#131 北上高地と宮沢賢治【宮沢賢治とシャーマンと山 その4】
(続き)
私自身は、これまで宮沢賢治と早池峰や花巻の大迫地域との関係を意識した事はほとんどなかった。賢治が石に強く興味を抱き、登山を繰り返していたことは有名だが、賢治と山と言えば、奥羽山脈側の岩手山のイメージが強い。
しかし、展示館の資料を見ると、地質調査などのために、賢治は北上高地を何度か訪れている。
同じ北上高地に位置する種山ヶ原は、早池峰よりも南に位置しているが、賢治の聖地として有名だ。種山ヶ原は現在の奥州市に位置し、同じく奥州市にある原体地域も、「原体剣舞連」などの詩でよく知られる。
大迫地区は、現在花巻市であることからわかるように、種山や原体と比べて、賢治が暮らした花巻中心街に近く、より身近な存在であったと思われる。かつて羅須地人協会があった現在の「雨ニモマケズ詩碑」からは早池峰山がとても美しく見える。(ヘッダーの写真の通り)
実際に、大迫が舞台と思われる作品はいくつか存在し、その内容も興味深い。長くなるが、賢治が大迫について書いた1925年8月11日の詩を引用する。
【写真は、羅須地人協会跡地から見た早池峰山の夕景】
(続く)
2024(令和6)年2月22日(木)