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短歌:行儀が悪い

ガリガリと齧って砕き僕を見る君の眼差し氷のようで/銀猫
がりがりとかじってくだきぼくをみるきみのまなざしこおりのようで

 「人前で氷を齧らない方がいいと思うよ」

と、友人の男性に言われたことがあります。理由は、

「怒っているとか機嫌が悪いとか思われるから」

ということでした。

 わたしは飲み物に入っている氷をガリガリ齧る癖があって、これを言われたときも彼の前でやっていました。言われて、
「行儀悪いことしちゃったな」
とは思いその点は詫びたのですが、怒っているとか機嫌が悪いとか、そんなふうに思われるのか、と、人それぞれの感性の違いに深く興味を持った覚えがあります。

 以来、外ではやらないようにしていますが、カップドリンクに入っているクラッシュアイスが相手だと、いまでもついつい齧ってしまいます。

 人前で行儀の悪さを披露すると、「お里が知れる」と言われた時代がありました。わたしは、母からも親戚のおじおばたちからもよく言われました。どれだけ行儀が悪かったのか…

 でも、いつの頃からか「お里が知れる」は差別用語扱いになったようですね。「お里」は「実家」、特に「嫁の実家」ですから、「あなたの親はどういう躾をしてきたのでしょうね」ということになる訳で、出自を問うようなことを人前で言うのは差別になる、ということなのでしょう。ん? つまり男子は言われなかったってことなのか?

 件の友人とはいまは付き合いがないのですが、お里が知れるようなことを人前でしないようにしてくれた恩人と言える訳です。
 決して、怒ってもいなかったし機嫌が悪くもなかったんですけれどね。

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北乃銀猫
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