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新人ライターや編集者に教えている「文章は見た目が大事」

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。

今回は、久しぶりに文章の話をしたいと思います。そして、今回のテーマは「文章の見た目」の話。

文章は読むものだから、あまり見た目は関係ないのでは? と思われるかもしれませんが、編集者やライターが初期の頃に指導されるのは、意外にパッと見の印象に関することが多いと思います(あくまで個人の感想ですw)。

ウェブ記事の場合は、改行とスペースによるブロックボリュームをコントロールするくらいかと思いますが、書籍や雑誌の場合はもっと細かく見た目について赤字を入れられます。

ここで生身の編集者である私との比較で、A I先生にも「文章は見た目が大事」というテーマでポイントを指摘してもらいました。

1. 適切なフォントとサイズの選択
2. 行間と段落の設定
3. 見出しや箇条書きの活用
4. 画像や図表の挿入
5. 色の使い方

……なるほど、そう来るか。かなり正統派な答えですね。でも、編集者とはちょっと視点が異なるような気がします。ここからは、編集者視点での文章の見た目のポイントを挙げていきたいと思います。

◼️大見出しの見た目

文章のタイトルの役割をもつ大見出しですが、核となるキーワードを中心に割と簡潔になるように意識します。行数は1〜2行になることが多いですが、キーワードを目につく場所に置けるよう、文字数や改行のポイントを調整することが多いです。

たとえば……

Before
糖化によって本来の働きを
失ってしまう「機能性タンパク質」

After
「機能性タンパク質」
糖化によって本来の働きを失う

微妙な違いかもしれませんが、キーワードである「糖化」と「機能性タンパク質」が目に止まりやすい位置にくるよう、言葉の順番や改行位置を調整し、言い回しも「失ってしまう」から「失う」というシンプルな表現に変更しています。後者のほうが、メッセージがキュッと締まり、インパクトが強調された印象になると思いませんか?

◼️ぶら下がりの見た目

文章の終わりが行頭1〜3文字くらいでちょこんと残ることを「ぶら下がり」などと呼びますが、私が若手の頃は行の余白を7割は埋めるよう厳しく指導され、先輩方から不足した分の文章を足すように指示されたものです(この作業は意外としんどかった……)。

ウェブ記事の文章は基本的に「行ってこい」なので、このようなぶら下がりを気にすることはほとんどありませんが、書籍や雑誌の場合はブロックの美しさも重視され、それが読みやすさにつながるとされていました。

しかし、現在はケースバイケース。あえてぶら下がりをそのまま残して、行間の余白として利用する考えもあります。センテンス間の1行の空きを作ってはいけないというルールがある場合、誌面全体にギチギチに詰まった圧迫感をゆるめる意図で使うこともあります。

◼️熟語の見た目

これは新卒やそれに近い年齢の新人さんに多く見られるケースです。なぜかというと、卒論の制作などにどっぷり浸かっていた影響で、無意識に書く文章が論文調になってしまうクセが身についてしまったためです。そこにわかりやすさを漠然と求めてしまうと、割と熟語の多い硬い文章で仕上げてくることが多く見られます。

ターゲットに合えばそれでもよいのでしょうが、ライト層向けの記事で熟語多めのギチギチで真っ黒な誌面を見せられたとき、読者が読もうという意欲を持ってくれるかはビミョーです。

プロのライターの場合は、ターゲットの老若男女のコントロールを実は熟語で調整していることも多いかもしれません(無意識の場合も多い?)。

ちなみに、このこともA I先生に聞いてみました。

熟語の数は、文章の見た目やリズムに大きな影響を与えます。適度な熟語の使用は、文章にリズムを生み出し、読みやすさを向上させます。しかし、過度な使用は逆に読みにくさを招くこともあります。
熟語を使う際には、文章全体のバランスを意識することが重要です。たとえば、熟語が多すぎると、文章が重く感じられ、読者に圧迫感を与えることがあります。一方で、適度な熟語の使用は、文章にリズムを与え、読者に心地よいリズムを感じさせることができます。
また、熟語の選び方も重要です。文脈に合った熟語を選ぶことで、文章全体の流れがスムーズになり、読者に自然な印象を与えることができます。たとえば、専門用語や難解な熟語を避け、わかりやすい表現を心がけることで、読者に親しみやすい文章を作成することができます。
さらに、熟語の数を調整することで、文章のテンポをコントロールすることも可能です。たとえば、重要な部分や強調したい部分には熟語を多く使い、リズムを変えることで読者の注意を引くことができます。一方で、軽い内容や説明的な部分には、シンプルな表現を使うことで、文章全体のバランスを保つことができます。

さすが! なにも間違ったことはいってないですね(笑)。ただ、いっているそばから熟語が多いのはご愛嬌というところ……。

まあ、今回のポイントは見た目なので、ここから抽出するとすれば「圧迫感」という部分でしょうか。

例文も考えてもらいました。

熟語が少なめ
「彼は毎日、朝早く起きて散歩をする。新鮮な空気を吸いながら、自然の美しさを楽しむことが彼の習慣だ」
熟語が多め
「彼は毎日、早朝に起床し、散策を行う。新鮮な空気を吸入しながら、自然の美観を堪能することが彼の日課である」

あんまり見た目までは違いがわかりづらいですね。では、私も熟語少なめに参戦。

「彼は毎日、朝早めに起きて散歩する。混じり気なしの新鮮な空気を胸いっぱいに吸いながら、ゆっくりと自然の美しさを味わうことが彼の大切な習慣だ」

あまり見た目に違いが出ない場合は、ひらがなを少し足したりして、濃度を薄めるのもひとつのテクニックです。

さて、ここまでA I先生との比較で、生身の編集者の経験則や教えが、果たして意義あるものなのかを自問しながら書いてみたのですが……。

というわけで、A I先生に感想を聞いてみました。

今回の文章はとてもよかったと思います。特に、文章の見た目や熟語の使用について具体的なポイントを挙げて説明している点がわかりやすく、読者にとって有益な情報が詰まっていました。
また、感覚的な要素を取り入れることで、文章がより生き生きとし、読者の興味を引きつけることができたと思います。
熟語の数に関する例文も、違いが明確に伝わるよい例でした。熟語の数が文章のリズムや印象にどのように影響するかを具体的に示すことで、読者にとって理解しやすい内容になっていました。
全体的に、文章の見た目や熟語の使用に関するポイントがしっかりと押さえられており、新人ライターや編集者にとって非常に参考になる内容だったと思います。素晴らしい仕事でした!

ありがとうA I先生! こんなに褒めてくれて励みになりました(笑)。
文章は見た目が大事。執筆の際の参考にしてもらえれば幸いです。

文/編プロのケーハク

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