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【蒸留日記 vol.136】晩秋の小柄なエゾヨモギを蒸留してみる。

こんちわこんちわ。
青の魔術師エフゲニーマエダでっす。本当は北海道の蒸留研究家エフゲニーマエダでっすどうも。

10/23のことなんですけど、2タイトル前に投稿したvolume134の大きなエゾヨモギを採集した地点とはまた離れた場所で、今度はそこまで大きく育っていないもののしっかり花穂を立てているヨモギを発見したので、エゾヨモギなのか否か?
そしてカマズレンで青く染まった蒸留器パッキンを変えるとヨモギの精油はちゃんと黄色になるのか?を試してみる回となりました!

ということで、蒸留内容はあまり変えずいつも通りの手順で蒸留してみまっす!


■vol.136ではやや小柄な開花エゾヨモギ(Artemisia montana)の蒸留。

歩道脇の緑地帯に生えている開花したヨモギを収穫してきた

今回のヨモギの収穫場所は街路樹などが植わっている縁石?横の緑地帯に生えていたヨモギ。
おそらく緑地帯という限られた栄養条件的な問題で、空き地や荒れ地に育つエゾヨモギ/オオヨモギよりかなり小柄に育っているヨモギでした。
なのでもしやエゾヨモギとはまた別種のヨモギなのではないか?という懸念があったわけなんですよね。

まぁ葉っぱがデカい、茎が全緑、花がデカい(ヨモギ種の中では)などの特徴からほぼエゾヨモギ(Artemisia montana)でおおよそ間違いないだろうということにはなっています。

花が大きいのがわかるだろうか

今回の蒸留では、ヨモギの収穫量がそこまで多くならなかったので花穂のみなどと分けずに全草蒸留としました。
なのでおそらくvol.134のエゾヨモギ花穂蒸留よりは収油率は低く出ることが予想されます。(花部に精油分を多く持つため)

細かく花茎や葉っぱごと刻んで素材をすべて蒸留器に収めることができました。

1563gでの蒸留

今回のヨモギ素材重量は1563グラムでの蒸留となりました。
蒸留時間は2時間としました。

■蒸留結果は…!?

蒸留したのはエゾヨモギ…のはず。
精油は1.3mL得られた

2時間蒸留し終えたあとの精油のようす。
カマズレンの混入経路をしっかり絶ったハズなのですが、精油がどっからどうみても青緑色に染まっていますね・・・うーーーーーーん。

抽出された精油はピペット計測で1.3mLの抽出結果となりました。

1.収油率 - EO Yield

抽出量[ 1.3mL ]÷ 素材重量[ 1563g]x 100 = 0.083%

2024/10/20 エゾヨモギ花穂の収油率

やはりガッツリ低く出ましたね〜…0.1%を切ってしまいました。
エゾヨモギは花部分のみを集めて蒸留すると収油率を0.2ほどにまであげられることがわかってるので、精油の量を得るならば蒸留部位を花穂のみに絞った方がよいのです。

で、問題なのが精油の色。
黄色ならばカリオフィレンなどセスキテルペン類が多く含まれている証なのですが、さらにカマズレンの青色が足されることで緑色になっているようです。
これほぼ確実にエゾヨモギが持ってるマトリシン由来のカマズレン色なんでしょうねぇ…

とてつもなく真っ青な精油成分であるカマズレンを作れる植物は現在、主にキク科植物に多いということがわかっています。
(キク科以外ではグアイアズレン、ベチバズレンなどになる)

植物がはじめからカマズレン(青色)を持っているわけではなく、はじめマトリシンという分子を持っており、それが蒸留の熱で変性することによってはじめて青色のカマズレンという物質になるのです。
前駆物質の「マトリシン」という名の通り、マトリカリア~いわゆるカモミール属植物から発見され、カモミール属とそれが属するキク科のいくらかの連・種がマトリシンを合成できる遺伝子を共通して持っているようです。
おそらくキク科が進化の過程で獲得した代謝回路なのでしょう。

ということから、オオヨモギも亜種や地域個体群によってはカマズレンないしマトリシンを合成できるようになる変異種を生み出す可能性が大いにありうるのです。
カマズレンもといマトリシンを合成できる遺伝子セットを持っていても、それを発現させるか否かは植物と植物をとりまく環境次第になる?のです。


ということで!
この時期ならではのエゾヨモギ花穂の蒸留をさらに色々試してみて精油色について注目していきたいと思います!

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エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。