
『箱男』(2024)【新作映画】

50年前に現在のネット社会を予見していた、
安部公房氏の原作。
27年の時を経て、ようやく結実した
石井岳龍監督による映像化&劇場公開。
…だが例によって、その辺りはどうでもイイ。
―――そう!箱男vs箱男のバトルだッ!!☆




ダンボール箱というアイデンティティを纏う
謎人間たちが、
決してそれを脱ぎ捨てたりなどする事なく、
果てしなく繰り広げる死闘!激闘!!
当然だ。何しろ「最終形態」だからな…!☆
…今年は売れるぜ?
タテ型洗濯乾燥機が、爆発的にな。
―――「箱男」と化すために!!
天地無用ッッ!!!
昭和のギャグ漫画から飛び出して来たかの様な、
否が応でも鑑賞意欲を掻き立てられる
そのビジュアル。
一歩間違えれば、C級Z級と揶揄されかねない。
「箱男って、かっけぇ~!!」
と、保護者の助言を得ながら本作を鑑賞した
(←PG12作品)小学生男子どもが、
どこからかパチってきたダンボールに
スッポリと身を包んだアンチヒーローになり切り、
見えない敵との闘いに身を投じ、酔い痴れる事だろう。
…そして、気付いてしまうはずだ。
スマホでは決して覗く事のできない、
“非日常世界”の存在に…!☆
そう。
劇中での独白は観念的で難解だけど、
似たような感覚を、実は多くの方が
幼少期、既に味わっているのではないだろうか?
私事だが、昔、自宅の家電品が新調された時、
梱包していた大きなダンボールを
電気屋さんに融通してもらった事がある。
さながら「動く秘密基地」といったその箱は、
例えそこに居る事がバレバレでも、
こちらの視線や行動は非常に読み取られにくい。
まるで透明人間にでもなったかの様な無敵感に、
それはそれは高揚したものだ。♪
…その時、普段いつも目にし、自分が存在している
“日常空間”が“非日常空間”へと変貌したのだ…!☆
まるでヴァーチャル空間に突入したかの如き
新鮮な体感、ワクワク感だった。
本作を観て、その記憶が鮮明に蘇って来た。
劇中の昭和感あふれる情景も、それを後押しする。
『ドラえもん』の“デンデンハウス”エピソードを
想起した方も多いのではないだろうか?

「ばくだんでもこわれないよ」がデンデンハウスの
ウリだったが、本作で箱男が纏うダンボール箱は、
激しい闘いの末、ボロボロに傷ついてゆく。
『ダンボール戦機』の様な強化ダンボールでもなきゃ
プラダンでもない、本当にただのダンボールぽいな。
…果たして、本物の「箱男」は誰だ!?
その称号を得られる者は、街でただひとり!!
ワッペン乞食・渋川清彦や、偽医者ヒットマン・
浅野忠信に命を狙われながら、
主人公・永瀬正敏は孤独な闘いを続けるのだった…!
―――行け、マサトシ!
唸れ!必殺のブラックジャック!!
変態王の名を欲しいままにするタダノブをブチ砕き、
今こそ貴様の手で、世界を掌握するのだッ!!!☆
…以上、
帰りの電車の中で、記憶がホットなうちに
ノートにバリバリ感想をメモりながら。(笑)
↓↓↓でもまぁ、「箱男」言うたらコレやろ?
『嗚呼!!毘沙門高校』(1983)より、ドカベソ登場シーン
