ハト見
あの、休みの日で、天気がいいと、必ず「ハト見」するんですけどね、いいですよね、ハト見。 ぼくが休みで奥さんが仕事の日とかは、必ず駅まで見送るんですけど、こう、
「休みええなー、何するん?」
「何しよかな」
「どうせハト見するんやろ」
とか歩きながら話す。めちゃめちゃバレている。ぼくが奥さんを見送ったあとその足でハト見することが。
あの、家の近所にでっかい公園があるんですわ。ちびっこサッカークラブの練習と社会人よさこいサークルの練習と中華ゴマの練習と恋人達のピクニックと犬の散歩が同時にできるような。
天気が良いと、とくに今みたいな春から初夏だと、そらもー絶好のハト見シーズンですよね。はかどります。
まあ、休日なんで、朝がどうであれ、そのあといろんな楽しいことが待ってる可能性はあれど、結果一日を振り返ってみて、ハト見してるときが好きだなーってなる。前述したけれど、大きい公園にはいろんな人がいろんなことしてる。思い思いの時間をすごしてる。
心地よい。
遊んだりスポーツしたりお喋りしたりしてる声が聞こえる。立派な樹もたくさん植わっているから葉っぱのざわめきやチュンつく鳥の声もする。肌をなでる風、木漏れ日の陽光――それら全てを受け「ウヒョーッ! 休みじゃー!!」と叫ぶおれの中の山田太郎(珍遊記)。
公園で読書することだ。
あの、ハト見って公園で読書することのことだ。
なんか、公園で本読んでると、寄ってくるとかじゃなくてハトが近くを通るんですよね。こう、読書しつつ、ハトの気配がしたら、ハトに気取られないように、ちらっと本から視線を上げ、ひとときハトの挙動に心を遊ばせる。
それで気づいたんですけど、ハトって、飛ぶときとか着地のときとか、歩行からダッシュに行こうする瞬間とか、ちっちゃく「ホロッ」て言ってる。たぶん、鳴く意図なくて、単にりきんで空気漏れてるんだろな。カワイイ。あと、初夏の木陰とか、足をしまってきゅってなってるハトもカワイイ。適度に読書が捗らない。
適度に読書が捗らないことが楽しい気分になるって知らなかった。
どんな本を読むかも重要だ。相性でいったら、エッセイ本とか良いよねぇ。でも、あえて、ゴリッゴリのハードSFもなかなか趣き深く、本から顔を上げたときに広がるのどかな風景が、逆に虚構めいて見え没入が捗る。足元をぴよぴよ歩くハトが喋りだすんじゃねーか、とかね。仮想空間におけるガイド役のインターフェースなんじゃねーの、とか。
まあ、真夏になる前に、諸氏もハト見いかがか。
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