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マリーの森 第二話
マリーはずっと一人で森にいました。何年経っても大きくなりません。ご飯を食べていないからかなあ?怒ったお母さんの顔は思い浮かびますが笑ったお母さんの顔が思い出せません。
ある日森に黒い大きな棺が目を覚ますと置いてありました。マリーは、その日、自分の住んでいる森を死の森と名付けました。だって森には棺とマリーだけでしたから。棺の上に乗って横になって見ました。何の音もしません。
それから毎日森の中の探検から帰って来ると棺の上に横になってみるマリーでした。
ある日マリーが棺の方を見ると突然蓋が開いて髪の長いお姉さんが起き上がりました。でもしばらくすると真っ黒な魔物たちが押し寄せて来てお姉さんを閉じ込めてしまいました。いくら待ってもお姉さんは出て来ません。棺の上に横になってマリーは泣きました。涙が止まりません。森に来てから初めて逢えた優しそうなお姉さんだったのに。
11月になるとシーシーシーとセミの鳴き声のような音が聞こえて来ました。静かな森なのに、こんなことは初めてです。
シーシーシー シーシーシー いつしかマリーには その音が 死ー 死ー 死ー 死ー死ー死ー と聴こえて来ました。マリーが名付けたように本当に死の森なのでしょうか?
このままここにいて死んでしまうのでしょうか?
お姉さんはもう出て来てくれないのか心細くて泣きたくたくても涙も出ないほどでした。死ー死ー死ー 鳴き声は止みません。
緑の風が吹いた日、同い年の男の子がやって来ました。ミカエルと名乗ると、早く出ないとこの森は閉じてしまうよ。閉じてしまったら出られなくなると言いました。棺の中のお姉さんのことは気になりましたがミカエルの後について森を出ることにしました。
どこまでも森が続くように見えましたが、ついに森のはずれに出ることが出来ました。
空は夕焼けで染まっていました。マリーは疲れて、もう動けないと思いました。ミカエルは近くの村まで頑張って歩いてと言いました。マリーはミカエルの後について頑張って村まで歩いて行きました。
マリーの森 第二話