[レポート]Start with Statement #01 |これからも成長し続けるために必要な「企業の理念」と「個人の理念」の関係とは?」イベントレポート
皆さんこんにちは!
今日は2019年12月19日(木)に株式会社サインコサイン主催で行われた「Start with Statement #01 |これからも成長し続けるために必要な「企業の理念」と「個人の理念」の関係とは?」のイベントレポートをお届けします!
会場は2019年12月3日に渋谷駅直上にOpenしたばかりのWeWork渋谷スクランブルスクエア39階のスペース。師走の平日夜にも関わらず、当日は70名ほどの方々にお集まりいただきました。
WeWorkさんの国内最大拠点であり、渋谷の夜景が一望できる上に、WeWorkの特徴であるドリンク・ビールは飲み放題という利点も。
始まる前にはそれぞれお好きなビールの銘柄をピックし、1杯飲んでからイベントに入るという和やかな空気感の中、スタートしました。
さっそくですが、今イベントのテーマは「企業の理念」と「個人の理念」の関係性。
「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念のもとで、ネーミングやステートメントなどの共創を通じ、様々な企業やブランド、個人の覚悟のデザインを支援するサインコサイン代表の加来幸樹さん。
日常から探求し続けているテーマから、これからの時代の企業が進化するにはいったいどのような理念の関係性があるべきなのかを考えます。
モデレーターは加来さんが担当し、株式会社アトラエの竹田哲也さん、株式会社マネーフォワードの金井恵子さん、株式会社CRAZYの乾将豪さんという多種多様な3名をゲストにお迎えしました。
大切なのは企業理念と個人理念のシンクロ。「理念が浸透している」とは?
まずは加来さんからの発表。
そもそも、人は自分という会社を人生をかけて経営していると捉えると、個人にも理念があるのでは、というお話から始まります。
加来:「企業の掲げる「企業理念」と、そこで働くひとりひとりの「個人理念」には親和性があり、それがシンクロしたときにこそ、双方の理念は成し遂げられるのではないでしょうか」。
今の時代に成長し続けるためには、企業と個人の理念がとても良い関係であることが重要、という視点から、そもそも理念が浸透しているとはどういう状態なのかを説明していただきました。
ちなみに、加来さんの個人理念は「それって本当?を問い続けること」。どんな事象にも疑問を持ち、本質を追求していくことがミッションだといいます。
そんな加来さんから最初の問いはこちら。
QUESTION 01「『あなたの会社』の理念と『あなた』の理念は一致しているのか?」
さっそくゲストの方々に、会社の理念とともに自分自身の理念について語っていただきました。
トップバッターは株式会社アトラエの竹田哲也さん。
竹田さんは体験やサービスを作る事業サイドのデザイナー。「僕、金八先生と同じ名前なのでよく覚えてもらえるんです(笑)」と、明るく自己紹介をしていただきました。
アトラエ社のビジョンは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」、フィロソフィーは「大切な人に誇れる会社であり続ける」。
その思いを元に、IT業界に特化した成功報酬型求人メディアGreen、AIを使ったエンゲージメントサーベイによる組織改善プラットフォームwevox、AIビジネスマッチングアプリのyentaの3つのサービスを運営し「関わる全ての人々を幸せにするためのサイクル」を大切にしています。
そんな竹田さんの個人理念は「Design the innovation, Make people FAN & FUN」。
デザインを通して「楽しい」という感情と「ファンを作る」を繋ぐ、という思いが込められています。
「この個人理念、イベントのために作ったのでは ないですよね?」と加来さんが問いかけると、すぐさま竹田さんから「もともと自分で作っていました。Twitterのヘッダー画像にもしています」と返答が。
普段から自分の軸として考えているからこその会社理念とのシンクロ度合いが見えますね、と加来さんは続けます。
お次のゲストは、株式会社マネーフォワードの金井恵子さん。
竹田さんと同じくデザイナーという肩書きですが、社長室所属のデザイナーとして、組織文化のデザインなど広義的なデザインを探求されています。
お金の課題を解決するだけではなく、ユーザー自身の本来の課題の解決、人生を前に進めるということを大事にしているマネーフォワード社。
家計簿、クラウドサービスなど様々な事業を展開し、金井さんはなんと社員20名の頃からジョインし、現在の社員数である700名になるまで組織の変遷を見てきました。
金井さんの個人理念は「想いやビジョンのハブになり、みんなをひとつにする」。
金井さんいわく「企業理念との直接的な重なりはないですが、会社の理念自体には共感していて、それを皆さんに届けるお手伝いがしたい」という思いを大切にしているのだそうです。
例えば、ミッション・ビジョン・バリューが社内に伝わるような社内報を書いたり、オフィスのコンセプトデザイン、拠点ごとのカルチャーをオフィスで表現すること。
つまり、金井さんが大事にする「想いのハブになること」なら、何でもやる、という多才ぶりです。
最後に、株式会社CRAZYの乾将豪(いぬいまさとし)さん。
CRAZY WEDDINGの最年少プロデューサーを経て、新規事業開発、営業マネージャーなど幅広く経験後、現在は人事採用責任者として活躍しています。
乾さんの個人理念は、「心の底から『幸せである』『この人生でよかった』と言える人を増やす」。
「昔から人や心理に興味があった」という乾さんを突き動かしているのは、何よりも人の可能性を信じられる人でありたいという思い。
誰しもが生まれてから、他者に何かしらの愛情をもらって成長していく中で、種が花になっていくような過程に関心を持つ乾さんは、個人でもキャリア支援など活躍の幅を広げているそうです。
会社理念は「世界で最も『個人』と『法人』の人生を祝う企業」。
本質的な豊かさを重視し、オーダーメイドウエディング事業を中心としながらも、個人・法人問わず、様々な方の人生をお祝いする企業、と乾さんは続けます。
ここで加来さんから純粋な疑問と感想。
「例えば乾さんはコーポレートサイドだからまだしも、竹田さんは金井さんや事業サイドなのに、企業理念へ共感を持ちながらも個人でも理念を持って、自分ごと化しているのがすごいですね」。
この問いを元に、さっそく次のQUESTIONに進みます。
QUESTION 02 「社内に他にもそういう人いる?その人は会社にどんなメリットを発揮している?」
竹田さんが働くアトラエ社のオフィスの壁では、「Attract people in the world」というコーナーがあり、そこでは社員一人一人が自由に思い思いの言葉を書いています。
竹田:「自分の興味関心は何なのかを知り、事業に直結する部分との重なりを見つけようというものです。これは全員に公開していて、半期に1度アップデートしていきます」。
竹田さんの発表に対し、マネーフォワード社では、個人よりもまず会社のミッションが社員の中では大きく、そこへの共感がポイントになっているかもしれない、と金井さんは言います。
理念を持つ時、順序として個人が先にくるのか、会社が先にくるのか。
どちらが良い・悪いというお話ではなく、その違いによって「個人理念」の捉え方が大きく変わりそうです。
そんな中、CRAZY社乾さんは具体例として、CRAZY社が大切にしている考え、採用プロセスを紹介します。
これは採用段階の最後に、全社員に自分をプレゼンテーションをする時間だそうです。
乾:「この時間の中で、自分がこの人生をかけて何をやりたいのか、その上でこの会社で何を成し遂げていきたいのか聞きます。これはとても大切な選考基準で、そこから一緒に働くということを決めています」。
同じように会社の制度として、理念への共感や個人への向き合い方に関して繋がるものはありますか?と加来さんが問うと、竹田さんが挙手。
竹田:「アトラエでは全員株主になる制度があります。これは株主視点で会社を見るという文化です」
それぞれの会社の特徴が分かったところで、3名のように企業理念と個人理念のシンクロがしている社員を増やすにはどうしたらよいか、最後の問いに進みます。
QUESTION 03 「シンクロしてる人は増やせる?増やせるとしたらどんな方法が有効?」
ここでマネーフォワード社の金井さんから、鋭い視点での考察が入ります。
金井:「企業理念と個人理念の関連性について、社員の立場からは重なる部分がある、完全に一致、全く一致しないなど色々あるけれど、それだけではなく、そもそも個人理念という概念に気づいていないパターンがあるのでは」。
3年前、会社のミッション・ビジョン・バリューの策定プロジェクトを社内で経験したという金井さん。
デザイナーなのにこの策定をやっていていいのかと疑問に思いながらも、そこで向き合ったことが個人理念という概念を考えることに繋がったといいます。
せっかくなので、他のゲストの皆さんが個人理念を持つきっかけは何だったのか聞いてみます。
加来:「自分がもともと、企業の理念づくりの活動をしている中で、途中から『もしかしてこれって自分にも必要なんじゃないか?』と思ったのがきっかけでした」。
それに対し、CRAZY社の乾さんは、過去の体験についてお話をしてくれました。
乾:「大学生時代、全く夢がなく悶々としていました。そんな時に『乾はいったいなにがやりたいんだ?』とお世話になっていた社会人の方に聞かれ、3週間自分と向き合ってみました」。
一番、自分が心震える瞬間はなんだろう?と考えたことをもとに、10年間かけて自分の考えをブラッシュアップした結果が今の個人理念に繋がっているそうです。
アトラエ社の竹田さんは、プロダクト作りに携わる中で、これってどんな方向性で作るのがいいのだろうと考えたことや、とある本との出会いがきっかけとなり、理念、というものに興味を持つようになったそうです。
竹田:「谷口貴彦さんが書かれたザ・コーチという本があります。そこには、崇高なビジョンじゃなくていい、やってみて、自問自答していくのが大事とありました」。
前職では社長と一緒に会社のビジョン・バリューを刷新した経験がある竹田さん。
夢、ビジョン、目的、ゴール、目標をひとつずつ説明しながら定義づけをしていくプロセスはが大きな印象だったといいます。
そもそも理念は必要?あるとどうなるのだろう?
ここで、参加者の方からの質問コーナー。
質問:「私はミッションやビジョンなどの概念を知ることは個人的に好きなのですが、そういうのにピンとこない人もいるのではないでしょうか。そういう人に会った時、皆さんは『理念は持った方がいいよ』とすすめるのか『そういう人生もあるよね』なのか、どのような価値観を持っていますか?」。
それに対し、アトラエ社竹田さんからはこのようなアドバイス。
竹田:「僕は仕事とはいえ、楽しく活き活きとやったほうがいいじゃん、というスタンスなので、仕事の中の自分、に理念を持つことで、自分自身を縛ることに繋がるならば、プライベートの自分の方も入れて理念を持つようにします。それが意欲になるならいいのでは?と思います」。
それでも、理念を持つこと自体に抵抗がある人もいることは確かです。
マネーフォワード社の金井さんからは、理念に対し、解像度を高くする方法があるよ、という新しい視点が。
金井「例えば理念というような大きな概念の言葉ではなく、自分が大事にしている価値観、と言い換える方がより伝わりやすいのではと思います。理念と聞くと引いちゃうけど、そのように考えてみるとどんな方にもある気がします」。
その方法に対し、既に会社全体で個人理念を掲げることを大事にしているCRAZY社の乾さんは、持つ上でのメリット、持つために必要なことを挙げます。
乾:「なくてもいいと思いますが、あると、少し豊かになるのかなと思います。無理に組織に当てはめるんじゃなくて、まず自分の幸せを考え、掲げることが、結果的に企業理念とどのような関係性を持つかに繋がると思います」
最後のシーンでは、乾さんが今後やりたいことの発表も。
理念とのシンクロを大事にすることで、今後どのような活動が生まれていくのか、楽しみですね!
個人理念と企業理念の関係性を考えることは、自分の幸せと大切に思う価値観への気づきに繋がる
アトラエ社の竹田さんは、これからの時代は他人の尺度に囚われない本当の幸せを考えていくことが大事になり、それが個人理念に繋がるのではないかと最後に締めくくります。
個人理念は持つこと、持たないこと自体が大事なのではなく、これからの時代を生き抜いていく中で、企業人としての自分だけではなく自分という人生の方向性決めや価値観の醸成に対し、存在として必要なのかもしれません。
個人の理念を持つことで、具体的にどのように変化したのか、そして企業理念への向き合い方がどう変わったのか、そもそもどのように作ったらいいのか?
次回の開催があれば、より深くお聞きしてみたい!と感じる、あっという間の1時間でした。
お集まりいただいた方、本当にありがとうございました!
また今回のイベント設営の柳田朋宏さんが、早速当日のリアルタイムレポートをまとめてくださいました。以下もぜひご覧ください!
執筆:川口 ゆり
https://twitter.com/funifuniyuri
写真:柳田 朋宏
https://twitter.com/TomoYanagida
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