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そのとき娘はプリキュアになった

 この記事は『映画プリキュアオールスターズF』の感想noteです。
 主にこどもの反応メインですが、すこしネタバレ要素あるかもなので観ようと思ってる方は注意。

 奥さんと娘の3人で『映画プリキュアオールスターズF』を観てきたけど、めちゃくちゃ面白く、そして処理不能の感情の奔流を極彩色のミラクルパワーと共にぶち込まれ続けてしまい「なんなんだいったい!?」と思ってるうちに涙腺がヤバイことになった。奥さんも同様のようであった。

3歳娘はどうだったか

 娘はこれまで何度か映画や舞台を見に行っている。劇場版ドンブラザーズとか、プリキュアドリームステージとか。
 ただ最後まで集中力が保たないことが多い。途中でだっこを求めてきて指を吸いだしたり「もうでるー!」となったりしていた。

 ただ今回の映画に関しては違った。
 娘の成長によるものか、映画自体の楽しさやよく動く作画、キャラたちの大冒険の臨場感によるものか、娘は最後まで画面を注視し、ときにはミラクルライトを振ったりプリキュアたちの掛け合いにツッコミを入れつつスタッフロールが流れ去るまで楽しむことができていた。

そして娘はプリキュアになった

 映画を観終わり、出口へ向かう娘が発した最初のひとことは、

「はやくプリキュアごっこしたくなってきた!」

 だった。
 映画館のロビーに出るなり、

「とうちゃんプリキュアオールスターズFごっこやろ!」

 と言ってきて、実際に全身汗びっしょりになるまでやった。気づくと1時間くらい経過していた。
 ちなみにごっこの内容はというと、娘キュアプリズムとおとうちゃんキュアスカイが、

「プリズムーっ!」
「スカイーっ!」

 と呼びかけながら手を伸ばし合い、ぱしっと両手を掴むと、遊園地の遠心力ブランコめいて娘をぶぅんとスイングし、着地させたあと、

「またプリキュアオールスターズFごっこやろ!」

 となり、

「今度は誰やる?」

 と尋ねると、

「えっと、あたしがプリズムでとうちゃんがキュアスカイちゃん!」
「いいけどさっきといっしょやな! オールスターズ関係ないやん!」

 というやりとりの後またお互い手を伸ばし合う──というセットを繰り返すというものだ。

 本当にそれだけを1時間くらいやっていた。

 意外だったのは、ロビーで売られているプリキュアの映画館限定グッズに目もくれなかったことだ。
 ぼくは娘と遊びながらも映画の余韻で完全に「プリキュア好き!!」モードになっており、普通にぼくがグッズ欲しかったので、娘が欲しがることを免罪符に「しかたないな〜」とか言いながら買ってしまおうと財布を抜刀しかけていたのだけど、それよりも娘は、

「プリキュアごっこがいい!」

 だった。

 これはなんとなくわかる気がした。
 娘は、完全に可愛くキラキラしていてバトルもプリキュアたちの言葉も激アツなひとかたまりの映画体験をその小さな身体で約70分浴び続けた。
 そうなると「プリキュアにまつわるグッズ」よりも、我が身に宿ってうちから溢れ続ける「プリキュア感」のようなもののリアルさが勝ってしまってるんじゃないかと思った。
 そうして自分がプリキュアとして戦いたいという衝動が、体力が尽きるまで娘にプリキュアごっこをさせるに至ったのではないだろうか。

 映画はイオンモールに観にいったのだけど、モール内のいたるところに映画を観に来たのであろうプリキュア衣装を着た子どもをけっこう見かけた。
 娘は映画観る前ずっと「わたしプリキュアになりたい」って言っていて、衣装着てる子を見つけると「わたしもきたいー!!」と座り込んでしまって困ったりもした。
(困りつつも、大好きでなりたいものがあるってすげぇいいなーと思ったりして、ぼくはニコニコしてしまった)

 でも映画観た後は「プリキュアのふくきたい!」って言わなかった。

 観劇後のロビーで夢中でごっこ遊びする娘を観ていると、

 ──娘はもうプリキュアになれたんだな。

 と思った。

帰りはもちろん寝た。

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