみたり、意味も無くCanvaにまとめさせてみたり、意味も無くKahoot!でクイズをしてみたり……そういうことをしなくなるようになるのが理想だろうと思っています。
ツールの選択は評価する時の都合もあるので、オールフリーにはできない面もありますが、慣れてくればどのツールを使うかの指示を学習の指示から外していけることが望ましいのだろうと思います。
自分の教えている高校三年生の教室では、ツールについて何を使うかの指示は提出の都合以外ではしないようにしています。しかし、生徒は自分の好みや目的に合わせてICT端末を使うようになっています。
逆説的な話ですが、ツールが定着している授業ほど、ツールが全く目立ちません。
何かツールを使わせることが目的化しているとしたら、それは授業の目標の設定が上手くないのだろうと自重しなければいけないと考えています。
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