毎週末のホットケーキ|エッセイ
土曜の朝になると息子が聞いてくる。
「今日は何(するの)?」
休みだよと答えると、ガバッと布団から立ち上がりながら「今日のご飯ホットケーキがいい!」と息子が叫んだ。
この習慣の始まりは、しろくまちゃんのほっとけーきという絵本だ。息子が絵本を気に入ったので、おうちでもやってみようかとホットケーキを焼いたら毎週のことになってしまった。
絵本のとおりに、まずたまごを割って牛乳を入れてよく混ぜる。息子がキラキラとした目で見てくる。
粉を混ぜてホットプレートに流し込むと、息子が「ぽたあん!」と大声を出した。
ホットケーキを焼きながら、焼けたかな?まぁだまだと掛け合っているうちに、いいにおいがしてくる。
家中が甘い匂いになって、息子が待ち切れないように足をバタバタさせる。
最初に焼けたものをお皿に乗せてあげると、熱い?熱いかな?とフォークでつんつんとつついた。
「ママ、ちょきちょきしてー!」
ナイフとフォークでひとくちサイズに切ってあげると、大喜びでかじりついた。
あつっ。
まんまるだった目が、三日月型になる。3歳になって少しシュッとした頬が、ホットケーキでぱんぱんに膨らんで可愛い。
自分のと夫のホットケーキが焼けるのを待つ間に牛乳を注いであげると、いっぺんに飲んでしまって牛乳が白いヒゲのようになってしまった。
好き勝手に生きる息子を見ていると、幸せは子供の形をしているときもあるんだなと感じる。
絵本はしろくまちゃんとこぐまちゃんが食器洗いをするシーンで終わる。
さあ、我が家も皿洗いだ。
ホットプレートやたくさんの平皿。牛乳やコーヒーを飲んだあとのコップにケーキシロップでベタベタになったナイフとフォーク。大仕事だ。
普段はおにぎりやトーストで済ませてしまうので、ホットケーキの朝はいつもの5倍ほど大変だ。
それでもホットケーキを焼くと息子が喜んでくれるので、やりがいがある。
大盛りの皿だ…。ああ、洗いたくない。
私の嘆きも毎週のことだ。