独りよがりの善意
感染症拡大の前までは、土日は自分の時間として使っており、食事を作ることはめったになかったのですが、平日は妻に丸任せである分、土日ぐらいは僕が食事を作ろうと、ここ5年ぐらいは、僕が基本、夕食を作るようにしています。
ただ、僕以外の家族は、平日の夜は食事量を節制しており、野菜スープ中心で、あとはサラダと、おかず少しという感じで、ご飯は食べないんですよね。また、平日は塾などもあって、家族がバラバラに食事をしているので、土日ぐらいは皆でワイワイと、ボリュームのあるものを食べたいようです。
僕の方は、平日はそこまで節制しておらず、家族がどんな食事をしているのかもよくわからないので、土日のメニューは平日と被らないようにして、どちらかといえば自分の嗜好に合わせて、焼き魚とか、肉野菜の炒め物とか、生姜焼きとか、定番のメニューを作っていました。
まあ、こういったメニューも少々不満だったようですが、昨日は自分の体重が増えたことの跳ね返りとして、メニューは豆腐と大根おろしとしらたきの煮物、肉野菜炒めもこんにゃくと厚揚げを大量に加えたダイエットメニューにイワシの丸干しという、完全に自分中心のメニューを組み立てました。
これにはさすがに、家族3人不満だったようで、妻が見かねて、「せっかく料理作ってくれるから我慢してきたけど、もう少し子どもたちのことを考えて」と言われました。
まあ、言われたときは少しショックを受けて、平日のことなんか知るかという気持ちになり、じゃあ作らないよ、と言ってしまいましたが、確かにレシピが独りよがりであったことは否めません。
子どもたちにとっては、週末の僕の料理は、だいたい野菜中心のかさましのワンパターンレシピで、それは仕方なく食べていた、たまにタイカレーとか、焼き肉とか、そんなのに当たればラッキー、と言った感じだったのだと、反省しました。
とりあえず、今日の夕方のために、すでに豆腐を大量に買い込んでいることもあり、昨日の夜は子どもたちに、豆腐を使ったもので、どんなメニューが良いか聞いて、今日は豆腐ハンバーグと、豆腐のふわふわ揚げを作ることにしました。
これって、近所に住む義理のお母さん(嫁サイドからの)が、料理を大量に作り、食べてと持ってくる料理が、煮物ばかりで、自分たちの好きなものが食べられずものすごいストレス、という、ありがちな嫁姑の水面下バトルのエピソードと似ており、なるほど、僕のしてきたことも、これと同じ、独りよがりの善意だなと、反省させられました。
独りよがりの善意は、立場の強い人間から弱い人間に対して行われるものであり、相手が自分のことを考えてくれての行動である分、たちが悪く、ストレスは見えないところで蓄積し、ある時、突然の破局を迎えるわけです。
独りよがりの善意の側からすると、その破局は意味わからないし、自分としてはそれまで、気分よく善行をなしていると思っているから、その反動で怒りも大きくなります。
家族という、大きな見えない膜の中で、人生のかなりの部分、共同生活を営んできた人間関係の中だからこそ、破局を迎えても修復は早いわけですが、
これが職場であれば、善意の押し付けのストレスがマグマのようにたまり、突然破局に至ろうものなら、本来的にはバラバラの人間が一時的に共通の目的に向かって行動しているだけですから、善意が人間関係を壊してしまうという、残念な結果になりかねません。
今回の件を、自分の中で他山の石として、独りよがりの善意の押し付けをしていないか、職場やその他の人間関係においても、肝に銘じて行動していきたいと思います。
あとは、家族の思い出に残るような親父メニューを考えたいですね。