【FF6ピクセルリマスター】スクエニにはプログラマーは多くてもクリエイターは少ないのではないか【DFFOOへの愚痴も少々】


FF6が割と騒がれてる。今までにあったバグがなくなったかわりに、あり得ない仕様やバグが山のように発見されているのだ。


特にエディさんとおやつさんの動画を見ると、この2人がかなりイライラしているのがわかる。





なぜこんなことになってしまったのか。明らかにデバッグをしないで何回か適当にテストプレイしただけ、下手したら通しプレイすらしていないかもしれない程度の出来で、販売に至ってしまったのか。


これは簡単な理由だと思う。
それは 今のゲーム会社にはプログラマーはいてもクリエイターはごく少数しかいないから だ。


FFピクセルリマスターは過去の名作を当時の雰囲気を残しながらも現代風にリメイクする、というコンセプトである。と言えば聞こえはいいが、結局のところ3DSのショップ停止によってオリジナル版をプレイする方法がほとんどなくなってしまうのに乗っかった商法でしかない。


つまり任天堂が悪い。Switchでバーチャルコンソールを出せ。




それは置いておいて、低評価に特に多いのが「改悪」だ。なぜ元々あった仕様を変えてしまったのか。そのせいでプレイしても楽しめない。という意見だ。


そして、それは先のクリエイターが少ないことに起因すると私は考えている。


例えば、魔法のエフェクト。6以外はほとんど共通のエフェクトが使われている。つまり、何も考えないで当てはめているだけなのだ。


ファイアはただ炎を起こすだけだが、ファイラになると火柱になり、ファイガになると爆発に近くなる。こういう設定をどうやって再現するか、から考えてエフェクトを作らないから、手抜き感が拭えず、プレイヤーはナメられているような気がするし、原作を貶められていると感じさせるのだ。


他にも効果音。個人的に気になったのは5だ。思い入れもあるし。ジャンプのようなアビリティにしろ魔法にしろ、どういう仕組みなのかまで考えてどうやってそれを再現するかではなく、それっぽい音源を当てはめているだけだから気持ち悪い。


今回エディさんやおやつさんが見つけた(と思われる。第一発見者は他にいるかもしれない)バグも、そういう気持ちがあれば起こるはずのないものがほとんどだ。




いくつか気になったものを挙げてみよう。




まずリルムのスケッチ。これは自分も気づいたが、なぜかMPを消費している。

これはリルムが魔法を放っている扱いにしているからだろう。オリジナルも似たような仕様ではあったらしい。例えば自爆するとリルムは死ぬ。だが、オリジナルではMPは消費しなかった。

当然である。リルムは「似顔絵を描くとそれが実体を持って動いてしまう」というキャラであり、攻撃をしているのは描かれた似顔絵の方なのだ。

それをどう表現するか。色々考えた末に作られたオリジナル版を、ただガワだけ真似したからこういうワケのわからない不具合が発生したとしか考えられない。もしこれが仕様ならキャラ設定から変わってきてしまう。そうなのだとしたら、公式チャンネルで説明してもらいたい。



みんなでかばうという謎現象も発生している。HPの一番高い味方にしかダメージはいかないのに、グラフィックは全員移動してしまうのだ。

これもかばうを発動するアクセサリーがついていればとりあえずそう動くようにする、という適当さから生まれたものだろう。中のキャラクターがどうしてそのアクセサリーを装備したらかばうようになるのかを全く考えていない。



バグとまでは言えないかもしれないが、バルガス戦でマッシュが爆裂拳を放っても終わらないことがある。セリフより早く使った場合そうなる。

オリジナルはどうやら一定以上マッシュがダメージを与えるとセリフが出るようになっているらしい。ただセリフがなくても爆裂拳を撃てば倒せるようだ。

問題はこのシーンの見せ方を考えていないことにある。スマホでのプレイに合わせてなのか、チュートリアルを見るまで倒せないようになっているようだが、それならそれで最初は必殺技を選べないようにするとかセリフまでオートバトルで進むようにするとか、色々見せ方はあるはずだ。ストーリーとしてどう演出するか。それを考えていないのが丸わかりである。



飛び込んだガウが帰ってくるときも、謎の仕様になっている。
ガウが出てくる直前に入力したコマンドが発動してしまうのだ。
普通の人間の心理として、ガウが帰ってきたら一旦構えを解くくらいするものだ。それを考えていない。


アラームピアスを装備すると飛空挺上での戦闘でも挟み撃ちを回避できてしまう。背景のことすら考えていない。



瀕死必殺技が味方に発動するのは、この最たる例である。

例えるなら、鬼滅の刃で炭治郎がボロボロになりながらもヒノカミ神楽を決めるシーンがある。これをゲームで再現しよう。そうして生まれたのが瀕死必殺技なはずである。

だからこの技が味方に発動することは、あってはならない。混乱しているならまだしも、パーティアタックで起こることはあり得ないのだ。

にも関わらず味方に発動するらしい。要は、瀕死になったらたまに強い技を出す、程度の認識しかしないでプログラミングしたのだろう。




スクエニはリマスターものを新人育成の場にしているという噂がある。だがこれを見る限り、新人は攻略本を渡されてそれっぽくする事しか出来ていないと思う。

上の人間は、攻略本程度の情報でも自分で考えて創意工夫するものだと思い込んでいるのだろう。自分がそうであったように。

残念ながらこの世の9割はそんな人間ではない。それはビジネス書が内容の無いものしか売れないことからもわかる。自分で考えるということは、脳に大きな負荷をかけるのだ(これについては私の好きな堀元見さんが良い記事を書いているのでリンクを貼っておく。有料部分になるのでぜひ課金してほしい)。




ピクセルリマスターで唯一創意工夫が見られたのは、根本真澄さんによるセリスの歌唱シーンである。

この人は夜の女王のアリアも歌える(動画を貼っておこう)ゴリゴリのオペラ歌手なのだが、このシーンではあえてそれを見せていない。



なぜなら、セリスは代役だからだ。

プロの歌手ではないセリスが歌うこと、それでもセリスがこの役に本気で取り組んでいるのであろうこと、マリアがどんな感じかということ、そもそもこのオペラにおいてこのシーンこのキャラがどういう存在であるかということ。それらを理解したうえで収録したのであろうことが、ほんの短いシーンから感じられる。

根本さんはオリジナル版もプレイしているらしい。この歌唱だけで、作品への愛とクリエイター・アーティストとしての矜持を見せてくれた。

それゆえか、もはやFF6ピクセルリマスターはオペラシーンを見るゲームと言う人もいる。謎にHD-2Dになってるし。もっと力を入れるべき点があっただろうスクエニ社員。






新作にはここまで酷い物は少ない。FF7リメイクは実質新作みたいな作り方になってるおかげで悪くはない(ストーリーは除く。オリジナルやってないと意味不明にしか思えない。野村哲也がディレクターしている作品に特に多い傾向だ。大人しくイラストだけ書いててくれ頼むから)。

オクトパストラベラーやトライアングルストラテジーも割といい感じだ。オクトラは物足りないという人もいるが、よほどのやり込み勢でもない限りこれくらいがちょうどいい。続編をソシャゲにしたのは許せんが。

ニーアシリーズはもはや名作の域に達しているようだ。エアプなのでいつかプレイしたい。

FFも14は神がかっている。オンラインなので敷居が高いのが玉に瑕か。Wi-Fiだとラグりそうで怖いので最近プレイできていない。

今度出るライブアライブも楽しみだ。HD-2Dになるということは、実質新作扱いで気合いを入れてくれるだろう。



ただ、オペラオムニアは悪化の一途を辿った稀有な例だと思う。

元々は原作再現にこだわっていたのに、ユーザーからのキャラの強さに偏りがあることに対する不満に応えようとした結果、誰でも100万ダメージが出せる無個性なゲームと化してしまった。

あまりにもゲーム性がなくなってしまったので最近ログインもしていない。

そもそも、主人公たちに対する特権ということで追加されたはずのBT武器が実質全キャラに追加されるらしいので、もうわけわからん。ミンウは好きだがBT実装しちゃダメだろ。

ただ、擁護するわけではないけれども、金儲けのことしか考えていないと言われることもあるが、そうではないと思う。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」

ヘンリー・フォード


ヘンリー・フォードの名言(出典は知らない)だが、まさにこれである。顧客の言うことを聞こうとした結果、ファングやカムラナートの不具合を仕様にし、いつのまにか無個性なキャラしか存在しない虚無ゲーになってしまったのだ。シナリオはいいのに。残念なことだ。



これにはもう一つの理由がおそらく存在する。そしてそれは、不安しかないゲームが関わっている。

「ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン」である。

オペラオムニアのプロデューサー・ディレクターが携わっているらしく、クレジットされている。おそらくこのゲームの制作に集中するためオペラオムニアを部下に任せたのだろうが、その結果屈指の虚無ゲーになってしまったのは想定外だったのではないだろうか。

さて、このオリジンはいわゆる「ソウル系」のゲームになるらしい。死にゲーというやつだ。

スクエニにそんなノウハウがあるのだろうか。ただでさえ不安なのに、よりによってこのタイミングで本家ソウルシリーズの最新作「エルデンリング」が発売されてしまった。しかもかなり面白いらしい。

ろくにデバッグをしていないゲームばかり出しているスクエニが、こんな手の込んだゲームを成功させられるのだろうか。クソゲーで有名なからすま氏が最近プレイしたバーバリアンソウル的なのになりそうな予感しかしない。


しばらくはFF6とトライアングルストラテジーで手一杯なので、プレイできるのは多分4月後半になりそう。どうか名作とまではいかなくてもそこそこ楽しめるゲームであってほしい。




ゲームに限らず、クリエイターを志す人がコピーから入るというのはよくあることだ。だが、忘れてはならない。コピーをする時、ガワだけコピーしても無意味だということを。どうしてそうなったのか、作者の思考回路を自分が辿ることに意味があるのだということを。


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