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古典、故事成語011(六韜)

利而勿害、成而勿敗、生而勿殺、
予而勿奪、楽而勿苦、喜而勿怒。

民不失務、則利之。農不失時、則成之。
不罰無罪、則生之。薄賦斂、則予之。
倹宮室台榭、則楽之。吏清不苛擾、則喜之。

民失其務、則害之。農失其時、則敗之。
無罪而罰、則殺之。重賦斂、則奪之。
多営宮室台榭以疲民力、則苦之。吏濁苛擾、則怒之。

故善為国者、馭民如父母之愛子、如兄之愛弟。
見其飢寒、則為之憂。見其労苦、則為之悲。
賞罰如加於身、賦斂如取於己。此愛民之道也。


人民に有利なように配慮し、損害を与えるような事はしない。
生業が成り立つように配慮し、妨害するような事はしない。
生かす事を心掛けて、殺す事はしない。
与える事を心掛けて、奪う事はしない。
楽しく暮らせるように配慮し、苦しめるような事はしない。
喜んで暮らせるように配慮し、怒らせるような事はしない。

有利なように配慮する為には、働き口を保証してやる事。
生業が成り立つように配慮する為には、農繁期に使役に駆り出さない事。
生かしてやる為には、罪のない者を殺さない事。
与えてやる為には、重い税金を課さない事。
楽しく暮らせるように配慮する為には、王宮の造営に金をかけない事。
喜んで暮らせるように配慮する為には、役人が清廉で人民の生活に煩わしい干渉をしない事。

逆に言うと、
損害を与えるとは働き口を奪ってしまう事。
生業を妨害するとは農繁期に使役に駆り出す事。
殺すとは罪のない者を罰する事。
奪うとは税金を重くする事。
苦しめるとは王宮の造営に金をかけて人民から絞り取る事。
怒らせるとは役人が金を要求して人民の生活をかき乱す事。

したがって、うまく国を治めている君主は、父母が子を愛し、兄が弟を愛するように、人民に臨みます。
人民が飢えや寒さにふるえていれば心を痛め、苦労しているのを見れば心を悲しませるのです。
また、賞罰を加える時には自分に加えるように、税金を取り立てる時には自分から取り立てるように、喜びも痛みも人民と共にするのです。
これすなわち、人民を愛するという事です。


※注釈※
統治にあたって人民を愛する事を説かれています。
現代では政治家や企業の社長などに実施して頂きたい事ですが、個人であっても子育てに応用して考える事が出来ると思います。

例えば、子供が健康に成長するように心身の栄養をしっかりとあげる。
子供の自主性を重んじて親の価値観で縛り付け阻害しない。
親の気分や価値観に縛り付ける為に罰を加えない。
愛を与える事を心掛けて、心を傷つける事はしない。
親の私利私欲を抑制し、子供の生命と成長を気に掛ける。
子供の意思を尊重して過干渉を行わず、居心地の良い家庭作りを心掛ける。

票を集めれば政治家になれる、金を集めれば社長になれる、子作りすれば親になれる。
けれども、立場に相応しい内面の成長も培って頂きたい、培っていきたいものですね。


旧ブログにて2016年01月16日に記載していたもの

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