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短歌:変わらないことのよさ

懐かしの喫茶店は混みあっていて店より若い客客客で/銀猫
なつかしのきっさてんはこみあっていてみせよりわかいきゃくきゃくきゃくで

 この短歌は、短歌マガジン(次世代短歌)@tankazine 主催の #12月12日に詠んだ短歌 に投稿したものです。

 年末が近づいた頃、パートナーとダウンタウンへ出掛けました。生活が全体的に後ろ倒しなわたしたちは、遅めのランチをどこで食べようか、ということになりました。わたしたちの遅めのランチはほんとうに遅めで、昼営業と夜営業の間に休憩がある店だと、たいていその休憩中に当たってしまいます。

 「デパートの飲食店街か、あとはカフェとか?」

そこで思い出したのが、コロナ期に入ってからは一度も行っていない喫茶店です。カフェではなく、喫茶店。若い人なら「レトロ」と呼ぶでしょう。

 はじめて行ったときから数えると、もう何年になるのかな。調べてみたら、創業は1976年でした。思っていたより古くて驚きました。知った頃から、外装も内装も変わらないんですよね。若かりし頃からの馴染みの中で、もしかしたら唯一残っている店かもしれません。あ、飲み屋が一件、まだやっていてくれたっけ。

 この店は何となくわたしの秘密基地的な面もあって、これまでパートナーといっしょに入ったことはありませんでした。
 しかし、時間的な問題に加え彼がわりとがっつり食べる人だということもあり、オシャレなカフェの女子向け軽食では話にならず、食事面もしっかりしているこの店に誘ってみました。

 なんというか、「うわっ!」という感じ。
 誉め言葉ですが、どうしてこんなに何ひとつ変わっていないのだろうか、と感激してしまいました。前回からちょっと訪問期間が空いてしまったこともあり、わたしは簡単にタイムスリップしてしまいました。

 窓際のお気に入りの席に座ることはできなかったのですが、何年経っても変わらないメニューが心を擽りました。

 昔は、アンダーグラウンド的なサブカル関係者が多く出入りしていましたが、店内のポスターなどを眺める限り、それはいまも変わらないようでした。よきよき。

 わたしたちと同年代の、おそらく筋金入りの常連さんもちらほらいて、大学生かしら?というくらいの若い客もけっこういました。年代を問わず、この手の雰囲気が好きな人たちがいるんですね。

 意外だったのは、インバウンド客が数人いたこと。この街の超有名な喫茶店でもないと思うのですが、ロコ好みっぽいのがいいのでしょうか。よく見つけたなあ。インスタあたりで見つけたのかもしれません。

 若い頃とはいろいろ生活も変わったので、週に何度も、月に何度も通うようなことはなくなってしまいましたが、店が続く限りこの先も、ぽつぽつとは利用させてもらおうと思った次第です。

 冬なので、相変わらずシチューがおいしかった。

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北乃銀猫
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