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短歌:それは波紋か

波風を立てたい訳じゃないだけどふらふらしてる君を見てると/銀猫
なみかぜをたてたいわけじゃないだけどふらふらしてるきみをみてると

 君を見てると、なんなんでしょうね、この主体は。

 わたしは作歌に当たってアタマの中で物語を作っているので、短歌に抽出した部分を含めわたしなりの筋があるのですが、それを書き切らないで読み手に委ねてしまうのが好きです。解釈は、わたしの考えた筋通りかなくても、一向にかまいません。

 若い頃、失恋した友人の話を聞いていたときに、彼女が、

「飯炊き女と掃除女と洗濯女には絶対なっちゃダメだと思った」

と言ったのが、ずっと記憶に残っています。
 なお、その彼女はこれがきっかけで最終的に破局したという話であって、万人へのアドバイスではありません。

 彼女はいわゆる尽くすタイプだったので、家事方面に尽くしちゃったのですね。受け取る側の受け取り方にもよりますが、してもらって当然と思われてしまうと、確かにダメっぽい。わたしも絶対ダメだ。だいたい、飯炊きで胃袋を掴めるタイプではないのです、いまでも。

 これは受け取る側の考え方が大きいように思いますが、この「尽くす」行為がないと、相手は自分を好きではないと感じる人もいるみたいだから。男女カップルだとして、どちら方向も、ですよ。

 わたしは素数を数えるような一途を知らない人間なので、過去の恋愛の相手は、今日の短歌のような感情を抱いていたのかなー、なんて、詠むにあたって少し想像を膨らませました。

 尽くして満足する人ならば、まったく何も問題ないけれど、尽くすと尽くされるの関係がアンバランスなふたりだったら、バランスをとる努力をするか、そんな努力をせずともよい関係になるかしないと、どちらかが参ってしまいそうです。

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北乃銀猫
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