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短歌:理数テイスト

思い出の嵩と思った年月の積で出る、だが摩擦も加えよ/銀猫
おもいでのかさとおもったねんげつのせきででる、だがまさつもくわえよ

 この短歌が唐突な理由は、返歌とした作ったからです。わたしが好きな歌人のおひとりである古野通さんの、こちらの歌への返歌です。

 引用ポストした記憶があるけれどこのポストに連なっていないのは、たぶんわたし、短歌マガジンから投稿されたこの短歌に返歌してしまったのでしょう。

 わたしは理数系がからっきしダメなのですが、短歌を詠んでいると、なぜか理数要素のフレーズがアタマに浮かんできます。使い方を間違えそうなので多くは詠んでいませんが、なんでしょうね、用語が日本語として魅力的に思えているんでしょうか。自分でもよくわかりません。

 でも、理数用語が心の機微を詠むのに適しているなあ、と思うことがあるのは事実です。

 以前、研究者だったか医師だったか忘れましたが、頭を使う仕事をなさっている著名な方が(どなたかはすっかり忘却の彼方)、「脳が疲れたときは方程式を解く」と雑誌のインタビューか何かで答えているのを読んだことがあります。
 そのときは、「桁違いに頭がいい人は違うなー」と思ったものですが、いまは、なんとなくちょっとだけわかるような気がします。方程式を解いているうちに、頭の中の雑多なことが整理できるのではないかしら。

 かといって、自分がそれをできるかと言えば、自信をもって言います。絶対にできませんし、たぶん、かえって疲れます。

 わたしが数学が苦手なのはこんな理由からなのですが、理数系が得意だったら、きっと別な人生があったんだろうなあ。
 そしてたぶん、短歌は詠まなかっただろうな。

 全部「たられば」ですね。

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北乃銀猫
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