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古典、故事成語023(老子、孫子)

知人者智也。自知者明也。
勝人者有力也。自勝者強也。
知足者富也。強行者有志也。
不失其所者久也。死而不忘者寿也。

人を知る者は智なり。自らを知る者は明なり。
人に勝つ者は力あり。自らに勝つ者は強し。
足るを知る者は富めり。強いて行う者は志あり。
その所を失わざる者は久し。死して忘れざる者は寿(いのちなが)し。

人を知る者は良くて智者の程度に過ぎない。自分を知る者こそより賢い明智に達した人である。
人に勝つ者は良くて力がある程度に過ぎない。自分に勝つ者こそ本当の強者である。
足るを知る者こそ裕福になる。強いて道(タオ)を実行する者こそ志のある者である。
道(タオ)に則って無為であるがままに生きる者こそ長命となる。
道(タオ)に則って恩沢を残す者は死しても永遠に生きるのである。


※注釈※

この世の設定と自分の傾向をよく知り、作為をせずあるがままに過ごせば無難な生を全う出来ると説いています。

孫子に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とあり、相手と自分を知れば百回戦っても危うさが無いという意味で、多くの多種多様な争いは自分を知らない事が敗因となっている場合が多いです。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」との言葉もありますね。与野党関係なく政治家の発言でもブーメランと揶揄されてしまう事が多いですね。

余談になりますが上記の孫子の説くところは、相手と自分を知るという客観性とその客観からの無理の無い判断を推奨しております。
百回戦って勝つ事は推奨しておらず「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」と、武力戦争はあくまで最終手段であり心理戦で勝つ事を基本とすれば味方の被害や物資の消耗を抑える事が出来ると孫子は説いており、武力にしろ心理にしろ戦う前に勝つを基本とし、勝ちの状況を完成させてから初めて行動に移せと説いています。
同じ中国史で百戦百勝をしていた項羽は強かったですが、最期に一敗した事により自滅を迎えてしまいました。

世の中には多くの多種多様な争いがありますが、他者に勝つ事を重視していた人達は例え勝っても自滅を迎えたり別の他者に負けて滅んだりしておりました。
他者に勝つよりも自分に勝つ事が生存において重要な事だと説いております。

足るを知らない者は過ぎた欲や際限無い欲を抱き続け、心身や時間や金銭を浪費していき貧困に陥ります。
足るを知る者は欲を極力少なくし薄くしていくので何も無いのが当然の心境に至り、有る事のありがたさが深まり余裕も増え、もしもの場合も動ぜず過ごす事が出来ます。

道(タオ)とはこの世の設定や宇宙の法則に則った思想や哲学であり、その考え方を実行する者こそ真の志があると言えます。
その道(タオ)に則って無為であるがままに生きる者は無理が無く無難に過ごせるのでおのずと長命になります。
より広大な道(タオ)に則る存在は、水や植物や地球のように人々や生物の心に生き続ける存在となるのです。


旧ブログにて2020年05月11日に記載していたもの


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水銀真人
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