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【Art Project 2022】「わたし」が生きている!等身大の「BODY PRINT」を制作しました!@進修館

大切な日(七五三、誕生日、成人式、成長記録 etc)などで記念写真を写すように、「等身大の影」と「その時の大切なもの」を一緒に残す写真習慣が生まれたらいいなと考え、2021年から「BODY PRINT ACTION」というプロジェクトを埼玉県の各地を中心に行っています。


今年は、メイン会場を宮代町立コミュニティセンター「進修館」とし、ユニークな建築物を生かした、作品展示やワークショップを実施しています。

「BODY PRINT ACTION 2022」のフライヤー

プロジェクトの詳細は↓リンクを参照ください。


その企画の中でのメインワークショップは、「BODY PRINT」。
7/2に1回目、7/9に2回目を実施しました。

7/2は、前述したプロジェクトの趣旨をキャッチしてくれた2名の参加、7/9は4名の参加がありました。その中の1人は、臨月を迎えた参加者で、「特別なマタニティフォトを撮影したい」と参加してくれました。

7/2:等身大の「BODY PRINT」が完成!自分自身の影と対面して記念撮影
7/9:等身大の「BODY PRINT」が完成!関係者も集まり集合写真



「BODY PRINT」のワークショップのはじめに制作の流れを説明します。

その後、進修館を探検します。

展示している作品を巡り、企画者の若林さんのナビゲートで、「光と影が印象的な空間」を体感していきます。

進修館の様々な場所に作品が展示されています。

展示作品についてのレクチャー。自分の制作のアイデアにも繋がります。
進修館の魅力も丁寧に解説。


そして、いよいよ制作。自分自身の身体に目を向け、記憶や大切な品を日常生活の中からピックアップしたり、訪れた場所で気になったものをモチーフに用いることで、等身大の「BODY PRINT」を撮影します。

進修館の周りにあるモチーフを採取します。
自分の持参したモチーフと合わせてイメージを広げます


モチーフと身体をどのように配置するのか簡単なスケッチを描き、いよいよ撮影です!


「BODY PRINT」は、写真ですがカメラを使わないフォトグラムという手法で撮影し、1枚のオリジナルしか得られないモノタイプの特別な写真です。

どのようなポーズで撮影するのか、周りにどのようなものをどのように配置するのかを考え、太陽光の下でじっと影の像が焼き付くのを待ちます。(晴れた日で約10分間)


撮影中は、立っていては感じられない、進修館中庭の中心の窪地に吹くそよ風を感じながら、約10分の撮影時間が過ぎました。

「じっとしている感覚は不思議と苦ではなく、とても楽しかった」という感想がありました。

いよいよ、感光面から自分が移動することで、等身大の自分と対面します。

この瞬間の達成感や驚きが混ざった感覚はこのワークスショップならでは!

じっくりと写真を撮ることで、写真と自分の関係の中に生まれる不思議な感覚体験があります。(この不思議な感覚については後述しています。)

自分の身体が感光面に残る

そして、現像して作品を仕上げます。鮮やかな青の像が現れてくるワクワク感が得られます!


進修館のユニークなデザインの家具や什器を使って作品も制作



ハッキリと等身大の像が現れました!

参加者との記念写真
作品が人を呼び作品を見ながら交流が生まれます

皆さんの表情と進修館と青空と作品がとても良い感じです。
ご参加ありがとうございました!


2022年のワークショップは、現在下記リンクより申し込み受付中です!


どうぞお気軽にご参加ください。

7/2のワークショップの様子は埼玉新聞で記事になりました!

埼玉新聞2022/07/05掲載記事


会場で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!


少し、「BODY PRINT」についての考察を以下に記します。
お時間がある方はご一読ください。

「影の歴史」ヴィクトル・I. ストイキツァ (著), Victor I. Stoichita (原著)


写真を示す「PHOTOGRAPH」は、もともと光の画を意味する言葉です。
photoは「光」、graphは「書かれたもの」=光で描かれたものという意味です。さらに、絵画の起源については以下のような言説があります。

「・・・その娘はある青年に恋をしていた。その青年が外国に行こうとしていた時、彼女はランプによって投げられた彼の顔の影の輪郭を壁の上に描いた。・・・(プリニウス 博物誌 第三十五巻四十三)」

「影の歴史」ヴィクトル・I. ストイキツァ (著), Victor I. Stoichita (原著),

この青年が行く外国とは「戦地」のことで、もう戻らないかもしれない恋人の影の輪郭をトレースすることで彼の存在(不在)を記録しています。それが絵画の起源と言われています。

光で投影された存在と影によって描かれた不在。

存在と不在の関係について思考を深めていくと、広島には、人影の石があり、これも強烈な閃光により人の存在が影像として石に留められた「写真」と捉えることも出来ます。

写真は、常に「不在」を生み出し続けるものとも感じられます。

今、この瞬間の記録たちは、写真を見る人に「今はそこにはいない」感覚を常に伴わせながら、その四角い写真を眺めさせます。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、その感覚は「死」の気配の実感とも言えるかもしれません。私自身、この「BODY PRINT」制作の初期には、自分自身の再スタートを兼ねて(過去の自分を死として眺める)制作しました。前述した感光を終え、感光面から離れて等身大の自分の影との対面は、強烈に「今、自分が生きている」実感の体験ともなりました。

初期の自分自身の「BODY PRINT」2017年作

写真の制作体験は、写真のネガとポジの像の関係のように、「死」と「生」の感覚を反転させながら実感していく体験なのかもしれないと「BODY PRINT」を制作すると強く実感します。

特に今回は、これから生まれてくる子どもと母の等身大の「BODY PRINT」は、今生きていることの大きなエネルギーを感じる機会となりました。
この撮影に携わることで、上記の思考が言語になって得られました。

また、近年のコロナや戦争という情勢から、「生きていることの実感」を改めて鮮やかに実感する経験をされている方も多いと感じています。そうした経験も無意識下で「BODY PRINT」の制作のエネルギーになっていると考えます。

様々な人と出会いともに制作することで様々な気づきを得ることができることはとても幸せなことです。

これからも深めていきたいと思います。


●フォトグラムについては以下に詳細を記しております。ご一読ください。


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Shunya.Asami NOTE
⚫︎写真作家・造形ワークショップデザイナー ・キュレーター・「時間」と「記憶」をテーマに制作。2012年〜ヒロシマの被爆樹木をフォトグラムで作品制作 ●中之条ビエンナーレ2019参加アーティスト ●さいたま国際芸術祭2020 市民プロジェクトコーディネーター