シェア
「後悔するかなぁ。いやしないと思う」一枚の柿のイラストを見てふと考えた。「秋のイラスト展」が開催されると聞いてまもなく一か月。締め切りまであと3日の段階で、ようやく秋をイメージしたイラストが完成した。 ーーーーー この日の前の日に秋のイラスト展開催という情報を知り、イラストにチャレンジすることに決めた。なぜならば応募資格が無い。 むしろ今までイラストを描いたことがないような初心者にも広く募集をしているほどだ。 だが普段からイラストを描いていないのに、いきなりチャレ
落ちこぼれたな。小学校高学年になったとき、彼女は先生に言われます。中学年までは成績がよかったのに、最近は赤点ばかりだったから。これまで勉強に費やしていた時間で、彼女は絵を描いていたのです。澄んだ川の絵。 水彩絵の具を混ぜて空が映る川面を描いていると彼女は時を忘れました。河童が住みそうな清らかな川。彼女の心に流れる透き通った川水は、しかし先生の一言に黒く淀みました。涙がこぼれないように彼女は下校します。 西日が包む通学路。帰り道、彼女は見なれない店に気づきます。「器」
毎日、止まらないラジオをあなたは聴いています。音はあなたの頭の中に流れました。パーソナリティはあなたです。昨日の過ちについて語ることもあれば、明日の不安について喋っていることもありました。 暗い話が聴こえてくるとき、あなたは耳を塞ぎたくなります。けれども、頭の中で流れているラジオですから、両耳を覆ってもしかたがありません。聴きたくないはずの話題が流れているとき、あなたは音量を上げます。 繰り返し大きな音で悲しい話を聴いているとあなたの耳は痛むようになります。このまま
「切った爪がどこかへ消える時も、目覚ましが鳴らずに寝坊する時も、足の小指を物の角にぶつける時も、買ったばかりの服に醤油の染みがつく時も、ポケットに紙類を入れたまま洗濯機を回す時も、 仕事で大きな失敗をする時も、泣く子をあやしているうち朝が来る時も、下げたくない頭を人に下げる時も、他人から心ないことばを吐かれる時も、このままでいいのかと自分に問いかける時も、 誰も自分のことを分かってくれないと感じる時も、子どもの頃からの夢をあきらめそうになる時も、大切な人を失う時も、生