子供の遊び作りとは、「めまい」を作ること
僕の仕事はおもちゃ開発ですが、最近のおもちゃには「育脳!」「思考力を鍛える!」などのキャッチコピーが多くみられます。
親御さんの中でも、ただ遊ぶだけじゃだめで、何か実利が欲しいという意識が高くなってきているのだと感じます。どうせなら、能力が高くなって欲しいとか。
ロジェ・カイヨワの著書『遊びと人間』の中では、遊びの4要素は
・競争
・運
・模倣
・めまい
であると定義されています。この説明は理にかなっていて、子供はごっこ遊びなどで何かのマネをしたり、勝ち負けを競ったりすることで楽しみを感じます。(大人の仕事の世界などでも、競争、運、模倣という要素があればこそ、まるで遊びのようにその仕事にハマって行きますよね。)
僕は、大人がもし子供と遊んであげたり、遊びを作ってあげられるなら、「めまい」を作ってあげられたら、素敵だなと思っています。
「めまい」とは、本の中では「遊園地の乗り物に乗ったときの酔狂、恐怖、興奮のような感覚」みたいな説明がされていますが、僕の中では、声で例えるとすれば、
「わぁ!」
ってことだと捉えています。
「わぁ!」って、たくさん、いろいろな形で思わせてあげたい。
競争、運、模倣。これらはこの先の人生、勝手にいくらでも出てきます。それを楽しいと感じたり、精神的にキツいと感じたり、それらに翻弄されて怒ったり泣いたり、その果てに笑ったり、そんな「ある意味の遊び」が、人生ではたくさん起きるでしょう。僕も日々の仕事を振り返ると、そんなことばかりです。
新卒で大企業に入社したとき、僕は毎日ワクワクしながら出社して、新しいものごとに触れては「わぁ!」と、めまいの楽しさを感じていました。初めてヒット商品を出せた時は、嬉しくて飛び跳ねて小さく拳を握りしめ、そのあとちょっと泣いて、発売日の夜に上司と後輩3人で飲んだ打ち上げでは、放心状態で何も考えられませんでした。
その後、仕事に慣れてくると、ヒットが出た時の感激も少しずつ小さくなり、新しい物事に触れても知ったような口をきいたりして、何かでガッツポーズをするなんてことはなくなっていきました。
5年前に独立起業して、新しく起こる出来事や出会いに「わぁ!」と感じることが多くなり、ほんの小さな成功がいかに大変で、小さなガッツポーズが出るくらい嬉しいものなのかを知りました。
幸せな大人というのは、「感動屋」なんだろうなと思います。
いつまでも、好奇心旺盛で、新しい出会いを喜んで、「わぁ!」ってたくさん言って生きている。
僕は自分の子供たちには、感動屋になってもらいたいなあと思います。友達からちょっぴり親切にされたら「わぁ!」って思う。不思議なことを見つけたら「わぁ!」って思う。その気持ちを知って、人生って思いがけないことがたくさん起こるんだなあ、と思いながら大人になってほしい。
僕が最近子供とやった遊びは、たとえば
・近所の知らない小道に入って冒険に行って、新聞を書く
・突然カラオケにつれて行って、プリキュアの主題歌を完璧に歌って見せる
・二人でお金を出し合って、ゲームセンターでやったことないものを遊ぶ
・河童を探しに行く
・漫才ネタを作ってママに見せる
・突然ギターを弾いて見せ、一緒に歌う
・ダンボールで乗れるロケットを作る
・一緒に新しいトランプのゲームを考える
・自分の仕事で、商品を作っている段階を見せてあげる
・自分が子供の頃の話をたくさん聞かせる
・お勉強のドリルを交換日記風にやる
・パパが解くためのドリルを作ってもらう
大人にできることは、子供に「めまい」の楽しさをたくさん体験させてあげることなのかなと思います。(そして大人にも。)
僕は子供の頃、「スーパー戦隊」「キンケシ」「ビックリマンシール」「トランスフォーマー」「ミニ4駆」「ゲームボーイ」などから、たくさんのめまいを与えてもらいました。実利があるおもちゃを考えることもマーケティング上は大事ですが、めまいの設計に全力で取り組むことが僕らの仕事の価値なのではないかと信じておもちゃや遊びを考える日々です。
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