48) 不幸をくれてありがとう
今日、「マンガ沼」というテレビ番組の見逃し配信を見ていて、MCの麒麟の川島さんが新造圭伍さんの短編集「センチメンタル無反応」を紹介していた。
この短編集のひとつに新造さん自身の経験を描いた「悪性リンパ腫で入院したときのこと」という作品がある。
新造さんは入院中、医師から血液のガンというべき「悪性リンパ腫」と告げられて、「不幸をくれてありがとう」と思ったそうだ。
それから、入院中の病室で「ひらやすみ」というマンガを書き始め、この「ひらやすみ」という作品がビックコミックスピリッツでの連載が決まったとのこと。
麒麟の川島さんは、「悪性リンパ腫」と告げられた状況の中で、「不幸をくれてありがとう」と思えることが凄いと語っていた。
ネットで調べたところ、新造さんは、現在、無事回復されている。
生きているといろんな出来事と向かい合うことになるけど、その出来事に意味を付けるのは誰でもない自分であり、自分がどんな意味を与えるかで、それ以降の過ごし方が決まっていく。
自分にとってよくない出来事があった場合、大抵、ネガティブな気持ちになるものだ。
一度、葛藤抱えてしまうと、その出来事について色々考えてしまい思考のループにはまってしまう。
葛藤はその内容にもよるけれど、手放せるようになるまでには時間が掛かかるものものであり、その間、苦しみを抱えて生活することになる。
しかし、新造さんのようにどんな出来事があっても「不幸をくれてありがとう」と思えるようになると、葛藤に対しての向き合い方が変わるのではないかと思った。
ネガティブな出来事をネガティブな気持ちで向き合ってしまうと、そこに対立する感情を生み出してしまうことになり、その対立の感情が葛藤となって、しばらく抱え込むことになってしまう。
しかし、ネガティブな出来事に対しても「ありがとう」という言葉で返すことができると、対立の意識を生み出さずに、その出来事にどう対処していけばいいか冷静に考えることができるようになる。
つまり、ネガティブな思いを「ありがとう」という言葉で上書きすることができれば、その出来事に対する処理速度を速めることができるのだ。
人は、よくないことは起こってほしくないと思って生きている。
しかし、よくないと思うことでも、それを乗り越えることができると、対処法をひとつ身に付けることになるため強くなる。
ネガティブと感じる出来事は、筋肉に負荷を掛けて筋肉痛を起こして筋肉を太くするようなものであり、自分という存在の強度を上げさせてくれるものなのだ。
そこで、ネガティブと感じるような出来事があっても、「自分を強くしてくれる経験を与えてくれてありがとう」と思うことができるようなると、葛藤を抱えることなく、考えを対処の方に向けられるようになっていく。
大切なのは出来事と対立することではなく、対処する技術を身に付けること。
「ありがとう」は、どんなことにも適応できる言葉であり、ネガティブと感じることがあった場合に、新造さんのように「不幸をくれてありがとう」と思うことができれば、思考をすぐに対処・改善の方に回すことができるようになるだろう。
そこで、どんな出来事にも「ありがとう」と思って生きていけるようになると、心に「詰まり」をつくることなく、風通しのよい人生を送っていけるようになる。
「ありがとう」は最強の言葉なのかもしれない。
そんなことを考えた。