要約「人を選ぶ技術」小野壮彦|人の可能性を見出す
2冊目は少しニッチ?な「人を選ぶ技術」を紹介します。
まずはじめに、本書は「人を選ぶための本」より、「相手/自分の可能性を見出すための本」と言った方がふさわしいです。
採用担当者だけでなく、部下や後輩がいる方、就活生や若手など自分の可能性を見出したい方に、読んでいただきたい一冊です。
さっそく本書のまとめを紹介していきます。
■本書のまとめ
人は「できる人×いい人」で分解する
できる人かは、「スキル〜ポテンシャルまで」の4つの階層で捉える
誰にでも悪い一面があり、表出すると評価や成果が下がる
表出しないよう、自身/相手をマネジメントするのが大切
人は「できる人×いい人」で分解する
冒頭のとおり、人は「できる人か」「いい人か」を分けて捉えていきます。
ここでの「できる人」には、保有スキルだけでなく、ポテンシャルや行動源泉なども含まれています。
そのため「今後できるようになるか?」を見定める必要があります。
また誰にでも悪い一面があるため、「いい人」「悪い人」と白黒つけることはできません。
悪い一面が表出しないよう自身マネジメントしましょう、と本書では説かれています。
できる人か「4つの階層」で見極める
4つの階層は次のとおりです。
経験・知識・スキル(最も表層・変わりやすい)
コンピテンシー
ポテンシャル
ソース・オブ・エナジー(最も深層・変わりにくい)
それぞれを簡単に解説していきます。
経験・知識・スキル
これは読んで字の如く、履歴書や職務経歴書に書かれるようなものです。
最も変わりやすい、つまり最も成長する領域のため、スキルや経験がないからと人を選んだり、自分の可能性を閉ざす必要はないでしょう。
コンピテンシー(行動特性)
コンピテンシーとは、「特定の状況下でどんなアクションを取る傾向にあるか」という行動特性のことです。
例えば…
成果思考なら
・1点:成果を目指さない
・2点:絶対にやり遂げようとする
・3点:ハイ達成を繰り返してなんぼ
変革志向なら
・1点:変わらない
・2点:自分を変革する
・3点:相手を変革する
このように、観点ごとの行動特性を見極めていきます。
本書では次の9つの観点が紹介されていました。
成果思考
戦略思考
変革思考
顧客志向
市場洞察
多様性
協働
人材育成
チーム運営
ポテンシャル(スイッチが入った時のエネルギー量)
※この辺りから表層では見えない、変わりづらい人の特性に関わってきます。可能性を見出す上で重要なポイントです。
ポテンシャルとは思考力などの能力ではなく、エネルギー量です。
もっといえば、スイッチが入った時に発揮されるエネルギー量です。
そして次の観点で見極めていきましょう。
好奇心(吸収・更新することにエネルギーが湧くか)
洞察力(情報を集めて繋げることに 〃 )
共鳴力(人と繋がり、想いを共感し合うことに 〃 )
胆力(腹決め・自分を律することに 〃 )
繰り返しになりますが、「〇〇できるか」ではなく、「〇〇することにエネルギーが湧くか」が重要です。
おそらくほとんどの方は特定の状況下で好奇心が湧き、洞察力が生まれるのではないでしょうか。
だからこそ、相手のポテンシャルも、自分のポテンシャルもあると信じて、見出そうとすることが大事だと思います。
ソースオブエナジー(使命感と劣等感)
要するに「使命感と劣等感」です。
例えば「両親の難病を治したくて、医者になった」「両親が若くして離婚して大変だったから、ひとり親支援事業をしている」など。(前者は友人の、後者は私の事例です)
これらの「使命感と劣等感」は全ての行動源泉になります。
いい人か「人の邪悪さ」に注目する
経験スキルがある、ポテンシャルがあるような「できる人」でも、悪い一面を出してしまうと、評価や成果が下がってしまいます。
そうならないように、見るべき観点を紹介していきます。
邪悪さには、マウント型とナルシスト型がある
マウント型 :威圧的に相手をコントロールしようとする
ナルシスト型:自意識が過剰で、自分の欲求のために周りを巻き込んでげんなりさせる
どちらも白黒つけるのではなく、度合いをはかります。
そして利害関係のない人や立場が弱い人への接し方に現れます。
誰でも極度のプレッシャー下では邪悪さが現れる
どれだけ普段優しい人でも、極度のストレスとプレッシャーがかかる場面では邪悪さが現れます。
「目標意識が高い」人なら…
普段は「ビジョンを掲げる」「目標達成に突き進む」「不確かな中でも決断する」などの良い面がありますが、
極度のプレッシャー下では「強制的になる」「政治に走る」「完璧主義が行きすぎる」こともあるでしょう。
「人間関係意識の強い」人なら…
普段は「思いやりがある」「育てることが好き」「情緒的な関係性を築く」
極度のプレッシャー下では「自分の承認を求める」「期待に応えようとしすぎる」「権限を放棄する」
「本質意識の強い」人なら…
普段は「平然と衝突できる」「バランスが取れる」「道徳・倫理規範を求める」
極度のプレッシャー下では「距離を置く」「攻撃的になる」「忘れたふりサボタージュになる」ことも。
紹介する中で「うっ」と苦しくなるものがあったと思います。それだけ誰にでも邪悪さがあるのです。
自分や相手の特性を理解して、表出しないよううまくマネジメントしていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
冒頭で「相手/自分の可能性を見出すための本」とお伝えしましたが、
全ての人に「できる人」になれる可能性があると同時に、「悪い人」になる可能性もあります。
相手や自分の可能性を正しく見出し、悪い面が表出しないようマネジメントしていくことが大切です。
「人を選ぶ技術」は私のバイブルの一つです。
ぜひ人と関わるとき、自分と向き合うときに読んでみてください。
ほかにも本書では実際の採用現場で役立つ「実践メソッド」も紹介されています。採用担当の方もぜひお読みください。