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【蒸留日記 vol.137】また違う種疑惑のある小柄なヨモギを蒸留してみる。

こんちゃこんちゃ、続けてヨモギ蒸留記事でっす!

またまた別のところで花穂フサフサなヨモギを見つけたので収穫してたんですが、どうやら今まで蒸留していたエゾヨモギ/オオヨモギとは随分様子が違っていることに気が付いたんですね。

調べていくうちにもしやもしや、、、

と気づくことが多かったのでエゾヨモギとの相違点を書きつつ蒸留レポートまとめていきまっす!


■お前…エゾヨモギではないな?何者だ

小さい葉っぱが花枝にもついていてオリーブやユーカリを思わせる姿をしている

エゾヨモギとはまた様子が異なったヨモギを収穫してきました。
全体的な草丈は、最大に育っているものは140cmほど。
もさっと生えている個体群全体の平均的な大きさは1m~120cmほど。

発見場所は札幌の中央分離帯。
完全都市域のど真ん中の植生なので、まぁ北海道の典型的な自然を示す収穫地ではないんですが、あらゆる可能性を考慮しつつ何ヨモギなのか突き詰めていきます。

花。すっごいちっさい。花がとびっこくらい小さい。
葉っぱ。裏が真っ白でスーッとする香りなので紛れもなくヨモギなんですが、
茎が赤いのとすごい毛むくじゃら。
赤い茎と下部の葉っぱ。物によっては毛が少ないのもある。
花穂。エゾヨモギとは異なって小さい葉が穂先までついている。
そしてどれも茎は赤い。

細部を観察してみました。
もしかすると、本州におけるメインのヨモギであるカズザキヨモギ(Artemisia princeps pamp.)の可能性が出てきました。
札幌の都市部エリアの植生ということもあり、本州から持ち込まれたものが野生化していたり、地方に比べて温暖な環境が生存を可能にしていることが考えられますね。

本州のヨモギでは精油が青色に染まる種が生育していることが知られているので、その可能性も探るべく蒸留して精油を観察してみます。

■材料&蒸留準備!

1651gでの蒸留

収穫してきたヨモギ全体を茎含めて細かく刻み蒸留します。
1回目の蒸留では部位を選り分けず全草蒸留としました。

ヨモギの素材重量は1651グラムでの蒸留となります。
蒸留時間は2時間(※)としました。

葉っぱの分量が多い今回の蒸留
花の近撮

今回蒸留するヨモギの花部。
咲いているのかよくわからないほどつぼみが小さい。

■蒸留結果は…!?

淡いスカイブルーに色づいていく抽出精油

今回は蒸留中の溜まっていく精油の様子がいつもと異なりました!
蒸留開始直後はうっすら白く濁っていたヨモギ精油なのですが、3,40分絶った頃合いからどんどん淡い水色に染まりはじめたのです!

エゾヨモギ(Artemisia montana)ではいつもは黄色か緑色に色づいていくのですが、黄変することなくうっすら水色に染まっていくパターンは初めてでした!

ということは、今回収穫した見慣れない姿のヨモギは本州でメインに生えるカズザキヨモギ(Artemisia princeps pamp.)だろうということがわかりました!
そしてカズザキヨモギは日本に生えるヨモギ種のなかでカマズレンを作ることがわかっている種なので、抽出が遅めであるカマズレンを含ませるために蒸留時間を総計2時間30分に延長してみます。

2時間半の抽出結果

蒸留をやっていてこの時期にしては珍しい水色の精油が抽出されました!
北海道に育つヨモギ種にはカマズレンを持つものがいることの確固たる確証が得られましたね!

カズザキヨモギの精油抽出量はピペット計測で2.7mLとなりました!

1.収油率 - EO Yield

ではエゾヨモギと比較するために同時期収穫カズザキヨモギの収油率を算出してみます。

抽出量[ 2.7mL ]÷ 素材重量[ 1651g]x 100 = 0.163%

2024/10/24 カズザキヨモギの収油率

花穂のみではなく、全草蒸留とした割には収油率が高めに出ています。
そこまで収率が高いワケではないんですが、花のみに選り分けるくらいには高い収率となっているという意味です。

2.香りとか - EO scent

北海道のヨモギ(エゾヨモギ)よりは青っぽく、スーッとするヨモギ的な風味が強いヨモギ精油かもしれません。
精油の色が青いからといってセイヨウノコギリソウ的な香りに傾くワケではないようです。

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エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。