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【通年実験】どっちの苗が健全に育つ!?【苗選びのススメ】
こんちはこんちは。
わたくし札幌に在住しながらも、実は札幌でもラベンダーを育ててました。
ある実験を兼ねて。。。
どうやら最近その結果が判明したっぽいので、ここでレポートしまつ。
■2タイプのラベンダー苗、どっちが健全に育つか?
![](https://assets.st-note.com/img/1666324628541-FfszSkd4v5.jpg?width=1200)
「2種類」や「2品種」とではなく、2タイプと分けています。
どういうことか?
順を追って説明していきましょう。
ギモン⑴ - 伸びた苗とちっちゃい苗あるよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1666324820686-JaXfFHHOAN.jpg?width=1200)
5月20日。とある札幌市のホームセンターのラベンダー苗コーナーに来ました。
5月の後半あたり、桜の咲くシーズンになると苗木コーナーも実にたくさんの草花苗で充実します。
そんななか当然のように構えられているラベンダー苗木コーナー。
(おいらのラベンダー畑も、当初はそんな園芸店の苗木コーナーから出発した)
で!!
苗木選ぼうとするじゃないですか。
すでにでっかく伸びた花のものもあれば、こじんまりと緑色の深いものもあるじゃないですか。
苗木の品質が両極端なんですよね。
で、どれ選べばいーの?たくさん花咲かせてくれるの?と。
よくラベンダーの育て方について調べていると、ラベンダーは花を咲かせ続けているとエネルギーを使い果たして株が弱ると出てきます。
ということは花がたくさん/大きくついてる苗は枯れやすいんじゃないの?とか疑問が浮かんできたりもするもんで。
そしたら花がまだ蕾だったり、ちいちゃいままの苗を選んだ方が、のちのち大きくなりやすい??
では観察実験してみましょーや!ということで。。。
ギモン⑵ - 葉っぱがデカめ苗の方が、本当にたくさん光合成できて大きく育つ?
![](https://assets.st-note.com/img/1666327611471-b5tRDl5VNl.jpg?width=1200)
おそらくはハウス苗で春を越した、陽に当たっていた位置関係で変わるのでしょうけど、
葉の色が薄緑色のものだったりシルバーグリーンだったり、、、
葉っぱの面積が大きいものだったり、細葉のものだったり、、、
考えてわかることは、葉っぱの面積が当たり前にデカければそれだけ光合成できる部分も多いという事。
デッカいということは、それだけ持ってるエネルギーも多そうであるという事。
じゃあ、獲得栄養は多いとみて、葉っぱの肥大した苗の方が後々大きくなるのも早い??と。。。
これも実験して見比べてみましょう。
ギモン⑶ - チッソ分を多く与えられた稚樹はどう育つ?
![](https://assets.st-note.com/img/1666325125176-DbJplMsr2i.jpg?width=1200)
この苗木ポットの根元にコロッと転がってるラムネ菓子のようなものが、いわゆる緩効性肥料。(チッソ分も含んでるのでコケも生えやすくなる)
いわゆる植物にとってゆるーく長く効くサプリメントみたいなものなんですが、これがあることによって・・・
①葉っぱが青々とします。
②しなびにくくなります。
③花の色や開花が促進されます。
こんな効果を与えているタブレットなんですよ。
なんで苗木の時に?そんな弱いものなの?と考えてみると、ラベンダー本来の育て方にはそぐわない、苗木屋のある都合が見えてきます。。。
ようは、苗木屋さんの狙いとして買ってもらうのが第一ですよね。
なのでショーケースに並んでいる期間だけは、本来開花時期でもない小さいラベンダーに花をつけていてもらうために、わざと栄養を過分に与えて見栄えを良くしています。
ラベンダーに無理させてキレイに見せているってワケなんでありますわ。
本当ならば樹形を根っこの範囲に合わせて剪定して、新芽の形成を促進させるべきなのが庭でのラベンダー管理方法なのですが、苗木屋さんでは事情が違うのでそんな状態ではないのが前提なんですナ。
で、販売されてる全てのポット苗にしっかり一粒づつ置いてあるか?というと、どうもそうではないみたいです。
トラックで苗木の搬送中に振動なんかでポロっと脱落してしまったりするものが少なからずあるよう。おそらく。状況はそのほかにも色々考えられる。
まぁ、その時点から栄養剤による栄養添加はストップしてしまうので、時間が経つにつれて栄養効果はゆる〜くなっていきます。
■ってことで、さぁ実験や!
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上のギモンらで触れた、あえて両極端なラベンダー苗を買ってきました。
どちらとも品種はバイオレットメモリーです。(品種合わせるのはそら当然)
北海道伝統のラベンダー品種である4号オカムラサキ(L.angustifolia 'No4 Okamurasaki)から生まれた色の濃い品種です。
デカく育つ性質を持ってます。
(以下図鑑みたいな記事に記載しているヨ!)
これら苗をただポンっと大鉢に植えて終了させるワケではありません。
苗木としての耐久性(見た目?)というよりも、ラベンダー株としての性能(育ちぶり)を見たいので、しっかり剪定管理して植え直します!
![](https://assets.st-note.com/img/1666326712397-ZGIucqDyfs.jpg?width=1200)
ここ数年間コレ!というラベンダーの生育に適した用土を見つけられず迷走してはトチってきた苦い思い出があるので、今回は大人しく企業の力(企業製品の土)を借りて枯らさずベストに育てます。
横に黒土の袋も横たわってるんですが、厳密に申すと
ハーブの土5:黒土5という用土の組み合わせです。
鉢植えでテストするので赤玉土は混ぜず、鉢底土にのみ大粒赤玉土を使いました。(水は地植えより落ちやすいため)
黒土のみで鉢を埋めると"根腐れのリスク"が想定されるので、それを回避する目的デッス。
![](https://assets.st-note.com/img/1666328830135-hOfnSPBysS.jpg?width=1200)
で、ひとまず定植完了!
わかりやすく、こじんまりとエネルギー蓄えてそうな苗だけ花茎ピンチしておきました。フラワーカードに対して左手がちっちゃい苗です。
そしてひょろひょろ〜と花茎が伸びているのが、栄養タブレット付きで栄養ボケ気味の徒長苗です。栄養吸ってんだから、その分元気に伸びてくれるよね?と睨んでいます。
条件を揃えるため、このあと徒長苗もちっちゃい苗同様に花をカットしました。そら当然ですわw
※ちなみに右手にいる別鉢は遠いラベンダー仲間のレースラベンダーくん(Lavandula multifida)です。
香りと成長観察のために一緒に買ってきました。すっげぇバジルみたいな濃い乾いた匂いがします。
■で、育つこと164日後。。。
![](https://assets.st-note.com/img/1666329637744-vf5JckStsM.jpg?width=1200)
こ う な り ま し た 。
なんか、結果が明白に出た気がします。。。
わかりやすい栄養剤の影響とは理解しきれないものの、栄養ボケしてた苗は明らかに良好な成長をしたとは言えない姿になっていますね。。。
こじんまりとした苗でやってきた左株は、バランスよく球形になるよう新芽をつけて伸ばし、本来のラベンダーのような成長っぷりを見せています。
対して栄養剤でボケ気味でやってきた右株は、5、6本のひょろ長く花穂をつけていた枝がそのまま成長し、中でも2本枝に成長エネルギーが集中したと見てわかる姿に。
根元の株は左株に比べて弱々しく球形に形づくられていますね。
剪定管理の大事さがわかる成長ぶりですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1666331473006-iWE9P67Eu2.png?width=1200)
真上から見えるだけの花芽・梢端の数も数えてみました。
164日後、小ぶりだった苗 ▶️ 38本の新芽/花芽が。
そして栄養ボケ気味だった苗 ▶︎ 27本の新芽/花芽が。
明らかに数の差が出ていますね。
これらがいわゆる次シーズンの花の本数になるワケです。
■不確定要素なところ。
この苗木たちの不確定要素(ナゾがナゾを呼ぶ、どうなるかわからん部分)というのが、はたして栄養ボケした右株の徒長した2本の枝をあらかじめ剪定しておいたら、株サイズと新芽の数は右左どちらとも同じになるのか?という部分。
少なくとも2本の長い枝に集中していた成長エネルギーは、株全体に分散していたことになり、少なからず右株のボリューム感は増していたハズです。
しかし健全に成長した左株と比べて等しくなるか?というと、それがナゾになるワケですね。
■結果発表〜〜〜!!
![](https://assets.st-note.com/img/1666333760419-FaHWIbVuMg.png?width=1200)
さて!当初投げかけていたギモン3つを晴らしてみると、、、
⑴枝や花の伸びた苗と全体的に小ぶりな苗、どちらを選ぶべきか?
A.花も樹形も、ちっちゃい苗を選んでいた方が大きくバランスよく育つよ!
比較実験を見ての通りですね!
加えて、間伸びしてきた枝葉は開花収穫完了後に、遠慮なくほかの枝葉と同じ高さにピンチするのをオススメしますbb
⑵葉っぱがデカい苗は育ちもよい?
A.どうやらそんなことはなかった。小さいやつに成長量抜かされた。
これも比較実験見ての通りですね。おそらく栄養ボケや苗木店に出荷される前、日照量の少ない位置にいたことが原因でしょう。
なんでかわからんけど、葉っぱのデカさが必ずしも健康に育つ指標になるワケではない、ということがわかりました。
がぞうがぞうがぞう、はよ!
(英国品種のスパイカナナという品種は形質的に葉が大きいようです)
⑶栄養剤添加の影響は長期的にどう出るか?
A.植え替えから時間とともに薄まったか、疲れが出てそんなに大きく成長しなかったよ。
みたいです。おそらく栄養剤で初夏の時期にブーストが効いたために晩夏や涼しくなった秋口の2次成長が穏やかになっただったためと思われます。
はい!!
という長期観察でした!
札幌宅では家の片隅に追いやっていたので最近になって冬の備えしてあげないとな〜と思い、目を向けてやった次第です(笑)
22年度はほぼ新規花壇への株の植え替えと蒸留で余暇を持ってかれる年だったので、こやつをまじまじと観察してやれる時間がありませんでした。
バイオレットメモリーは三笠のラベンダー研究園にも株列があるのでそこに加えてやろうかと思ってます。
どのみち鉢植えのままで放置しておくと1.5mの雪に潰されて鉢ごと壊れるのは目に見えてるので。。。
んじゃんじゃ!
研究園の植え替えに日中時間を費やさないといけないのに、早起きした午前中はジョン・ウィックを観て、午後は予定になかったブログ執筆をやってたおいらでした〜〜〜
アディオス
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