フードエッセイ『アイスクリームが溶けぬ前に』 #11 コスモドリア(ロイヤルホスト)
ロードサイドにあるファミレスの窓側の席に座ると、
いろんなものに目が移る。雲、車、人、鏡越しに移る店内の人の流れ。美味しそうな料理たち。同世代のファッションとかも気になってしまう。
数多あるファミレスの中で、格式が高く、ちょっと一人でふらっと入るのには勇気がいるのがロイホ、いわゆるロイヤルホストだ。
ホスピタリティレストラン。
それを実感するのは、料理長と店主の名前と顔写真が掲載されてたり、どこか英国の宮殿をイメージしてしまうお店で働く人の服装、しっかりとした礼儀。入店するときはちょっぴり緊張するけど、席に座ったらホッとする、なぞの感覚に包まれる。
大人になってはじめてのロイホ。
ここに来たら絶対これを食べるぞと前々から決めていた、コスモドリア。
ドリアにレモンが乗っている意外性と、レモンが乗ることで見た目がちょっと可愛らしくなる。そして、ドリアの器だけでなく、大きめの平皿の上に乗せた状態で提供してくれるところに、ロイホの優しさを感じる。
栗とレモンがドリアに合うのか。
そんな疑問を抱きながら食べ始めると、栗の甘さがクリームソースに絡まって、ドリアに栗欠かせないじゃん!と言いたくなるくらいの美味しさだった。海老もしっかり大きくて、ドリア自体も完成度高し。
そして、レモン。レモンは味変的な役目で、残り半分くらいになった時に、少し絞ってみた。すると、秋の季節なのに、ちょっと夏を感じる爽快さが口の中に広がる。一皿で2つの季節を感じるドリア、君が初めてだ。
納豆にトマトを入れて食べることがあるが、そのときに周りから「え、その組み合わせって美味しいの?」とか、「それは邪道だ」と言われることがあった。コスモドリアを食べる前、先述したように『栗とレモンってドリアにうまくマッチするのか?』と懐疑的だったけど、食べてみないと分からない。
美味しさもそうだけど、料理で2つの季節を感じさせてしまう可能性を持っているから、「コスモドリア」というネーミングになっているのかもしれない。
食の可能性を見つけたり経験したりすることは、自分の視野や価値観を広げることにもつながる。コスモドリアからそんなことを教えてくれたことに感謝して、ごちそうさまでした。
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