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生徒のメディアバランスを知る

Google Workspace for Education認定トレーナーの笠原です。

10月に入って今年度の研究テーマであるデジタル・シティズンシップ教育の授業を展開しています。

今回の単元はSTEAMLライブラリーと『デジタル・シティズンシップ+』を底本に考えて実施しています。

「メディアバランス」について振り返る機会を作って、実践を行っています。

簡単な活動で効果が出る

この単元のポイントとしては、生徒自身が自分のメディアとの付き合い方を振り返ることにあると思っています。

普段意識していないメディアを使うバランスを視覚化したり友達と比べてみたりすることで、自分のことをよく理解して「どうしたいか」を自分で決める過程を経験することに意味があるのです。

だからこそ、少し高校の国語の授業としてはハードルが低いと言われるかもしれないのですが、授業内でしっかりと時間をとって作業をしてもらっています。

STEAMライブラリーのメディアバランスの活動を実際にやってみると、生徒自身もかなり気づきがあるようです。

生徒の感想を見ると、自分のメディアの使用時間が思っていたよりも長いことに気づきがあったり、友達から利用の方法について意見をもらって自分のことを振り返ったり、「見える化して話す」ことで色々と考えている様子を感じます。

この活動のよいところは、「メディアを使わないようにしよう」という短絡的な結論になるのではなく、お互いのメディアの利用方法などについても話し合うことになります。

だから「時間は長いけどこういう利用法なら意味があるからこう上手く使おう」という意見や「時間は短いけどちょっと振り回されているかも…」という意見が出てきます。

こうして色々な立場から考えた上で「どうしたいか」を考えると、ちょっとした工夫を前向きにしていこうという生徒の意見が見られるようになりました。

ちょっとした言葉遣いの違いなのですが、形だけの反省ではなく自己肯定感を持ちながら、自分の言葉が出てきているなぁと感じます。

生徒の実態を知る

生徒にとっても意義深い単元だと感じますが、教員の方がよりいっそう学んでいるように感じます。

というのも、そもそも「生徒がどのくらいメディアと付き合っているか」ということを、教員は分かっているようで全然わかっていないのです。

だから、こういう活動を通じて生徒の実態が見える形で現れてくると、教員の思い込んでいた生徒の姿と実態の差に驚くことになります。

また、生徒に「どうしたらいい?」と問うと、自分たちなりに経験を通じて「こうしたらいいかも」という意見をちゃんと持っていることも分かります。

一回、問いかけるだけでは教員の視点からすると浅はかだなぁ…と思うことも正直出てきます。しかし、時間をかけて話し合っていると、ちょっとした瞬間に、体験に根ざして説得力のある言葉が出てくるのです。

生徒が教員が思っていたよりもちゃんと考えていると気づくことには大きな驚きがあります。

自分たちが生徒のことを知らないのだと気づくことで、授業の展開も分かってくるので、こういう対話の場は非常に重要です。

学ぶ力を信じて時間を渡す

デジタル・シティズンシップ教育の授業は、「対話」が非常に重要です。

対話をするためには、話すべきコトを生徒の中にたくさん蓄えられるような仕掛けが必要ですし、話すために十分な時間を準備することも重要です。

どうしても授業数が足りなくて駆け足で「ほら、話し合って」とやりがちなのですが、本気で対話を望むのであれば、どこかで腰を据えてたっぷりと対話の準備から時間を使わなければいけないと感じます。

デジタル・シティズンシップ教育の素材は、時間をかけて話すのにふさわしい題材だと感じます。

国語の授業でこそ、積極的にデジタル・シティズンシップについて対話する授業を取り入れたいですね。

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