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2024年ドラマまとめ

2024年は個人的に大きなうねりが生じた1年だった。
退職、イギリス留学、転職、ひとり暮らし。
人生のなかで回数でいえばそう多くないイベントが一気に来た。
周りの人々や環境、そして思考。
色々変わったけれどもドラマは変わらず傍で支えてくれた。

2024年印象に残った作品たちを、感謝と敬意をこめて書き残しておきたい。


46本のドラマ

2024年は87本のドラマを鑑賞し、46本を完走。
フリーター期間があったこともあり、『古畑任三郎』シリーズや『アンナチュラル』『MIU404』を見返すことができたり、『光る君へ』で人生初の大河ドラマ完走を果たしたりした。

1~3月

山P主演の『正直不動産』シーズン2や、不名誉なかたちでドラマ史に名を刻んでしまったクドカンの『不適切にもほどがある!』があったこのクールに最も印象的だったのが『舟を編む』。
三浦しをん原作をNHKでドラマ化。言葉という海を航海する舟(=辞書)を編む物語。辞書編纂にあたり、様々な年齢・性別が交じり合うチームだが、お互いを尊重することで発揮される底知れぬパワーをひしひしと感じた。印象的なのは”恋愛”についてどう記載するか葛藤するシーン。多様性が認められるべきであるなか、”男女”という言葉を用いていいのか…?
辞書編纂部が出した答えは以下のようなもの。

恋愛が異性間だけのものだって思われていた時代が確かにあった。その記録を残しておくことはとても大切なことなんだよ。人間が歴史の中でいつ何を手放しいつ何を獲得したのか。紙の辞書にはね、その記録が詰まっている。

”男女”という記述を残すことに決めたが、その理由に説得力がありすぎて、彼(女)らの矜持を強く感じた。

ちなみに向井理の役がイケメン上司過ぎて今年イチカッコいい役だった…
『ライオンの隠れ家』ではDV夫役を熱演しており、振れ幅がすごい!

4~6月

ドハマりした『虎に翼』が毎朝を彩ってくれたり、代理母出産を扱うチャレンジングな『燕は戻ってこない』があったりと、大河ドラマはじめNHKドラマ改めて強いな~と思っていたこの時期だが、個人的ベストはカンテレの『アンメット~ある脳外科医の日記~』だ。

杉咲花演じる川内ミヤビが眠ると記憶をなくしてしまう病気と闘いながら、脳外科医として患者や自分自身と向き合っていく医療ドラマ。同僚役に若葉竜也、井浦新、千葉雄大、岡山天音、野呂佳代を据えるなどキャスティングも最高だった。

私はこのドラマが「普通の医療ドラマ」を一貫してやり遂げたことが何より嬉しかった。医療ミスや病院内の派閥争いなどの描写で扇動的に話を進めるのではなく、ただ愚直に病気や患者に向き合っていく展開が本当に良かった。(”カテーテルの天才”と言われる岡山天音が難なく手術を終えるシーンには、鳥肌が立つほど感動した)

また、同作を受けて若葉竜也の世間からの人気が爆上がり。主演映画『街の上で』(2021)が様々な地域の劇場で再上映されるなど若葉くんフィーバーが起こったことも記録に残しておきたい。

7〜9月

個人的な話ですが、夏は高校野球に全振りするのでドラマも絞りがち。『西園寺さんは家事をしない』も観たかったが泣く泣く離脱…。歯食いしばりながら選んだ作品は『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』だ。
岸田奈美の自伝的エッセイをドラマ化。河合優美、錦戸亮、坂井真紀、美保純の並びだけみると「クドカン作品では…?』と思わずにはいられない豪華なキャスティング。過労死した父、車椅子生活の母、ダウン症の弟など厳しい状況に置かれる家族だが、家族愛とそれぞれの自立心を支えに懸命に生きる。タイトルからも分かるように家族愛がテーマなのだが、「良い話」一方通行ではなく、家族とはいえ衝突もあるし分かり合えないこともある、という当たり前だがフィクションでは見落としがちな描写や観点も踏まえていたので良かった。

10〜12月

2024年では最も完走した作品が多かったこの時期。『団地のふたり』『ベイビーわるきゅーれナイスデイズ!』前者は小泉今日子×小林聡美が団地でささやかな喜びと共に暮らす物語、後者は高石あかり×伊澤彩織の2人が殺し屋として任務を遂行していく物語で、系統が違うようにも思えるが女性同士の連帯を描くという点ではとても似ていた。そのほか『宙わたる教室』『無能の鷹』『ライオンの隠れ家』はそれぞれ学園モノ・お仕事コメディ・ホームドラマと多種多様な顔ぶれで、とても充実していた。
そんな豊作期で頭ひとつ抜きん出ていたのが『3000万』『海に眠るダイヤモンド』だった。

『3000万』は安達祐実主演のNHKドラマ。闇バイトがテーマで、3000万をめぐってとある家族、闇バイトとその親玉、そして警察が激しく交錯する。
タイトルやあらすじからはSF要素が強そうにも思えるが、作中では物価高などリアルな描写もふんだんに盛りこまれており、気づかぬうちに自分事として捉えていた。画面に割って入ってくるシーンなど、スリリングな演出も見逃せない。

『海に眠るダイヤモンド』はドラマ界隈では有名な野木亜紀子×新井順子×塚原あゆ子チームが送る大作。長崎県に浮かぶ端島(軍艦島)が全盛を迎えていた戦後間もない時期と令和を結ぶ物語。
「あの頃は良かった…!」というノスタルジック一辺倒ではなく、昔と今は繋がっていて、どちらの時代でも人々は懸命に生き、傷つき、助け合っているんだという”人”を中心に据えた展開だったので本当に良かった。
端島の閉山を見届ける『海に眠るダイヤモンド』は、先述の『団地のふたり』同様、「斜陽であるふるさとからどう自立していくか」という話を丁寧に描いていて物語の深みを堪能させてくれた。

おわりに

2024年もドラマに生かされた1年間だった。
あえて個人ランキングを出すと
🥇アンメット~ある脳外科医の日記~
🥈3000万
🥉舟を編む

上記3作品という感じになるだろうか。

来年もこのnoteを楽しく書きたい。
そんな年末を迎えられるよう、心身のコンディションを大切に。
そして、多くの人に日本ドラマの魅力が伝わりますように。


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