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【体験談①癌発覚~入院まで】30代筆者が、「上顎洞癌ステージ4で余命1年」と診断された話

タイトルの通り、先日病院にて「上顎洞癌ステージ4で余命1年」と診断されたのですが、「珍しい症例であること(担当医曰く、ガン患者1000人に1人)」、「ガン患者としては、若年層であること」を踏まえて、

・まだ、癌になっていない方に気を付けて欲しいこと。
・同じ状況で不安な方への参考になりそうなこと。

を体験談として整理をしました。

自身で調査したことなども含めて、やや網羅的にまとめてみたので、本記事を見てもらうと「癌が分かる~入院までの流れ」をイメージしやすいと思いますが、少し長いので、気になる点を掻い摘んで読んでいただけると幸いです。

注)私自身は、医療従事者ではないので、あくまで「体験談」として受け取って下さい。また、人によって状況・症状は異なりますので1ケースとお受け止め下さい。

どんな「経緯」で癌だと分かったのか?

前提として、私は持病や過去に大病を患ったことはなく、健康面の心配などありませんでした。なので、癌と分かる前後からの経緯のみ記載しています。

まず、2021年2月頃から右頬に疼くような痛みがありました。過去に『蓄膿症』、『副鼻腔炎』に2,3回掛かったことがあったので、「あ~、再発したのかな~」と思い、3月に入ってから耳鼻科に行きました。

3月上旬、耳鼻科に行った時点で鼻水の状態から、「やっぱり、蓄膿症あたりかな」と思っていましたが、医師にも『蓄膿症 or 副鼻腔炎』と診断され、抗生剤を処方され、そのおかげで鼻水の症状は1-2週間で治りました(※)。

※実際この時、腫瘍が原因で蓄膿症を併発していました。

(筆者)「でも、まだ右頬は痛いし、なんなら腫れてきたな…」

この時点で色々調べていたため、個人的に上顎洞癌の可能性を念頭に置いて、3月下旬耳鼻科に再来し、すぐにCT検査をしてもらうと…

(耳鼻科医師)「腫れが、骨を削っている。これは、カビ(副鼻腔真菌症)か悪性腫瘍のいずれかだと思います」

そこから、耳鼻科の医師に総合病院を紹介してもらい、4月上旬に総合病院の初診で「十中八九、悪いものであろう」と言われてから、半月後には頭頚部の癌治療に詳しいベテラン(元々がんセンター勤務の)医師から、上顎洞ガンと診断されました。

(頭頚部医師)「上顎洞ガンのステージⅣで、何もしなければ1年もたないでしょう。手術をすれば、右顔半分はのっぺらぼう状態になってしまうので、RADPRATでの手術を推奨します」

ここまでの病気の診断、治療法を明確にするまでに、週2~4回ほど通院し、検査をしました。


【病気の診断、治療法を明確にするまでに行った検査】
・血液検査(2回)
・細胞診、組織診(各1回)
・CT(4-5回),MRI(2回)
・視力検査、視野検査、眼底検査(各1回)
・PET検査(1回)
・肺活量検査(1回)
・超音波検査(1回)

その後、治療方針が決まったため、放射線科にも通い始めて、治療計画を定め、前準備(親知らずの抜歯など)をし、入院日が決まりました。

どんな「病気」なのか?

記事公開時点(2021/05/14)での私の症状は下記の通りです。

・病気:右上顎洞ガン ステージⅣ(右首に1か所転移)
・症状:右頬及び周辺に疼くような痛み
・備考:入院まで痛み止めを服用。

癌の中でも「頭頚部(脳より下~首から上)」は、珍しい部類で癌患者全体で約5%(国内では、年間約27,000人が発症)。

その中でも「上顎洞ガン」は、約3%であり、「がん患者が1000人いたら、2人くらい」のかなりレアな病気となります。

また、早期に発見しづらく、自覚症状(頬の痛みなど)で発見されることが多いため、病院に行った時点でステージⅢ~Ⅳになっていることが殆どだそうです。

上顎洞ガンについては、公益財団法人がん研究会有明病院の記事が分かりやすかったので、ご参考ください。

また、罹患した際のリスクや症状は下記が挙げられます。

上記を見ると物々しいのですが、私は現時点では眼科で検査した結果も視覚への影響もなく、腫れてる場所が痛い以外は特に症状はありません。

もちろん、その間も癌は進行しているので楽観はできませんが、治療自体は医師と一緒に進めるしかないので、日常生活は健康にいつも以上に気を付けてはいるものの、入院までは普段通りに仕事したり、ゲームしたりして過ごしています。

どんな「治療」をするか?(副作用含む)

まず、大きく2つの治療方法の選択肢がありました。

①「摘出手術+抗がん剤」
②「RADPLAT(シスプラチンによる超選択的動注科学療法+放射線治療)」

高年齢になると放射線治療に耐えられないことが予想されるため、①「摘出手術+抗がん剤」になることが多いそうです。

ただ、進行度や腫瘍の位置・大きさにもよりますが、腫瘍がある側の顔を大きく削ってしまうため、顔が崩れてしまうことが大きなデメリットになります。この場合は、再建手術と呼ばれる方法で太ももなどの別部位から肉を持ってきて、顔を再建するそうですが、腫瘍がある側がのっぺらぼうのようになります。

基本的には、約2カ月の放射線治療に耐えうる体力があれば(≒若ければ)、②「RADPLAT(シスプラチンによる超選択的動注科学療法+放射線治療)」を勧めているそうで、私もこちらを選択しました。

RADPRATは、癌の近くの動脈までカテーテルを通して、直接腫瘍にシスプラチン(抗がん剤)を高濃度で注入+放射線治療を行うという方法です。頭頚部や首回りなど、手術が行いにくい or 手術で他の重要な器官を大きく損なってしまうケースのための治療とのことです。

点滴から抗がん剤を注入する療法に比べて、約200倍の濃度の抗癌剤にがんがさらされることになります。

つまり、「他への影響を減らしながら、腫瘍には高濃度の抗がん剤を注入できる治療法」なので、副作用の発生可能性を減らすことが出来る治療法になります。

海外よりも日本での治療成果の方が良いとのことです。

とはいえ、抗がん剤や放射線治療の副作用がなくなるわけではありません。私の場合、下画像(実際に私向けに提供された資料)のような副作用の可能性があります。

みんなに「気を付けて欲しい」こと

ここに記載する内容は、完全に"おまいう"かつ月並みなことではあるものの、本記事の一番伝えたいことです。

それは「マジで癌は、誰でもなる可能性あるので、(健康診断だけでなく、)定期検診しましょう」ということです。

というのも、統計的に生涯がん罹患リスクは「2人にひとり」以上です。

4人家族でも、2人は掛かりますし、夫婦2人暮らしなら、片方は確率的に掛かると思っていいです。

そして、2019年統計データによると生涯でガンで死亡する確率は、男性26.7%(4人に1人)、女性17.8%(6人に1人)になります。

※詳しくは国立がん研究センターの下記ページを参照。

生きていれば、必ずいつか死ぬわけではありますが、「可能性は高いが、対処が可能なリスク」を放置するべきではないと思います。

私の場合、(頭頚部癌の原因となりやすい)煙草は一切吸わず、毎年健康診断を受けていて、耳鼻科にも蓄膿症などが発症した際に通って治療していましたが、癌になりました。

ということで、この記事を見て毎年一度は全身をきちんと検査してくれる方が居てくれたら嬉しいです。

特に健康診断では、頭頚部関係の異常は殆ど検知できませんので、全身くまなく診てくれる検診をおススメします。

どのような「制度」が活用可能か?(お金の話)

イメージ通り、癌の検査・治療には結構お金が掛かります。私は、まだ治療・入院していないにも関わらず、自己負担額で10-15万円ほど掛かっています

ただ、日本には高額な治療費を支援してくれる公的制度があり、私は入院に際して下記を活用予定です。

・高額療養費制度
・所得税の医療費控除

特に高額療養費制度を活用すると、メチャクチャ自己負担額が下がります。例えば、下画像(厚労省資料)のケースだと医療費が100万円掛かっても、1カ月の自己負担額が10万円以内におさまっています。

この制度は、ざっくり言うと「ひと月の医療費に所得に応じた上限が設定され、それ以上の費用を国が支援してくれる制度(※)」するものです。

※先進医療、ベッド差額代、入院中の食費など対象外のものがあります。

ただ、一度病院に医療費を支払った3か月後に上限を超えた金額を払い戻しされる仕組みのため、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくことをおススメします。

これがあると払い戻しではなく、支払い時に割引されます。

所得税の医療費控除は、文字通りです。「今年、医療費がかさんだな~」と思ったら、利用検討をおススメします。

他にも、被介護者や低所得者向けなど、様々な公的制度があるので大病を患ったら、必ず公的制度を調べましょう。(各自治体でも、独自制度がある場合もあります)

私の場合、入院中も仕事をしている予定ですが、休職に関連した制度なども会社と相談しながら活用することになると思います。

癌に関して言えば、下記はかなり良くまとまっていますのでご参考ください。

なにが「原因」だと考えられるか?(仮説)

仮説になってしまいますが、私が上顎洞ガンになった原因を考えてみました。

結論を言うと「蓄膿症(副鼻腔炎含む)が原因」だった可能性が一番高いと思っています。

大学の頃に一度蓄膿症になっており、その後2-3年に一度発症しては耳鼻科に通い、抗生剤で治療をしていました。

都度、治していたつもりですが、根治しきれておらず、徐々にガン化したのかなと。

虫歯などの治療がいい例ですが、症状がなくなって(おさまって)いても、治療をした箇所が根治しているとは限りません。

今回がそうだったのかは確定しているわけではありませんが、過去治療をした箇所は、その後も念入りに検査をする方が良いのかもしれません

癌になって、何が「いや」だったか?

私の場合、嫌だった順に並べると下記になります。

1.家族&周囲に心配・迷惑を掛けてしまうこと。
2.副作用・後遺症があること。
3.検査・治療・入院に時間が掛かること。
4.医療費が、かさむこと。
5.死ぬ可能性が明示的に示唆されていること。
6.腫瘍の箇所が、痛いこと。

ちなみに、各順位の差はこんなイメージです。

1>2>>>3>4>>>>>5>>>6

私個人の死生観として、自分が死ぬこと自体が怖くはないのですが、「生きている内に自身の日常を損なう恐れのあること」、「自身のことで大切な人に迷惑を掛けること」が嫌だと感じています。

癌と分かってからの「日常生活」の話

腫瘍がある周辺に痛みがあることと通院していることを除けば、普段通りにフルリモートで仕事をして、ゲームをして過ごしています。

癌になったときの「夫婦生活」の話

抗がん剤、放射線治療をすると生殖機能への後遺症(無精子症など)が残る可能性があります。

そのため、子どもが欲しいという家庭の場合、精子や卵子の凍結保存をしたり、手術後に不妊治療をするといった手段があります。

凍結保存は、精子の場合、年間5万円ほどで出来るそうです。(凍結した精子を使って、妊娠のための施術をする場合は数十万ぐらい)

癌の場合、再発リスクもあり、一定年月を経てから、子どもについて考えたい方は、まず凍結保存をするといった方法がとれるのは有難いですね。

入院中、仕事はどうするか?

もう1年以上、フルリモート+フレックスで柔軟に働いており、入院中も仕事は続ける予定です。

入院の話に続く

ひとまず、「自覚症状が出てから、入院まで」について体験談を綴ってみました。SNSでのシェアも大変有難いですし、身近な誰かと「検診行ってみよう」と話して頂くきっかけや「癌になった前後ってこんな感じか」とひとつの体験だとして少しでも皆さんの参考になれば、書いた甲斐があります。

https://twitter.com/maiyamashusaku

※体験談②も執筆しましたので、良ければ併せてご覧ください。入院から治療初期(1-3週間ぐらい)までを書いてます。


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