めっちゃややこしい話で笑っちゃいました!
「てか、ダメやんそれ」
「ダメっすか」
日曜日の家電量販店での会話です。
あるガジェットが気になり物色していると、音もなく店員が忍び寄って来た。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか」
口調から察するに外国人だ。
若くて清潔感ある店員で、胸の名札には中国系らしい名前が明記してある。
人懐っこくて第一印象も良い!
話を伺うと、来店した日はたまたまキャンペーンであり、条件が伴うと大幅に割引が可能だという。
はいはい、出ました、いつものパターンね。
内心ではそう思っていましたが、あまりにも熱心で初々しかったので、詳しくお話を伺うことにしました。
要点はこうです。
自宅のWi-Fiを彼が勧めるものに変更すると、気になるガジェットが本日に限り、¥38,000の割引が可能だと言う。しかも工事は不要。でも、その為には、現在契約している会社に電話して変更手続きの依頼番号を取得する必要がある。
些か面倒でしたが、背に腹は変えられず、ひとまず言われる通りに電話をしてみました。彼は僕の正面に座り、会話の内容を聞いている。
「確認しましたところ、お客様のご使用になられている自宅電話ですが、名義人様が違うようです」
と電話したオペレーターからまさかの事実を告げられました。
「えっ、名義人が違うのですか?」と僕。
どうやら親父の名義になったままのようでした。元々、電話を設置したのは遡ること30年以上前、大学生で一人暮らしを始めた頃です。
「名義人様が違うので、このまま変更手続きを進めることが出来かねます」
「え、じゃあどうすれば良いのでしょうか?」
「先ずは、名義変更の手続きをお願いします」
ちぇっ、面倒なことになった。
電話口のオペレーターに、言われた通りの番号に改めてかけ直すと。
「名義変更ですね。お電話はご本人様でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「ありがとうございます、前の名義人様はお近くにいらっしゃいますか?」
親父は数年前に死んでいる。
「えーと、今は近くにいませんが...近くにいるような...」
「では近くにお住まいでしょうか?」
「いや、今頃は天国でのんびり暮らしているか、地獄で鬼たちに針の山にでも登らさされているかだと思います」
そう答えてみた。
「.....亡くなられているのですね」
初めからそう伝えるべきでした。
「誠に申し訳ございません、既に亡くなられていると幾つかの手続きが追加で必要になりますので、本日の移動番号の発行は致しかねます」
ややこしいことになった。
これは割引どころの話ではないな。
ふと目の前の中国人店員に目をやると、メガネの奥から冷たくて鋭い視線がこちらを伺っている。まるでこちらのミスを知り、鋭い刃で襲いかかって来そうな雰囲気だ。
「と言うことで、残念ながら今日は割引出来ないみたいです、折角のお話でしたけど、ごめんなさいね」
と断念するも、彼は次の提案を提示して来ました。
「お客様が亡くなられたお父様に成りすましてお電話してください」
「えっ、僕が親父になり済ますのですか?」
「はい」
「やだよ、もし何かあったら僕が怒られるのですよね」
「はい、お客様の責任です」
「マジで言ってるの」
「はい」
「てか、ダメやんそれ」
「ダメっすか」
腹が立つというか、笑えてしまうと言うか、、、
貴重な日曜日、
こんな素敵な会話をする為に、不毛な1時間半を過ごしました。
頑張っているのは分かるけど、ルール違反はあかん。
てか、僕も親父の名義のまま放置していたのであかんかったな。
最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
素敵な1日をお過ごしください。🌱
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