日々の雑感74【幸せに向かう「私らしさ」と「目的」の関係性とは?】
「オーセンティック」の語源・由来
オーセンティックは英語で「authentic」と綴る。この英単語は古いフランス語で「本物の」を意味する autentique から派生した、ギリシャ語のauthentes に由来。authentes には「自らの意志で物事を実行する者」といった意味があり、「他の誰でもない自分自身」というコアのイメージから派生して authentic が生まれた。
齋藤さんのコーチする「オーセンティック・リーダーシップ」って何ですか? と聞かれたので、まずはその解説から。
個々の表面的な装いではなくて、感情を発端にしてつながった奥深くの自分自身(インサイト)。その意志や願いを言語化し、発し、周囲の人々と関わり、実行していくプロセスの実現支援をするコーチングです。
この体験を経験として積み重ねて「知る→やる→わかる→出来る」にしていくことが必要なので、一回の研修(知る)では実現出来ません。
それは、知れば出来ると思っている人ほどやらないからです。
☆目的を描く重要性
そして時代的に重要な「目的」というテーマ。
こちらは、これまでにもいくつか note にしてきましたが、今日は幸福。well-being の視点を中心に改めて解説していきたいように思います。
前記のオーセンティック・リーダーシップのコーチングを受けた人々に起こる共通した変化があります。それが2つの発見。
・「Being」自分自身が大切にしている価値観
・「To be」自分自身が達成したい未来像(いわゆる vision)
と言えるでしょう。
そして価値観や未来像はたえず変化していることにも気づきますし、本当の未来像は決して一人だけのものではないということも理解します。
ですので「目的」とはこの「Being」と「To be」が共に大事にされている状態、状況を指し、示し、言語化されたもの。
コーチとしては、そうでなければ、いけない。
そんな関わり方を目標にすることが不可欠と言えるでしょう。
☆「利他」と「目的」の関係
こう書くと多くの人が目標と目的を混同して、自分だけが大儲けをしたり、金メダルをとる目的の何が悪いのか?と言ったり、考えたりします。
私たちコーチとしては、これらのお金や地位、ステータスは「目標」に過ぎません。そのお金や地位を得たときに何をするのか。そこにその人の本当の「目的」があり、その言語化が出来ていないことで目標が目的化してしまうと、人は道を大きく謝ります。巷間の噂のように総理や社長になることが目的化してしまい、地位を守るためにエゴに呑まれ、自分さえ、今だけいう感情に支配されると末期は歴史を繰り返すことになるでしょう。
コーチングスクールで同期だった脳科学者の岩崎一郎さんは、著作の中でエゴが
「脳の回路を分断し、脳全体のバランスを崩し、働きを鈍らせてしまう」
と触れています。そして一方で利他の心。セルフレスと呼ばれる状態の時に人の脳はもっとも安定すると書かれています。
また、人のつながりを大事にする利他組織では生産性が2倍にあがるという研究も紹介されています。幸せを感じるドーパミンは自分が誰かに何かをしてもらったり、自分が誰かに何かを貢献できたときに生まれますので、こうした相互関係が良好な組織の生産性があがっていくことは言うまでもないのでしょう。
☆「利他」は自分も含む全体(コミュニティ)のこと
「利他」でよく混同されたり、勘違いされるのはこの「犠牲」という概念です。誰かの為に誰かが犠牲になる。それは「利他」ではなく「搾取」です。自分たちだけ安全地帯に居ながら民を犠牲にする。そんな「増税」なんて搾取の典型でしかなく、ゆえに共感されることはありません。
こうした適切な「利他」は正しい「共感」によってもたらされます。そして、その為には「つながり」を感じ、周囲への「感謝」を忘れない。みつけた誰かやそのつながりに一回の感謝をしていくことから始まります。
本当の意味での聴く力とは、共感し、感謝し、コミュニティの為に自身の力や権限を使ってよりよい未来を作り上げるところにあります。メモ帳に書いて満足だけしてればいいというわけではないのです。
私たちはとかく「自己犠牲」を要求される社会環境に存在しますが、そんな犠牲とならず、よい仲間とよいつながりの中で、成長していく。そして、成長した自分自身がよりよい目的を描き、よりよい未来へ仲間たちと前進していく。そんな日々を過ごす。そんな時間が増えていくことを願います。
2022年は、コーチとしてそんなコーチングをより多く体験してきたようにも、また感じているのです。