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林真理子「小説8050」〜引きこもり問題

最近よく耳にする言葉

8050

引きこもりの長期化問題。

翔太は20歳。

引きこもり歴7年。

私立中学時代の壮絶ないじめがきっかけで 
不登校になる。

親は歯科医院を経営。
姉はエリート、結婚相手もエリート。

社会の花形のように見える家族の中にある
外からは見えない虫喰いみたいな翔太の存在。

しかし、その翔太の存在は
家族の問題を顕在化しているにすぎない。

父親は、外から見れば
金も地位もある立派な紳士だが、
いわゆるモラハラ夫。

だけど、自分ではそのことに気付こうともしない。

母親は良妻賢母な専業主婦

モラハラ夫に意見はするが
不満を持ちながらも
夫から離れようとはしない。

姉は自分の結婚をうまくまとめるために
弟のことで、恋人に嘘をつくことも厭わない。

親も姉も世間体、見栄にがんじがらめで
翔太の気持ちに深く寄り添うことをしていない。

中盤以降、
家族は衝突し、それぞれが深く傷つきながらも
引きこもり問題、いじめ問題と闘うというのが
大筋だが

引きこもりを持つ
多くの家庭の闇は
そう簡単に明けることはないと思う。

この小説の参考文献の中に

『「子供を殺してください」という親たち』
押川剛著


があるが、

私も以前、上記の本を読んで
引きこもり問題を解決することが
いかに大変かを痛感した。

たとえ自分の親戚、身内に引きこもり問題がなかったとしても、

このようなフィクションという形で読むことで

家族、家庭、自分を顧みるきっかけにはなると思う。

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