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【蒸留日記 vol.138】カズザキヨモギを部位ごとに分けて蒸留してみる。
なんかもうここ最近、野草蒸留レポートがヨモギ編みたいになっちゃってますが、さて前回!!
札幌市内の中央分離帯にて、よくみると見慣れない特徴をもったヨモギを発見し、蒸留・精油抽出を試みました。
するとすると!!
![](https://assets.st-note.com/img/1729940742-JQgDfCs30XOPahUBoMVTHW6G.jpg)
キレイな青みがかった水色の精油が抽出できたのです!!
青いとはいっても6月に開花するセイヨウノコギリソウの青さには及ばない色の濃さなんですが、北海道の自然環境中で青いオイルが採れる植物の2つ目となりました!
ヨモギからも一応青いオイルは採れる!色薄いけど!
ということはわかったのですが、北海道でよく見られるエゾヨモギ(Artemisia montana)とはまた別種のヨモギで、おそらくカズザキヨモギ(Artemisia princeps pamp.)なんじゃないかと予想が立ちました。
で、カズザキヨモギの蒸留は初めてだったので、一応詳しく収油率などを調べ上げてやろう!って感じでvol.138書いていきたいと思いまっす!
▶︎カズザキヨモギの部位ごとの収油率を調べる。
のが今回のテーマになります!!
![](https://assets.st-note.com/img/1729941121-a1FsximoAkd8vt9qpWHQL2jC.png?width=1200)
根元付近の葉っぱだけがエゾヨモギのようにデカい
えーこちらがカズザキヨモギと思われる変わったヨモギの全体像。
10/24収穫。わりと根元から刈り込んでいます。
1本の主茎が何本も枝を広げる形ではなく、1m範囲に何本も茎が立ち上がって群生していました。
このような茎が何本も生えているといった状態でした。
エゾヨモギはオオヨモギとも呼ばれるくらいデカく、花穂もフッサフサのコキアやほうきのように育つんですが、どうもこのヨモギは全体像スタイリッシュに育つみたいなんですよね。
この1本茎自体が穂状花序ってわけじゃなさそうだし…
![](https://assets.st-note.com/img/1729941707-JQhIPlxBAeg2U0KtLHE39o5z.png?width=1200)
梢端にまでまるでラベンダーの葉っぱのような1本の細い葉っぱがついています。エゾヨモギだと葉っぱがつかず花がたくさんつく特徴があります。
科は違いますがまるでローズマリーを思わせるような姿をしています。ただしコチラはヨモギなので葉っぱはやわらかいです。
ローズマリーも葉っぱの裏に気孔が集中するので裏白になるんですよね。
今回では、この【1.花が多数つく上部】と【2.茎および下葉】とをわけて蒸留してみます。
■蒸留1本目 -花穂のみを蒸留する。
![](https://assets.st-note.com/img/1729942232-7x6rJfWYodbzZNmuVtIy2wqE.png?width=1200)
ヨモギ上体の細枝にはよく見ると魚卵のようなちっちゃなつぼみがたくさん房状についているので、それら花枝を切り落として選別していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1729942374-cSTwgYWZsn8uqxryK6vJ4P30.png?width=1200)
これらですね。かなり小さいプツプツとしたつぼみがついています。
これらを主茎から切り落としていきます。
長いものはいくらか細断してこまかくし、蒸気があたりやすくします。
![](https://assets.st-note.com/img/1729943141-pjm5v3yOugfcZNKbAw1EzToU.png?width=1200)
収穫袋に入っていたカズザキヨモギ全部から花枝を切り分け終えました。
カズザキヨモギの花穂素材量が669グラムとなりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1729943453-mjDMIJAfOQ0pYtZRb7hU9yVc.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729943309-7pN4osTAM9XnBaKbLQgywrGv.png?width=1200)
押し込むことなく蒸留釜へ充填。2時間は回します。
蒸留結果!
![](https://assets.st-note.com/img/1729943662-GpPOUCrnodMfgcDz8hm1l0FW.png?width=1200)
あれれれれ。今回は鮮やかな水色ではなく黄色味が混ざってエメラルドグリーンな精油色になってしまいました。
うーん個体によるのかなぁ。
精油抽出量はピペット計測で2.3mLでした!
収油率 - EO Yield
抽出量[ 2.3mL ]÷ 素材重量[ 669g]x 100 = 0.343%
やはり花穂のみに蒸留部位を限定すると収油率が高く出ますね!
では次、残った茎と葉っぱでの蒸留へ。
■蒸留2本目 -茎および葉のみを蒸留する。
![](https://assets.st-note.com/img/1729944083-1IK3CjQRHPZMpfi2mGvqzsW4.png?width=1200)
編集等がかーなりめんどくさくなってきたので細断作業のようすなどは端折りで!笑
残った茎および葉っぱの素材重量は587グラムでした!
同じく2時間蒸留してみます。
蒸留結果!
![](https://assets.st-note.com/img/1729944345-Nwki4ZVPyKO5zM3G6sc70aEf.png?width=1200)
ピペット計測で0.6mLの精油抽出結果となりました!
キク科のマトリシンの役割と部位ごとの含有量からだいたい花を虫に食われないようにするために備えた物質であることはだいたい予想がついていて、花部を蒸留すれば精油の青色が濃くなるだろうと予想していました。
結果花を蒸留したときよりさらに青色が薄いのか、カリオフィレン 等の精油を黄色く染める分子が多いのだろうという色結果になりましたね。
まぁ経験則でだいたい予想がついていました(研究者はこれやっちゃいけないよ)
収油率 - EO Yield
抽出量[ 0.6mL ]÷ 素材重量[ 587g]x 100 = 0.102%
あっこれでも0.1%は収率超えてるんですね!
めっきり少ない、ぜんぜん精油持ってないってワケではなさそうです。
■まとめ。
花部分では収油率が0.343%、葉っぱと茎だけでは0.102%の結果になりました。
セイヨウノコギリソウ蒸留するときに似た数値のように思えます。
同じキク科どうしですしね。
花と葉茎それぞれの物量を合算してみると、全体的に1256グラムのカズザキヨモギから得られた精油量は2.9mL、収油率は0.230%となりました。
なんかエゾヨモギより高そうです。
腹減ったので一旦筆おきまーす
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